公開日:2025年12月26日
最終更新日:2025年12月26日
ハウスダストって何?
「毎日掃除をしているのに、くしゃみや鼻水が止まらない」
「夜になると、咳が出て眠れない……」
季節を問わずあらわれるこのような症状は、ハウスダストが原因かもしれません。
「ハウスダスト」とは、家の中にある1mm以下のチリやホコリをいいます。
目に見えないほどの小さな「ゴミ」ですが、ダニの死骸やフン、カビや細菌、花粉、繊維のクズ、ヒトの体から落ちた皮膚のかけらやフケ、ペットの毛、タバコの煙に含まれる微粒子など、さまざまなものが含まれています。
これらが体内に取り込まれ、免疫システムが過剰に反応すると、鼻や目に不快な症状あらわれたり、気管支に炎症が起きたりすることがあります。
また、肌が敏感な方は、湿疹やかゆみが生じることもあります。
これが「ハウスダストアレルギー」です。
ハウスダストアレルギーはほかのアレルギーと何が違う?
花粉症などの季節性アレルギーは、花粉が増える春や秋など特定の時期に症状が出ます。
一方、ハウスダストは一年を通じて存在するため、季節に関係なく症状があらわれます。
もっとも、ハウスダストアレルギーになると、毎日のように鼻づまりなどの症状があるため、不調が日常化して自覚が乏しくなる方もいるようです。
しかし、慢性的な不調は仕事や勉強への意欲を低下させ、生活の質の低下にもつながるおそれがあるため、放置は禁物です。
ハウスダストアレルギーのおもな症状
ハウスダストによる症状は、鼻や目だけでなく、呼吸器や皮膚などにもあらわれることがあります。
これらのほか、鼻症状による睡眠の質の低下、喘息やアトピー性皮膚炎の発症・悪化をまねくこともあります。
ハウスダストアレルギーの診断方法
ハウスダストにはいろいろな種類がありますが、何がアレルギーを引き起こしているのかは血液検査で調べることができます。
また、皮膚にアレルゲン(アレルギーの原因物質)を少し触れさせ、アレルギー反応の出方を確認する方法もあります。
その他、問診や生活環境に関する質問などを通じて、症状が出やすい時期や状況を把握し、診断に役立てることもあります。
» アレルギー検査(View39・イムノキャップラピッド)・血液検査の詳細はこちら
日常生活でできるハウスダスト対策
ハウスダストを完全に除去することは難しいですが、こまめな掃除や生活環境の見直しなどによって量を減らすことはできます。
ハウスダストが少なくなればアレルゲンに触れる機会が減るため、症状の軽減につながります。
こまめに掃除する
ハウスダストを減らすには、こまめな掃除が欠かせません。
ハウスダストは、人の動きが少なくなる夜間にゆっくりと床に落ちてくるため、掃除は朝にするのがおすすめです。
舞い上がりを防ぐために、まずモップや掃除用ワイパーを使い、そのあと掃除機をかけるようにしましょう。
ただし、モップをかけるときに窓を開けるとハウスダストが舞い上がるので、気を付けてください。
寝具を清潔に保つ
ダニの温床となりやすい寝具を清潔に保つことも、大変重要です。
ダニの死骸やフンは水溶性なので、シーツやタオルケット、枕カバーなどは丸洗いするのが効果的です。
ダニは卵から孵化するまでに約1週間かかるので、週に1回は洗濯するようにしてください。
布団は週に2回以上干す、あるいは布団乾燥機をかけて湿気がこもらないようにしましょう。
そして、週に1回は掃除機をかけ、年に1回は水洗いをして清潔な状態を維持してください。
なお、カバー類は、アレルゲンを通しにくい高密度繊維でできたものを選ぶと安心です。
高温多湿を避ける
ダニやカビは、高温多湿の環境で増殖しやすくなります。
室温は20~25度、湿度は50%程度を維持することを心がけ、室内のアレルゲンを増やさないようにしましょう。
浴室の換気をしたり、エアコンの除湿機能や除湿器を使用したりするのも有効です。
空気清浄機で空気をキレイにする
空気中に浮遊するハウスダストが気になる場合は、空気清浄機の利用を考えてみましょう。
空気清浄機は、ダニの死骸やフン、花粉などさまざまなハウスダストの除去に効果が期待できます。
新たに購入する場合は、フィルター性能だけではなく吸引力(適用畳数)も確認して、設置環境に合う機種を選ぶようにしましょう。
ハウスダストアレルギーの治療
ハウスダストアレルギーの症状がひどく、日常生活に支障が生じるような場合は、医療機関での治療が必要になります。
鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどの症状には、抗ヒスタミン作用のある内服薬がよく使用されます。鼻づまりがひどい場合には、抗ロイコトリエン薬も選択肢になります。
さらに、症状に応じて点鼻薬や点眼薬を併用することもあります。
喘息症状がある場合は吸入薬や注射剤、アトピー性皮膚炎がある場合は塗り薬や注射剤などが処方されることもあります。
その他、外科的治療(手術)が有効な場合もあります(参照:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会ホームページ)。
ただし、当院では外科的治療を行っておりませんので、手術をご希望の場合は、耳鼻咽喉科・頭頸部外科のある医療機関へご相談ください。
なお、ダニアレルギーがある場合は、舌下免疫療法も有効です。ダニアレルギー対策や舌下免疫療法については、以下のコラムをご覧ください。
» 舌下免疫療法で鼻炎や皮膚症状も楽になる!ダニアレルギー対策の詳細はこちら
当院で対応可能な治療
巣鴨千石皮ふ科では、患者様の生活スタイルに合わせた治療を提案しています。
オンライン診療
当院では、初診から皮膚科・アレルギー科・内科のオンライン診療が可能です。
症状の相談や薬剤の処方がオンラインで完結するため、家事や育児、仕事などで忙しく受診が難しい方でもご活用いただけます(薬剤の送料は無料です)。
アプリをインストールする必要はなく、システム利用料もいただいておりません。
ぜひご利用ください。
» オンライン診療の詳細はこちら
舌下免疫療法の導入・継続に関するご相談
舌下免疫療法は、ダニアレルギーに対する治療法のひとつです。
アレルゲンを毎日少しずつ摂取することで体を慣らし、症状を出にくくします。
3~5年治療を継続すると、薬の服用を中止しても数年~8年ほど効果が続きます。
舌下免疫療法は、重大な副作用であるアナフィラキシーショックを回避するために、初回のみ院内での投与が必要です。
しかし、2回目以降はオンライン診療での対応が可能になります。
すでに他院で舌下免疫療法を開始している方についても、当院のオンライン診療で継続治療が可能ですので、どうぞご相談ください。
» 舌下免疫療法「ミティキュア」ダニアレルギー治療薬の詳細はこちら
生活環境や症状に合わせた治療の提案・アドバイス
ハウスダストによる症状は人それぞれで、同じ環境でも軽い鼻症状だけですむ方もいれば、咳や皮膚のかゆみなどに悩まされる方もいます。
そのため、生活環境や症状の程度に応じて対策を変える必要があります。
当院では、薬物治療はもちろん、掃除の仕方や寝具を清潔に保つ方法など、日常生活でできる対策なども含めて、症状の緩和を総合的にサポートします。
ハウスダストアレルギー対策は環境改善と治療のセットが有効
ハウスダストアレルギーを改善するためには、生活環境の改善だけでも、医療機関での治療だけでも十分とはいえません。
両者を組み合わせることで、より一層の効果が期待できます。
当院では、患者さまの生活環境に合わせたアドバイスも行っていますので、症状の改善がみられない場合はご相談ください。
よくあるご質問
- ダニアレルギーの舌下免疫療法を受ければ、ハウスダストアレルギーの治療は必要なくなりますか?
-
アレルギーの原因がダニであれば、舌下免疫療法で症状の改善が期待できます。
しかし、アレルギーの原因がダニ以外にもある場合は、症状に応じた治療が必要になります。
- 毎日掃除をすれば、ハウスダストを取り除くことができますか?
-
ハウスダストは、天井にもたまります。
また、ダニはどのような家にも必ずいるといわれています。
特に、家の中に多くいるチリダニ類は大きさが0.3~0.5mmと大変小さいため、目で見て存在を確認することはほぼ不可能です。
そのため、毎日掃除をしても、ハウスダストを完全に取り除くことはできないでしょう。
しかし、こまめに掃除をすれば、アレルゲンに接する機会を減らすことはできます。
- 親がハウスダストアレルギーだと、子どもにも遺伝しますか?
-
たしかに、親の「アレルギーになりやすい体質」が子どもに遺伝することはあります。
しかし、アレルギーの発症には、体質のほか生活習慣や住環境など複数の要因が関係しています。
したがって、親がハウスダストアレルギーでも、子どもがハウスダストアレルギーになるとは限りません。
記事制作者
小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)
「巣鴨千石皮ふ科」院長。日本皮膚科学会認定専門医。2017年、生まれ育った千石にて 「巣鴨千石皮ふ科」 を開院。
2児の母でもあり、「お肌のトラブルは何でも相談できるホームドクター」を目指しています。