カロナールとは?
カロナール(一般名:アセトアミノフェン)は解熱(げねつ)作用と鎮痛(ちんつう)作用をあわせもつ飲み薬です。
世界保健機構(WHO)の必須医薬品モデルリストにも掲載されており、世界中の様々な国で使用されています。
日本での名称である「カロナール」の由来は「熱や痛みがとれて軽く、楽になる→(症状が)かるくなーる→カロナール」だといわれています。意外かもしれませんが、薬の名前の由来はこんなダジャレで決められていることもあります。
カロナールの特徴
カロナールは中枢神経に働きかけて様々な痛みを緩和する治療薬です。また体温調節中枢に直接作用し、熱を下げる効果もあります。
代表的な治療対象には頭痛、歯痛、筋肉痛、打撲痛、腰痛、月経痛、分娩後の痛み、関節痛、神経痛、様々ながんによる痛みなどが挙げられます。また急性上気道炎や小児科領域の疾患による発熱や疼痛に対しても有効です。皮膚の病気を例にあげると、手術後や帯状疱疹に伴う痛み、炎症性粉瘤・蜂窩織炎・化膿性爪囲炎などの細菌感染症などによる疼痛に対しても必要に応じてカロナールを投与することがあります。
カロナールは他の解熱鎮痛薬と比較すると、効果が穏やかで副作用が比較的少ない薬といわれています。そのため小さなお子さまや高齢者、合併症をお持ちの患者さまに対しても使用されます。市販薬でも、カロナールの成分であるアセトアミノフェンを含む薬は数多く販売されています(風邪薬など)。
カロナールの使い方
通常の痛みに対する使い方は、成人の場合1回300~1,000mgを経口で投与します。投与間隔は4~6時間以上空ける必要があります。投与量は年齢や症状に応じて医師の判断で増減することがありますが、1日に投与できる総量は4,000mgが上限です。小児の場合は体重1kgあたり1回 10~15mgを4~6 時間以上の間隔で経口投与し、1日の上限は60mg/kgまでです。なお成人の急性上気道炎に対しては1回300~500mgを頓用しますが、原則として1日2回までとし、1日最大1,500mgを限度としています。
カロナールの投与量 簡易的な一覧表
カロナールの剤型には、錠剤、細粒、シロップ、ドライシロップなどの飲み薬のほか、坐薬もあります。
成人には錠剤を、小児に対しては坐剤やシロップを使用することが多いです。
カロナールを服用する上の注意点
一般的な注意
カロナールはあくまでも痛みを一時的に取り除くための薬です。原因を根本的に治してくれる薬ではありません。
カロナールを内服しても治ってこない場合には、痛みの原因となる病気や怪我に対して治療をしなければならない状態かもしれませんので医療機関を受診してください。
持病がある場合の注意
消化管潰瘍・血液の異常・重症肝機能障害・重症腎機能障害・心機能不全・カロナールに対するアレルギー・アスピリン喘息などに当てはまる場合は、これらの病状が増悪する場合がありますので、カロナールを内服することができません。内服可否については、医師または薬剤師にご相談ください。
注意すべき副作用
カロナールによって、重篤な肝機能障害を起こす場合があります。内服後に体調が悪くなった場合は、速やかに医療機関へご相談ください。
日常生活における注意点
食事との関連
糖分の多い餡・クラッカー・ゼリー・炭水化物を多く含む食事と同時に服用すると、薬が吸収される速度が遅くなります。薬が速く効いて欲しい場合はこれらと共に服用しないようにしてください。また、アルコールと併用すると薬が効きにくくなります。その他にも空腹時の投与を避けさせることが望ましいとされています。
他の薬との併用に関して
炭酸リチウム・チアジド系利尿剤・ワーファリン・カルバマゼピン・フェノバルビタール・フェニトイン・プリミドン・リファンピシン・イソニアジドなど、カロナールと飲み合わせの悪い薬もありますので、常用薬がある場合は診察時に申し出るようにしてください。
妊娠されている方への使用に関して
妊婦の方にも使用可能ですが、妊娠後期だと胎児に影響する可能性があるともいわれています。使用を検討される場合は医師や薬剤師にご相談ください。
お子様への使用に関して
添付文書によると、カロナールは低出生体重児、新生児、生後3ヶ月未満の乳児に対する安全性は確立されていません。
カロナールの患者さま負担・薬価について
代表的な剤型として、錠剤の場合をご説明します。カロナールの錠剤には200mg錠、300mg錠、500mg錠の3種類があり、それぞれの薬価は以下の通りです。
例えば3割負担の患者さまがカロナール500mg錠を1日3回、1週間内服した場合、70.56円の負担になります(薬剤費のみの計算です)。
よくあるご質問
- 痛みに対してカロナールを飲んでも効き目が悪い気がします。追加して飲んでも良いですか?
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その痛みが痛み止めを内服して我慢して良いかどうか、ご自身で判断するのは危険です。一度医療機関を受診されることをおすすめします。どうしても追加内服せざるを得ない場合でも1日の上限量は超えないように注意し、早めに医療機関を受診してください。
- 痛み止めとしてカロナールを内服する場合、同時にムコスタも飲んだ方が良いですか?
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痛み止めの中でも、NSAID(エヌセイド)に分類される種類のものを継続的に内服される場合はムコスタなどの胃薬を併用した方が安心です。カロナールも痛み止めですが、NSAIDではなくアセトアミノフェンという種類の薬です。アセトアミノフェンが胃粘膜障害を起こすことはまれなため、一緒に胃薬を内服する必要はありません。