ハイボンとは?
ハイボン(一般名:リボフラビン酪酸エステル)はビタミンB2を主成分とする製剤で、主にビタミンB2欠乏によって生じる粘膜や皮膚の症状、眼の症状などを改善するお薬です。ハイボンはさらに、血中コレステロールを低下させる効果もあわせもっているため高コレステロール血症の治療にも用いられています。
名称の由来は、Hi → High(英語)「高級な」、bon → Bon(仏語)「すばらしいもの」を組み合わせてハイボン(HIBON)と命名されました。
ハイボンの特徴
ハイボンの主成分であるビタミンB2は、体内における脂肪・炭水化物・たんぱく質の代謝や呼吸、血球形成、抗体生産などに必要とされています。また細胞の再生やエネルギー代謝を促進することで健康な皮膚や髪の毛を作り、粘膜を保護します。また、動脈硬化・高血圧・脳卒中などの生活習慣病を予防する効果もあるといわれています。これらの効果に期待し、ビタミンB2製剤は皮膚や粘膜の諸症状に対して処方されます。
具体的には口角炎・口唇炎・舌炎・口内炎・脂漏性皮膚炎・急性湿疹や慢性湿疹・肛門周囲や陰部のびらん・日光皮膚炎・尋常性ざ瘡(ニキビ)・酒さ・ペラグラなどの症状に対して使用します。また皮脂の分泌を抑えることでニキビを抑制する効果があるとして美容目的に使用することもありますが、この場合は保険適用外になります。
ハイボンの使い方
ハイボンは通常、成人の場合1日5〜20mgを2〜3回に分けて経口で投与します(高コレステロール血症に対して投与する場合は,1日60〜120mgを2〜3回に分けて投与します)。なお、年齢や症状によって適宜増減します。
ハイボンを服用する上の注意点
ハイボンの副作用について
副作用として、下痢・悪心・嘔吐・胃や腹部の膨満があるとされています。これらの症状が現れた場合には服薬を中止し、担当の医師にご相談ください。また、尿の黄色味が強くなって尿検査の値に影響を与える場合があります。ちなみに栄養ドリンクを飲んだ後に尿が濃い黄色になることがありますが、これもビタミンB2の色によるものです。
日常生活における注意点
食事とビタミンB2について
ビタミンB2は牛肉・豚肉・鶏肉のレバーや、うなぎなどの魚、乳製品や卵といった動物性の食品に含まれていますが、食事から十分な量を摂取するのはなかなか大変です。実際、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると18歳〜74歳の男女におけるビタミンB2の推奨摂取量は男性1.5〜1.6mg、女性1.2mgであるのに対し、厚生労働省「平成30年国民健康・栄養調査」における日本人のビタミンB2摂取量は20歳〜69歳の男性で1.11〜1.32mg、20歳〜59歳の女性では0.96〜1.12mgと低い値が報告されています。ビタミンだけに注目して食事をするわけにはいきませんが、普通の食生活ではビタミンB2が不足しがちであることは認識しておく必要があるでしょう。
水溶性であることについて
ビタミンB2は水溶性ビタミンであり、過剰に摂っても体外に排出されます。そのため、摂り過ぎて体に悪影響を及ぼす心配はありません。ただその一方で、体内で蓄えておくことは難しい物質です。きちんとした効果を得るためには、継続的な内服が必要になります。
妊娠中とビタミンB2について
妊娠中はお腹の中に赤ちゃんがいるため、母体にとっては様々な栄養が不足しがちです。ビタミンB2もその一つであり、妊娠中におけるビタミンB2の推奨摂取量は普段より0.3mg多いとされています。
ハイボンの患者さま負担・薬価について
ハイボンの内服薬における剤形・薬価は以下の通りです。
ハイボン錠20mg:5.7円/錠
ハイボン細粒10%:12.2円/g
ハイボン細粒20%:15.6円/g
上記が薬価ですが、保険が適用される場合のお値段です。
よくあるご質問
- 口角炎や肌荒れが起きやすいのですが、ハイボンなどのビタミンB2製剤を摂取したら治りますか?
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症状の原因がビタミンB2の不足によるものであれば症状の改善が期待できます。ただしビタミン不足とは直接関係ないことが原因で口角炎や肌荒れが生じている可能性も考えられ、その場合はハイボンは無効である可能性が高いです。
- ハイボンの市販薬はありますか?
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ビタミンB2製剤には市販のものがあります。ただし、他のビタミン類と混合されている製品もありますので、市販品のご購入を検討される際はビタミンB2がどの程度配合されているか、確認されることをおすすめします。
記事制作者
小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)
「巣鴨千石皮ふ科」院長。日本皮膚科学会認定専門医。2017年、生まれ育った千石にて 「巣鴨千石皮ふ科」 を開院。
2児の母でもあり、「お肌のトラブルは何でも相談できるホームドクター」を目指しています。