白斑

  日祝
9:00~13:00 - -
15:30~18:30 - - -

☆休診日: 水曜、日曜、祝日
予約なしでも受診可能です

  • 巣鴨千石皮ふ科 ネット予約
  • ネット予約の手順
  • キーワード(症状、薬品名、治療、医院について等)をご入力ください。

FacebookTwitterLine

白斑とは?

白斑とは、皮膚メラノサイトが欠損して色の抜けた脱色素斑ができる病態のことで、メラニンが完全消失することで白色の斑が形成されます。痛みや痒みはなく、最初は親指の先くらいの大きさの白い斑が数個皮膚に現れるということが多いです。そこで症状の進行が止まると限局型、白斑が増えたり大きくなったりすると汎発型、分節型といいます。先天性の遺伝子の異常を原因に持つものは眼皮膚白皮症とも呼ばれています。

人体のメラニンは色素細胞内で合成され、周辺の細胞に受け渡されて皮膚の色調を統一する仕組みになっています。しかし、この仕組みに関わる多数のファクターのうち一つにでも異常が発生すると、メラニンの合成が阻害されます。これが、先天的な遺伝子の異常によって起こっていると先天性白斑となります。なお、遺伝子の異常によって起こるものでも、新生児の間は特に皮膚に異常は見られず、成長してから白斑が発見されるケースもあります。

白斑は全身のさまざまな部分に生じますが、特に顔など発症する部位によって、患者本人のQOL(生活の質)を低下させたり、社会活動にも差しさわりが出たりすることがあります。

しばしば自己免疫性甲状腺疾患、パセドウ病、膠原病、慢性C型肝炎、糖尿病、円形脱毛症、乾癬、炎症性腸疾患など、皮膚以外の致命的な症状と合併して発症します。

白斑の原因

白斑の原因は完全には解明されていませんが、遺伝による先天性のものと後天性のものがあります。

先天性の白斑は、メラニン色素合成遺伝子が変異または消失している、メラノサイト幹細胞に異常がある、メラニンの細胞内輸送分子に異常がある、メラノサイト遊走因子遺伝子が変異または消失している、など生まれつきメラニンが産生されない「眼皮膚白皮症(OCA1A)」によります。なおメラノサイトは、紫外線から肌を守るために、メラニン顆粒を表皮細胞に供給する働きを持っています。先天性の白斑は遺伝することがあり、家系内で多発する傾向があります。

後天性のものは、「尋常性白斑」と呼ばれるものが代表的で、細菌やウイルスなどに対抗するために働く免疫機能が皮膚のメラニン色素をつくる色素細胞(メラノサイト)を攻撃することで発症するのではないかと考えられています。有病率は全人口の0.5~1.0%ほどと報告されています。

抗メラノサイト抗体やメラノサイト障害性T細胞などの自己免疫性のもの、疾患感受性遺伝子によるもののほか、皮膚の基底層に分布している色素細胞(メラノサイト)に、酸化ストレスや化学物質・薬剤、感染症など何らかの要素が異常を来すケースも、後天性白斑の原因として数えられます。

また、局所性貧血によって白色調の皮疹が現れる貧血母斑も含まれます。炎症を引き起こした後にメラニンが減少して皮膚に白色調が現れるのは不完全脱色素斑と呼ばれます。別の発疹の周辺にみられる脱色素斑は白暈といいます。

白斑の診断

白斑の診断は一般的に、医師の視診による臨床的評価です。皮膚生検を行うことは基本的にありません。

さらに尋常性白斑の発症が確認されたとき、自己免疫疾患が背景にないか、合併症がないかを確認するための検査が必要になることがあります。疾患によっては血液検査に加え、呼吸器などの内科、小児科、眼科、耳鼻科などでも精密検査を行います。

遺伝子診断で疾患が診断できれば、合併しやすい病気を予測・特定することもできます。原因遺伝子が明らかであれば遺伝子診断が有効かつ確実です。ただし、現在は色素異常症の遺伝子診断は保険適用外です。遺伝子検査については、大学病院を紹介致します。

白斑の治療

白斑の治療は、根本から完治させる手法は現在まだ確立されておらず、対症療法または整容的なものが一般的となっています。

日本皮膚科学会のガイドラインから過去の報告を検討・評価された、科学的根拠の高い治療を選択しています。

小さな病変が散在する程度であれば、白斑専用のカモフラージュ化粧品を使って隠すことができます。一方、広範囲に患部ができているケースでは、主に色素再生を目指す治療方法がとられます。

ステロイド療法だと有害作用が起こりやすい顔や鼠径部にできている病変に対しては、カルシニューリン阻害薬(タクロリムスおよびピメクロリムス)の外用が有効です。または、カルシポトリオールとジプロピオン酸ベタメタゾンの混合剤にも効果が認められています。

ソラレンとUVAの併用療法(PUVA療法)が行われることがありますが、治療期間が長期化しやすく、皮膚悪性腫瘍のリスクを高める恐れがあるため、医師による判断が重要です。なお、ナローバンドUVB(紫外線B波)療法はPUVA療法よりも安全性が高いため、しばしば用いられます。

外科手術による皮膚移植も有効な治療法のひとつ。刺青は口唇部、乳頭部、指尖部などの色素再生が行われにくい箇所に用いられることが多いです。ただし、処置をおこなう部位が安定していること、薬剤療法が効かなかったこと、といった一定の条件がそろった場合に選択される療法です。

その他の治療

色素脱失が広範囲にわたって重症化が見られる場合は、正常な皮膚の色素をモノベンジンエーテルまたはハイドロキノンで永続的に脱色させることもあります。この治療法は健康リスクが大きく刺激感も強いため、患者本人がリスクについて適切な説明を聞き、承諾した場合でのみ適応となります。こちらのリスクとして、永続的な色素脱失と光線性皮膚障害などがあります。

白斑の予防や注意事項

白斑を根本から完治させる治療方法はまだ発見されていませんが、皮膚の色がまったく自然の状態に見えるような治療を施すことは可能です。

なお、色素脱失を起こした病変部は急激かつ重度のサンバーン(光線過敏症)などを引き起こす可能性があるため、病変部は常に日焼け止めを塗るか、衣服で隠し、日光から保護することを徹底します。

また、メラニンが減少・消失しているため、皮膚の症状以外でも、視力障害が起こりやすい傾向があります。日常生活においても光を浴びすぎない、明るすぎない環境で過ごすように気をつけると良いでしょう。

中年期意向は悪性腫瘍の発生リスクが高くなると言われているため早期のご相談を推奨いたします。

FacebookTwitterLine

記事制作者

小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)

「巣鴨千石皮ふ科」院長。日本皮膚科学会認定専門医。2017年、生まれ育った千石にて 「巣鴨千石皮ふ科」 を開院。
2児の母でもあり、「お肌のトラブルは何でも相談できるホームドクター」を目指しています。