痒疹(ようしん)

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痒疹の症状の概要

痒疹とは?

痒疹(ようしん)とは、かゆみをともなうボツボツとした皮膚の赤い盛り上がりがたくさんできる病気です。ボツボツはそれぞれ孤立していますが、いずれもかゆみが非常に強いため、日常生活に支障が生じたり睡眠が妨げられたりすることもあります。

痒疹の原因

痒疹の原因は明らかになっていません。
虫刺されがきっかけになってあらわれることもあれば、アトピー性皮膚炎のようなアレルギーが関係していることもあります。また、腎臓や肝臓、血液の病気などがきっかけになる場合、内服薬が原因になっている場合、歯科金属に対するアレルギーが関与している場合、副鼻腔炎や虫歯などの感染症が引き金となる場合、悪性腫瘍が原因の場合などもあります。
ただ、感染症ではないため、他人に感染することはありません。

痒疹の症状や兆候

痒疹には、症状が出てもすぐに治まる「急性痒疹」と、何ヵ月も症状が続く「慢性痒疹」があります。
急性痒疹は、虫さされによるアレルギー反応がきっかけで発症することが多く、夏場に多いといわれています。ひっかくと浸出液が出て、かさぶたになることもあります。
慢性痒疹は表皮が厚く・硬くなるのが特徴です。慢性痒疹には「結節性痒疹」と「多形慢性痒疹」の2種類があります。

慢性痒疹の種類と特徴、あらわれやすい部位

結節性痒疹

強いかゆみをともなうしこり(結節)がたくさんできます。結節は暗褐色の硬いドーム状やイボ状で、大きさは1cmくらい(小豆大~エンドウ豆大)です。それぞれの結節は孤立しており、ばらばらと散在しています。
結節ができるのは、おもに手足の外側(伸びる側)ですが、胴体など広い範囲に見られることもあります。
青年期以降の女性に多く、症状が数ヵ月~1年以上続くこともあります。

多形慢性痒疹

かゆみの強い蕁麻疹のような赤くむくんだ盛り上がり(蕁麻疹様丘疹)から始まり、やがて肌色~薄い茶色のふくらみ(丘疹)へと変化します。ひっかくと、さらに広い範囲で蕁麻疹のような赤みが生じることもあります。丘疹は孤立していることもありますが、ひとかたまりに融合したり、苔癬化(たいせんか:ゴワゴワと分厚い皮膚になること)したりすることもあります。再発することが多く、慢性的に症状が続くのも特徴の一つです。
多形慢性痒疹は高齢の方に多く、好発部位はわき腹やお尻、太ももの外側ですが、胸部や肩甲骨あたりにできることもあります。

痒疹の診断

痒疹は、見た目で診断できる場合がほとんどです。
一般的な血液検査では異常が見られないこともありますが、アレルギー症状と関連が深い好酸球やIgEを確認することもあります。診断がつかない場合は、皮膚の一部を採取する生検を実施することもあります。
なお、かゆみが非常に強い場合や皮疹の範囲が広い場合、治療しても症状の改善がほとんど見られない場合、難治性で慢性化している場合などは、内臓疾患が原因の可能性もあるため、全身の疾患の有無を調べることもあります。

痒疹の治療

病気などが原因で痒疹があらわれている場合は、まず原因となっている基礎疾患の治療を行います。
基礎疾患がない場合は、スキンケアと薬物治療で症状の改善を目指します。

痒疹を悪化させないスキンケア

日本皮膚科学会による「痒疹診療ガイドライン2020」では、スキンケアの例として以下のようなことを挙げています。

皮膚の清潔~毎日の入浴,シャワー
  • 汗や汚れは速やかに落とす。しかし、強くこすらない。
  • 石鹸・シャンプーを使用するときは洗浄力の強いものは避ける。
  • 石鹸・シャンプーは残らないように十分にすすぐ。
  • かゆみを生じるほどの高い温度の湯は避ける。
  • 入浴後のほてりを感じさせる沐浴剤・入浴剤は避ける。
  • ナイロンタオルや硬めのタオルの使用を控える。
その他
  • 室内を清潔にし,適温・適湿を保つ。
  • 新しい肌着は使用前に水洗いする。
  • 洗剤はできれば界面活性剤の含有量の少ないものを使用する。
  • 爪を短く切り、なるべく掻かないようにする。
  • 手袋や包帯による保護が有用なことがある。

引用)日本皮膚科学会ガイドライン「痒疹診療ガイドライン2020」表1

痒疹の薬物治療

痒疹の治療では、ステロイド外用薬(塗り薬やテープ剤)と内服の抗ヒスタミン薬が用いられます。保湿剤で肌の潤いを保つことも大切です。また、ビタミンD3軟膏が有効なケースもあります(保険適用外)。
痒疹が体の広い範囲にある場合は紫外線療法を行ったり、結節に対して液体窒素による冷凍凝固療法を行ったりすることもあります(いずれも保険適用外)。
さらに症状がひどいときは、ステロイド薬や免疫抑制薬(保険適用外)の内服が選択されることもあります。

結節性痒疹の治療には生物学的製剤も選択肢に

最近、アトピー性皮膚炎治療薬として知られる生物学的製剤のデュピクセント(一般名:デュピルマブ)(皮下注射薬、自己注射可能)が成人の結節性痒疹に保険適用で使えるようになりました。

» デュピクセントの詳細はこちら

また、2024年6月からはミチーガ(一般名:ネモリズマブ)(皮下注射薬、結節性痒疹については自己注射不可)が13歳以上の小児および成人の結節性痒疹に保険適用で使えるようになりました。

» ミチーガの詳細はこちら

いずれも生物学的製剤であり、保険診療であっても費用は高額になりますが、従来の治療法に比べて高い効果が期待できます。そのため、強いかゆみに苦しむ方にとっては大変良い選択肢になると思われます。
なお、当院では、条件付きではありますがオンライン診療でデュピクセントの処方にも対応しております。遠方にお住まいの方など来院が難しい方については、まず当院のオンライン診療をご利用いただくことをおすすめしております。

» オンライン診療の詳細はこちら

痒疹の予防や注意点

痒疹を確実に予防する方法はありません。ただ、以下の点に注意すると、症状の発症や悪化のリスクを低減させることができます。

  • 患部をできるだけ掻かないようにする
    掻くと症状が悪化しやすくなります。無意識に掻いてしまう場合は、爪を短くしたり手袋を着用したりしましょう。かゆみが治まらない場合は、その部分を冷やすのも有効です。
  • 保湿を心がける
    肌を十分に保湿すると、乾燥やかゆみがやわらぎやすくなります。特に入浴後は早めに保湿をして、肌が乾燥しないようにしてください。
  • 肌に刺激を与えないようにする
    肌を刺激すると、症状が悪化しやすくなります。衣類は肌に触れにくいゆったりとしたデザインのものがおすすめです。
    ボディソープなどは刺激の少ないものを選ぶようにしましょう。また、体を洗うときは強くこすらないようにしてください。

よくあるご質問

痒疹は見た目で判断できるとのことですが、一般人でも判断できますか?

皮膚科専門医であれば痒疹は見た目で判断できる場合が多いですが、一般の方が判断するのは難しいと思います。
皮膚にかゆみが出る疾患としては、皮膚掻痒症やアトピー性皮膚炎、疥癬などもありますので、原因不明のかゆみがある場合は早めに皮膚科を受診してください。

かゆみ止めで眠くなったことがあるのですが、眠くならないかゆみ止めを処方してもらうことはできますか。

眠気の副作用がまったくないかゆみ止めを処方することはできませんが、眠気の出にくい薬を選ぶことは可能です。眠気が出た薬の名前や成分を診察時におっしゃってくだされば異なる成分の薬を処方しますので、ご相談ください。
ただ、眠気の有無をあらかじめ予測することは不可能です。新たに処方された薬で眠気が出ることもありますので、ご承知ください。

デュピクセントは自己注射できるようですが、絶対に自分で注射しないといけないのですか?毎回病院で打ってもらうわけにはいきませんか?

デュピクセントの自己注射については、絶対に自分で打たなければいけないわけではありません。自己注射を希望されない患者さまにつきましては、院内にて皮下注射を行いますので、遠慮なくおっしゃってください。

 

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