公開日:2025年12月26日
最終更新日:2025年12月26日
花粉症とは?風邪とは何が違う?
春になると、スギやヒノキによる花粉症で「鼻水が止まらない」「目がかゆい」などの症状に悩まされる方が大変多くなります。
花粉症は、花粉が体内に入ることで免疫システムが過剰に反応し、鼻や目を中心にアレルギー症状を引き起こす病気です。毎年同じ時期に症状が出るのが特徴で、数ヵ月にわたって不調が続くこともあります。
一方、風邪の原因は微生物(おもにウイルス)です。発熱や全身のだるさなどをともなうこともありますが、症状は一過性です。ただし、風邪は感染症の一種なので、咳やくしゃみなどを介して周りの人にうつる可能性があります。
花粉症でよくみられる症状
花粉症の代表的な症状は、水のようにさらさらした鼻水、繰り返し出るくしゃみ、鼻づまりといった鼻の症状です。
これらの症状があると呼吸がつらくなるため、集中力が続かなくなったり、睡眠の質が低下したりするなどして日常生活に悪影響をおよぼすこともあります。
また、目やその他の部位にも以下のような症状があらわれます。
- 目の症状:目がかゆい、白目が充血する、涙が出る、目に異物感がある
- その他の症状:のどの違和感や咳、肌荒れや皮膚のかゆみ、下痢など
症状の強さは、体質や花粉の飛散状況によって異なります。関東地方の場合、スギ花粉は2月初め~4月中旬ごろにかけて、ヒノキ花粉は3月中旬~5月初旬ごろにかけて飛散量が多くなるため、この時期は特に注意が必要です。
花粉症と風邪の違い
日常生活でできる花粉症対策
花粉症対策の基本は、「花粉を避けること」です。
外出時の花粉症対策
花粉の飛散量が特に多くなるのは、以下のタイミングです。
- 晴れて気温が高い日
- 風が強く空気が乾燥している日
- 雨上がりの翌日
- 昼前後や夕方の時間帯
これらのタイミングでは外出を控えるのが理想ですが、やむを得ない場合はマスクやメガネを着用し、できるだけ花粉との接触を減らしましょう。
帰宅時の花粉症対策
帰宅時には、玄関に入る前に衣服や髪についた花粉を払い落とし、室内に入ったらすぐに着替えましょう。
その後、洗顔やうがいを行い、鼻や口、目の周りに付着した花粉を洗い流すと効果的です。
ただし、鼻や目の洗浄に水道水を使うのは避けてください。
鼻腔は市販の生理食塩水、目は人工涙液を用いて、粘膜や目の表面などを傷つけないようにしましょう。
家の中でできる花粉症対策
洗濯物を屋外に干すと花粉が付着しやすいため、花粉の飛散量が多い時期は室内干しがおすすめです。
窓の開閉を控え、空気清浄機を活用するのも有効です。
寝具やカーテンなど布製品には花粉がとどまりやすいため、こまめな掃除や洗濯を心がけてください。
花粉症の薬物治療
花粉症の治療で最も一般的なのが、薬物療法です。
鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどの症状には、抗ヒスタミン作用のある内服薬がよく使用されます。
鼻づまりがひどい場合には、抗ロイコトリエン薬も選択肢になります。また、症状に応じて点鼻薬や点眼薬を併用することもあります。
これらの治療は「症状を抑えること」が目的であり、体質を根本的に改善するものではありません。
しかし、花粉の飛散が本格化する前に治療を開始すると、ピーク時の症状悪化を防ぎやすくなり、比較的快適に過ごせるようになります。
» 【2026春】花粉症対策のクスリ。目と鼻に効く処方薬・市販薬一覧の詳細はこちら
当院で対応可能な治療
巣鴨千石皮ふ科では、患者様の生活スタイルに合わせた治療を提案しています。
オンライン診療
当院では、初診からオンライン診療にて花粉症治療薬の処方を行っております。
症状の相談や薬剤の処方がオンラインで完結するため、家事や育児、仕事などで忙しく受診が難しい方でもご活用いただけます(薬剤の送料は無料です)。
アプリをインストールする必要はなく、システム利用料もいただいておりません。
ぜひご利用ください。
» オンライン診療の詳細はこちら
舌下免疫療法
スギ花粉症に対する治療法のひとつです。
アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)を毎日少しずつ摂取することで体を慣らし、アレルギー症状を出にくくします。年単位(おおむね5年)の治療となりますが、根本的な症状改善につながります。
舌下免疫療法は、重大な副作用であるアナフィラキシーショックを回避するために、初回のみ院内での投与が必要です。
しかし、2回目以降はオンライン診療での対応が可能になります。
すでに他院で舌下免疫療法を開始している方についても、当院のオンライン診療で継続治療が可能ですので、どうぞご相談ください。
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新しい治療薬(ゾレアについて)
ゾレア(一般名:オマリズマブ)は、重症の季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)に有効性が認められている注射剤です。
従来の治療薬では十分な効果が得られない場合に選択肢となる新しい治療法で、症状の改善が期待できます。
ゾレアを季節性アレルギー性鼻炎に使用する場合、採血結果と体重によって1回の使用量や投与間隔が変わってきます。
当院では導入前のご相談も受け付けており、「かかりつけ医でゾレアを扱っていない」「自分の症状にゾレアが投与できるかどうか知りたい」といったご不安にも対応しております。
治療を検討されている方は、まずご相談ください。
» 「ゾレア(オマリズマブ)」の詳細はこちら
その他の選択肢(耳鼻咽喉科・頭頸部外科における手術)
薬物療法で十分な効果が得られない場合には、耳鼻咽喉科や頭頸部外科での外科的治療(手術)が選択肢となることがあります。
詳しくは日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会のホームページをご参照ください。
なお、当院では外科的治療は行っておりません。手術をご希望の場合は、耳鼻咽喉科・頭頸部外科のある医療機関へご相談ください。
スギ・ヒノキ以外の花粉にも注意
日本では、春先に飛散量が増えるスギやヒノキなどの花粉によりアレルギー症状があらわれる方が多いため、「花粉症=春の病気」と思われがちです。
しかし、花粉症の原因となる花粉はスギ・ヒノキ以外にもたくさんあり、一年を通じてさまざまな時期に飛散しています。
例えば、春から初夏にかけてはイネ科のカモガヤやオオアワガエリなど、夏から秋にかけてはキク科のブタクサやヨモギなどの花粉が飛散して、症状を引き起こすこともあります。
そのため、症状が長く続く場合は、他の花粉による影響も念頭に置きながら医師に相談することが大切です。
» 【2026春】花粉症の薬はいつから飲む?眠くならない薬や副作用まとめの詳細はこちら
花粉症は適切な治療で改善可能
花粉症は毎年症状があらわれるやっかいな病気ですが、日常生活で花粉との接触を減らす対策を行い、適切な治療を受けることで症状を軽減できます。
治療の選択肢は多岐にわたるため、医師と相談してより良い方法を見つけるようにしましょう。
よくあるご質問
- 花粉症の飲み薬は、眠くなるほうがよく効くのですか?
-
副作用である眠気の強さと、薬の抗アレルギー作用に相関はありません。
むしろ、「薬の服用で眠気を感じるほうがアレルギー症状の改善が不良である」という報告もあるようです。
- 車の運転ができるとされている薬を選べば、眠気は出ないのですか?
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眠気の副作用の発現率が低いため、車の運転などにつき注意喚起がされていない薬剤もありますが、眠気が絶対に出ないわけではありません。
副作用のあらわれ方は、薬との相性や体調にもよるため、眠気などを感じる場合は無理に自動車の運転などをしないでください。
- 花粉症の症状がつらいので、すぐにでもゾレアを使いたいのですが……。
-
ゾレアは、季節性アレルギー性鼻炎に適応がありますが、処方の対象となるのは「既存治療で効果不十分な重症または最重症」の方のみです。
症状がつらくても、既存の治療で効果がみられる場合は対象外となりますので、ご了承ください。
記事制作者
小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)
「巣鴨千石皮ふ科」院長。日本皮膚科学会認定専門医。2017年、生まれ育った千石にて 「巣鴨千石皮ふ科」 を開院。
2児の母でもあり、「お肌のトラブルは何でも相談できるホームドクター」を目指しています。