日光・紫外線アレルギー(光線過敏症)

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日光・紫外線アレルギーとは?

日光アレルギーとは光線過敏症とも言って、日光に対して免疫系が過剰な反応を起こし、皮膚に病変を生じる疾患のことです。皮膚疾患が発生あるいは悪化する要因は、薬剤などの外因性のケースと、遺伝疾患や代謝疾患などによる内因性のケースの2つがあります。日光アレルギーの反応の出やすさは遺伝すると考えられています。

主な症状の出方として、日光にさらされた皮膚の部位にかゆみや発疹、ぶつぶつ、赤みなどが生じたり、腫れて水膨れができたりといった炎症を起こします。

紫外線(主としてUVB)による日焼けは、ある程度の紫外線量であれば誰でも日焼け(炎症)を起こします。しかし、日光アレルギーの人は、通常ならば反応が起きない程度の紫外線量に対しても敏感に反応し、炎症が起こってしまいます。

日光アレルギーの病態には、日光じんましん、化学物質による光線過敏症、多形日光疹などがあります。

日光じんましん

日光に当たってわずか数分ほどで、大きくて赤いじんましんが現れます。かゆみを伴ったりみみずばれの状態になったりしますが、通常は数分~数時間で消失します。長時間あるいは広範囲にわたって日光じんましんができていると、頭痛、めまい、吐き気、脱力、喘鳴などが併発する恐れもあります。

化学物質による光線過敏症

化学物質による光線過敏症は、①光接触皮膚炎と②光線過敏型薬疹があります。①は塗り薬や貼り薬など外用薬を使った部位に病変が出現します。②は主に内服薬によって生じ、服用後に日光の当たった皮膚に発疹が広範囲にわたって出るのが特徴です。

多形日光疹

多形日光疹は、紫外線や可視光線に対して見られる光過敏反応のこと、紅斑や丘疹が病変部に現れます。発疹は光にさらされた後、30分後~数時間後ほどで発現しますが、数日間発症しないこともあります。

日光アレルギーの病態は、小児期は色素性乾皮症、骨髄性プロトポルフィリン症、種痘様水疱症、青年期は多形日光疹、日光じんましん、光接触皮膚炎、光線過敏症薬疹、中高年期になると光線過敏症薬疹に加えて晩発性皮膚ポルフィリン症、慢性光線性皮膚炎が生じやすいというように、年齢による違いが見られます。

日光アレルギーの原因

日光アレルギーは外因性の場合、光線が当たることによって励起される化学物質(クロモフォア)が、皮膚に炎症を起こすというものです。クロモフォアは香水、果汁、化粧水、タールなど皮膚を覆う媒介を通じて皮膚に到達します。

化学物質による日光アレルギーの場合は、原因となる薬剤は複数の種類がありますが、ほとんどの反応について原因物質の数は限定されています。反応は、励起された物質がそのまま毒性を持つ「光毒性反応」と、励起物質がアレルゲンとなって免疫反応からの炎症を引き起こす「光アレルギー反応」に分類され、診断によって判別が可能です。

日光アレルギーを起こす主な薬剤は、例えばクラビットなどのニューキノロン系抗生物質、イスコチンなどの抗結核薬、ラシックスの利尿剤、ダカルバジンやオダインなどの抗ガン剤、ホリゾン、ピレチアなどの抗精神病薬、ゼスランなどの抗ヒスタミン剤などがあります。

日光アレルギーの診断

診断は医師による評価が主です。日光にされされた部位にできた発疹を見た段階で、まず日光アレルギーが疑われます。さらに、皮膚の状態の視診に加え、患者本人の病歴や服用した薬剤、皮膚に塗っている化粧品や薬剤についてヒアリングを行います。このように特に専門的な検査を行うことは稀です。

なお、光毒性反応と光アレルギー反応の確定診断には、光テスト(反応再現検査)がしばしば導入されています。

日光アレルギーの治療

日光アレルギーは発疹や赤みなどの病変が発現してから、数分~数時間ほどで症状が次第に治まっていきます。有効性の高い治療方法はこれといってなく、まずは日光を浴びる機会を極力減らすことが肝心です。日光を浴びないようにする予防方法については後述します。

化学物質による光線過敏症を生じている患者の場合は、まず該当する薬剤の使用をやめ、1週間前後は直射日光を避けて生活します。ガラスを通過した日光も危険ですので注意してください。まだ、ステロイド外用薬を塗布したりヒスタミン剤を使ったりして症状を緩和し、日光を極力浴びないようにしている期間中に、過剰な反応を起きにくい体質にしていきます。

多形日光疹の患者や全身性エリテマトーデスによる光線過敏症のある患者の場合は、コルチコステロイドを塗布するか内服、またはヒドロキシクロロキンを内服したりといった治療が有効です。この場合、紫外線を浴びる量を少しずつ増やしていくことで、日光に対する過敏な反応を軽減していくことができる可能性が期待されています。

その他の治療

日光を浴びすぎないようにする工夫として、日焼け止めを使用すること、紫外線カットの長袖の衣服を着用すること、日傘を使うことなどが推奨されています。

日光アレルギーの予防や注意事項

日光アレルギーはセロリ、クロレラ、ドクダミなどの食品・化粧品によっても起こるケースがあります。モーラステープ(ケトプロフェン)は最も代表的な原因のうちの1つです。湿疹やかゆみなどの症状が出た場合は、ご相談ください。

なお、日光アレルギー予防に使う日焼け止めですが、日光アレルギーを誘発するのはUVAであることが多いので、PA(+)~PA(+++)などの製品を選ぶと良いでしょう。

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記事制作者

小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)

「巣鴨千石皮ふ科」院長。日本皮膚科学会認定専門医。2017年、生まれ育った千石にて 「巣鴨千石皮ふ科」 を開院。
2児の母でもあり、「お肌のトラブルは何でも相談できるホームドクター」を目指しています。