ケラチナミンとは?
ケラチナミン(一般名:尿素)は、主成分である尿素を20%配合した外用薬です。
尿素には、角質の水分保持能を増加させる作用や、角質を軽く溶解・剥離させる作用があることから、乾燥をともなう皮膚疾患に使用されたり、アトピー性皮膚炎に対する保湿剤として使われたりします。
なお、「ケラチナミン(Keratinamin)」という商品名は、「角質(keratin)」「角化(keratinization)」を治療する薬剤、という意味で付けられたとのことです。
ケラチナミンの特徴
ケラチナミンの有効成分である尿素には、角質が保持する水分量を増加させ、皮膚のうるおいを高める作用が認められています。また、角質を溶解・剥離させ、肥厚している角質層を菲薄化させたり鱗屑を消失させたりする作用も認められています。
臨床試験では、魚鱗癬患者の魚鱗様紋理を軽快させる効果・乾皮症患者および進行性指掌角皮症患者の乾皮や角化皮膚をしっとりさせる効果などが認められています。さらに、魚鱗癬、アトピー皮膚、老人性乾皮症を対象とした二重盲検比較試験においても有用性が確認されています。
ケラチナミンの効能効果・用法用量
ケラチナミンは、魚鱗癬、老人性乾皮症、アトピー皮膚、進行性指掌角皮症(主婦湿疹の乾燥型)、足蹠部皸裂性皮膚炎、掌蹠角化症、毛孔性苔癬に適応があります。
通常は1日1〜数回、適量を患部に塗擦します。
ケラチナミンの禁忌・副作用など
ケラチナミンを外用してはいけない例・外用に注意が必要な例
ケラチナミンは、眼粘膜などの粘膜には使用できません。これは、尿素によって粘膜機能が障害されるおそれがあるためです。したがって、ケラチナミンを手指に塗布している場合は、誤って目に触れることがないようご注意ください。
また、使用部位に炎症や亀裂がある場合、あるいは皮膚刺激に対する感受性が亢進している場合は、塗布部位にピリピリとした刺激感があらわれやすいため、注意が必要です。
その他、ケラチナミンの成分に過敏症の既往歴がある場合も、使用を避ける必要があります。
ケラチナミンの副作用について
ケラチナミンの使用にあたり、特に重篤な副作用は報告されていません。
比較的頻度の高い副作用としては、ピリピリ感や紅斑、そう痒感、疼痛、丘疹などが報告されています。これらの症状があらわれた場合はケラチナミンの使用を中止しなければならないこともあるため、気になる症状がある場合は早めにご相談ください。
日常生活における注意点
他の治療薬との併用に関して
添付文書上、ケラチナミンとの併用が禁忌となっている薬剤はありません。もちろん、病気の治療のために内服薬を服用するのも問題ありません。
ただし、他の外用薬を使用している場合は使い分けが必要なこともあります。
そのため、併用薬がある場合は市販薬も含めてすべてお伝えください。
特定の患者さまへの使用に関して
妊娠中の方、授乳中の方の使用に関して
妊娠中の方または妊娠している可能性がある方には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみケラチナミンの使用を検討します。
授乳中の方については、治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討します。
お子さま、ご高齢の方への使用に関して
ケラチナミンを適切に使う限りにおいては、特に問題はないと考えられます。
ただし、副作用であるピリピリ感や紅斑、そう痒感、疼痛、丘疹などの症状があらわれる可能性は否定できません。
したがって、使用にあたっては自己判断で使用量や使用回数を増やしたりせず、副作用と思われる症状があらわれた場合は速やかに受診して適切な処置を受けてください。
ケラチナミンの患者負担・薬価について
ケラチナミンコーワクリーム20%には、25g/本と50g/本のチューブ品があります。薬価は4.6円/gなので、25g包装の薬価は1本115円、50g包装の薬価は1本230円になります。
もっとも、患者さまにご負担いただくのは保険割合に応じた金額になります。例えば、3割負担の患者さまがケラチナミンコーワクリーム20%を50g処方された場合、ご負担金額は69円です(薬剤費のみの計算です)。
ジェネリック薬を使用すれば、さらに薬剤費をおさえられます。
よくあるご質問
- ケラチナミンと同じ成分の市販薬はありますか?
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医療用のケラチナミンと同じ成分の市販薬は、ドラッグストアなどで購入できます。また、有効成分である尿素の濃度が若干低めの製品も多数販売されています。
ただし、市販薬は添加物が医療用のケラチナミンとは異なる場合があります。また、尿素だけではなく、かゆみや炎症をおさえる成分が配合されているものも少なくありません。さらに、市販薬は適応もかなり限定されているため、医療用のケラチナミンと同じように使うことはできません。
市販薬を使っても症状が改善しない場合や刺激を感じる場合などは、使用をやめて受診してください。
- ケラチナミンって、尿素が入っているんですよね。何だかクサそうなイメージなのですが……。ニオイは気になりませんか?
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尿素には「尿」という文字が使われているためクサいと思われがちですが、ニオイはありません。また、ケラチナミンには添加物として尿素以外の成分も配合されていますが、これらも気になるニオイはほとんどありません。
そのため、ケラチナミンを使って不快なニオイを感じることはまずありませんので、ご安心ください。
- ケラチナミンは、ヒビやあかぎれにしみませんか?
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ケラチナミンを炎症や亀裂のある部位に使用すると、ピリピリ感などの刺激感が生じやすいため注意が必要です。塗布時には塗る量を加減するなどして、患部に強い刺激を与えないようにしてください。
なお、市販のケラチナミンシリーズには、ヒビ・あかぎれを対象とした商品がありますが、これらには尿素が含まれていません。亀裂部分の皮膚組織を修復する成分や、皮膚組織の修復をうながす成分が配合されているまったく別の薬ですので、ご承知ください。
- ケラチナミンは、かゆみにも効きますか?
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ケラチナミンはかゆみに対する適応はありません。そのため、ケラチナミンを虫刺されなどのかゆみに対して使っても、十分な効果は期待できません。
しかし、かゆみの原因が魚鱗癬や老人性乾皮症、アトピー皮膚などにある場合は、症状の改善にともないかゆみが和らぐ可能性があります。
- ケラチナミンを皮膚の薄いところに塗ると、ちょっとピリピリする感じがあります。塗り続けても大丈夫ですか?
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ケラチナミンを皮膚の薄いところに塗ると、尿素の浸透圧の影響でピリピリとした刺激を感じることがあります。軽い刺激であれば特に問題ありませんが、ピリピリする感じが強い場合は使用をやめ、受診時にご相談ください。症状によっては、別の薬剤への変更を検討します。
- ケラチナミンの使用期限はいつまでですか?
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未開封のケラチナミンは、適切に保管すれば使用期限まで問題なく使えます。使用期限はチューブの本体に記載されていますので、ご確認ください。
開封後のケラチナミン(チューブタイプ)は、開封日から6ヵ月を過ぎたら廃棄してください。軟膏容器に小分けされたケラチナミンは、処方日から3ヵ月を過ぎたら廃棄してください。
なお、使用期限内でもクリームの色が変わっていたり、分離していたりする場合はすぐに捨て、誤って使用することがないようにしましょう。
- ケラチナミンを塗り忘れた場合はどうすればいいですか?
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ケラチナミンを塗り忘れた場合は、気が付いたときに1回分を塗布してください。ただし、次の塗布時間が近い場合は、忘れた分を飛ばして次のタイミングから指示通りに塗布してください。その際、塗り忘れ分をあわせて2回分塗る必要はありません。