アレルギー性結膜炎

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アレルギー性結膜炎とは?

アレルギー性結膜炎とは結膜に急性・間歇性(一定の時間を置いて物事が起こったり止んだりする)・慢性の炎症が生じる疾患です。結膜はまぶたの裏側と白目部分を覆っている粘膜のことで、アレルギーの原因物質(アレルゲン)に接触しやすく、免疫細胞数と血管も多いためアレルギー反応が生じやすい部位です。

アレルギー性結膜炎の症状のもっとも大きなものは「目のかゆみ」で、結膜の充血、涙が止まらない、まぶたのむくみ、光過敏、目やに、まぶたの裏にブツブツができる、なども症状として代表的です。目のかゆみが強く、掻いてしまうことで症状が悪化するほか、目の周辺の皮膚や角膜を傷つけたり色素沈着を引き起こすことがあります。アレルギー性鼻炎を併発するケースが非常に多く、アレルギー性結膜炎の患者さんはアトピー性皮膚炎アトピー性皮膚炎や喘息など他のアトピー性疾患を有することが多いです。

アレルギー性結膜炎は発症する時季によって大きく区分され、花粉の飛散シーズンに発症する季節性アレルギー性結膜炎(花粉症)、一年を通して慢性的に発症する通年性アレルギー結膜炎に分類されます。

アレルギー性結膜炎の重症型である春季カタルは、10歳頃までの男児に特に多く見られるもので、角膜(黒目の部分)の表面に小さな傷ができて異物感や光を眩しく感じたり(光過敏)、白い混濁ができて視力低下につながったりする恐れもあります。

巨大乳頭結膜炎はコンタクトレンズのタンパク汚れなどによってアレルギー反応が起こり、まぶたの裏側にブツブツができます。初期症状としてはコンタクトレンズが上方にずれやすくなり、白っぽい目やにが多く出てかゆくなったりします。

なお、アトピー性角結膜炎は、目のかゆみや充血などアレルギー性結膜炎と同様の症状が見られますが、原因は主に乾燥です。角膜にも炎症が生じ、白内障・緑内障・網膜剥離を引き起こして重度の視力低下を起こす危険があります。

アレルギー性結膜炎の原因

画像提供:第一三共ヘルスケア「くすりと健康の情報局

アレルギーが起こる仕組みは、身体に備わっている免疫反応(抗原抗体反応)が過剰に反応しすぎることが原因です。アレルギーを引き起こす原因物質(アレルゲン)が目に侵入すると、IgE抗体がつくられます。次にアレルゲンが入ってきた際、IgE抗体と結合した免疫細胞(肥満細胞)からヒスタミンという物質が粘膜に放出され、それらが神経や血管に作用して充血やかゆみを引き起こします(アレルギー性結膜炎の種類は、短時間で目のかゆみ、充血といった反応が引き起こされる即時型(I型)アレルギー)。

アレルギー性結膜炎のアレルゲンとして代表的なものは、樹木や草花の花粉、ハウスダスト(家の中にある埃、ダニのふん、カビ、動物の毛やフケなど)、コンタクトレンズのタンパク汚れなどです。

アレルギー性結膜炎の診断

診断は、医師が充血やかゆみといった症状と結膜の状態を実際に調べる問診と視診が主になります。

涙や血清の中のIgE抗体量を測定する純確定診断や、どのアレルゲンに対してアレルギー反応が生じているかを調べる血液検査もあわせて行うことがあります。

アレルギー性結膜炎の治療

アレルギー性結膜炎の治療は、主に点眼薬を用いる薬物治療で、重症度に合わせて使用する薬剤が変わります。

症状が軽度な場合は、副作用が比較的少ない抗アレルギー点眼薬や抗ヒスタミン点眼薬が処方されます。

» 抗アレルギー点眼薬はこちら

それでも改善しない場合は、併用でステロイド点眼薬などが必要となり、眼科受診をおすすめ致します。

その他の治療

アレルギー体質を根本から改善していく治療法として、アレルゲン免疫療法の一種の「舌下免疫療法」もあります。こちらはスギ花粉およびダニアレルギーを原因とするアレルギー症状に対して効果が認められています。

毎日1日1回、内服薬を舌の下に数分間置いておき、そのあとに飲み込むという治療法で、治療期間は3~5年ほどと長期にわたります。自宅でも簡単に治療を継続できることと、痛みなどがないこと、アレルギー体質そのものが改善に向かえるということで、5歳以上の小児から治療が可能です。

» 舌下免疫療法「シダキュア」スギ花粉症治療薬の詳細はこちら

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アレルギー性結膜炎の予防や注意事項

アレルギー性結膜炎による目のかゆみの発生をおさえるには、アレルゲンとの接触をできるだけ減らすことと、目に入ったアレルゲンを点眼薬・洗眼薬で洗い流すことが大切です。

たとえば花粉が原因のアレルギー性結膜炎なら、花粉の飛散量が多い時期はできるだけ外出を避けたり、外出時にはメガネやマスク、花粉が付着しにくい素材の衣服を着ると良いでしょう。屋内に入るときは花粉を払い落とし、うがいや手洗い、洗顔を行います。ハウスダストが原因の場合は、寝具やカーテン、カーペットなどを清潔に保ち、空気清浄機を利用するなどの工夫も効果があります。

また、治療法として点眼薬が処方されますが、正しい用量・用法を守ることが大切です。かゆくなったタイミングで点眼するという患者さんが多いのですが、これは用法通りではなく、目のかゆみを十分に抑えることができません。処方薬は医師の指示する用法に合わせて、点眼タイミング・回数を守って使用してください。

かゆみが収まってきて症状があまり感じられなくても継続することで、クオリティオブライフ(生活の質)の低下を長く防ぐことができます。

アレルギー性結膜炎は身近な疾患ですが、重症化すると春季カタルや巨大乳頭結膜炎につながり、最悪の場合は視力低下などの大きなリスクもあり得ます。目に異常を感じた場合は放置せず、適切な診療を受けられるように医療機関にご相談ください。

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記事制作者

小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)

「巣鴨千石皮ふ科」院長。日本皮膚科学会認定専門医。2017年、生まれ育った千石にて 「巣鴨千石皮ふ科」 を開院。
2児の母でもあり、「お肌のトラブルは何でも相談できるホームドクター」を目指しています。