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ミチーガとは?

ミチーガ皮下注用60mgシリンジ(有効成分:ネモリズマブ)は、アトピー性皮膚炎の「かゆみ」を誘発するサイトカインであるIL-31をターゲットとした日本初、世界初のヒト化抗ヒトIL-31受容体Aモノクローナル抗体である生物学的製剤です。中外製薬株式会社により創製され、マルホ株式会社が国内第三相臨床試験を実施し、2022年3月に製造販売承認を取得し8月8日に発売されました。
名称の由来は、mitigate(軽減する)とitch(痒み)を組み合わせてMitigate the Itch(かゆみを和らげる)の意味で、アトピー性皮膚炎患者さんを最も苦しませるかゆみから解放し、QOLの向上した快適な日常を過ごしてほしいという思いが込められて命名されました。
ターゲットはかゆみ
アトピー性皮膚炎は、増悪や寛解を繰り返す、かゆみのある湿疹を主病変とする慢性の皮膚疾患です。かゆみに伴う掻破は、皮膚症状を悪化させ、さらに痒みが増強するという悪循環(Itch-scratchサイクル)を繰り返し、仕事や学業における集中力の低下や睡眠障害などを引き起こし患者さんのQOLを低下させます。
アトピー性皮膚炎のかゆみの原因物質としてヒスタミンがよく知られていますが、抗ヒスタミン薬では完全に抑えられないとされており、アトピー性皮膚炎のかゆみにはIL-31が中心的な役割を果たすと考えられています。ミチーガはIL-31受容体をターゲットとする薬剤であり、既存治療で効果が不十分なアトピー性皮膚炎のかゆみ抑制効果が期待できます。
ミチーガの特徴
ミチーガ(ネモリズマブ)は、アトピー性皮膚炎のかゆみを誘発するサイトカインであるIL-31に着目したお薬です。IL-31は、主にTh2細胞から産生されるサイトカインで、末梢神経に発現するIL-31RA(IL-31受容体)に作用することでかゆみを誘発します。ミチーガはこのIL-31RAに結合することにより、IL-31の結合を阻害し、それに続く細胞内への働きや伝達を阻害することでアトピー性皮膚炎のかゆみを抑制します。
また、IL-31RAは末梢神経のほか、好酸球、好塩基球、肥満細胞などの免疫細胞や角化細胞にも発現していることから、IL-31はかゆみだけでなく、炎症や皮膚のバリア機能低下にも関与していると考えられています。
ミチーガの対象患者さんについて
従来の治療では十分な効果が得られない成人及び13歳以上の小児のアトピー性皮膚炎患者さんにご使用いただけます。
投与対象となる患者さんは、かゆみや皮疹の重症度を確認する必要がありますのでまずはご相談ください。
ミチーガの投与方法と投与スケジュール
ネモリズマブとして1回60mgを4週間の間隔で皮下投与します。
室温保存が可能です。
ミチーガの使用上の注意
主な副作用は、アトピー性皮膚炎、皮膚感染症(ヘルペス感染症、蜂巣炎、膿痂疹、二次感染)、上気道炎です。
臨床試験においては皮膚症状の悪化を理由に脱落した患者さんは多くありませんが、原則として、ミチーガ投与開始後も、外用療法(ステロイド薬やプロトピック軟膏、保湿剤など)を併用しながら治療いただきます。
ミチーガの患者負担・薬価について
ミチーガ皮下注用60mgシリンジは1本117,181円で、3割負担の患者さまですと35,154円(薬剤費のみ)となります。
よくあるご質問
- いつからかゆみに効果がありますか?
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臨床試験においては投与翌日よりプラセボとの有意な改善が認められております。患者さんによって異なりますが、通常はミチーガによる治療開始から 16週頃までには効果が現れます。
- 自己注射はできますか?
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新薬発売後1年間は自己注射ができないため、4週間ごとの来院での投与が必要になります。
- 小児への投与はできますか?
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13歳以上の小児の患者さんに投与可能です。承認時までの臨床試験において、13歳未満の小児に対する使用経験はなく、安全性は確立していません。
- 長期投与のデータはありますか?
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ミチーガの国内における最長投与期間は、国内第Ⅲ相試験の68週です。
- かゆみがおさまれば、ミチーガによる治療を中止してもよいですか?
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アトピー性皮膚炎は良くなったり悪くなったりを繰り返す疾患です。かゆみがいったんおさまったとしても、治療を中止すると悪化することがあります。経過を見てご相談しながらご判断いたします。