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リットフーロとは?
リットフーロ®カプセル50mg(一般名:リトレシチニブトシル酸塩カプセル)は、経口の円形脱毛症治療薬で、2023年6月26日に製造販売承認され、2023年9月27日に発売されました。
円形脱毛症は自己免疫性疾患で、体が自分自身の毛包を攻撃してしまい、毛が塊で抜け落ちてしまう病気です。再発を伴い慢性化する可能性があり、容姿・外見への影響が大きく生活の質(QOL)に大きく関わります。
リットフーロの適応症は円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲におよぶ難治の場合に限る)です。具体的には50%以上に脱毛が認められ、過去6ヵ月程度毛髪に自然再生が認められない状態です。
リットフーロの名前の由来は、一般名であるリトレシチニブに、日常生活(LIFE)をフル(FULL)に楽しむという意味を込めて命名されました。
リットフーロの特徴
リットフーロはATP(アデノシン三リン酸)結合部位の遮断により、JAK(ヤヌスキナーゼ)3および5種類のTECファミリーキナーゼを不可逆的に阻害する共有結合形成型の経口投与可能な低分子製剤です。
JAKファミリーキナーゼのうちJAK3に対する選択性が極めて高く、JAK1、JAK2、TYK(チロシンキナーゼ)2に対する阻害活性はほとんど示しません。円形脱毛症の病態に関与するIL-15、IL-21等の共通γ鎖受容体のシグナル伝達をJAK3阻害により強力に抑制し、CD8陽性T細胞およびNK細胞の細胞溶解能をTECファミリーキナーゼ阻害により抑制することで治療効果を発揮します。
リットフーロの臨床試験結果について
円形脱毛症に対するリットフーロの臨床試験ALLEGRO-2b/3(日本人を含む国際共同のデータ)をご紹介します。
12歳以上で頭皮の50%以上の脱毛が6カ月以上続いている患者さまを対象として、リットフーロ50mg、プラセボ(偽薬)の2群に分けて※SALTスコアを用いて比較しています。
主要評価項目は24週時点のSALT≦20(頭皮の脱毛割合が24週目に20%以下まで改善した患者さまの割合)の達成率、副次評価項目は同様に48週時点のSALT≦20達成率をみています。
投与期間 | リットフーロ 50mg群 |
プラセボ群 |
---|---|---|
24週時点の SALT≦20 達成率 |
23.39% (29人/124人) |
1.54% (2人/130人) |
48週時点の SALT≦20 達成率 |
43.20% (54人/125人) |
(データなし) |
リットフーロ50mg群はプラセボ群と比較して優越性が検証されました。
リットフーロの対象患者
成人および12歳以上の小児の円形脱毛症患者
リットフーロの投与方法
リットフーロカプセル50mgを1日1回経口投与します。
副作用について
プラセボと比較した臨床試験では、リットフーロ50㎎群が36.2%でプラセボ群が37.4%の副作用発現率でした。
リットフーロに特徴的な副作用は現在のところ明らかにはなっておりません。
※プラセボと比較して特に高かった副作用はありませんでした。
リットフーロの薬価(薬剤の価格)
リットフーロカプセルの薬価は1カプセルあたり5,802.4円です。類似薬効比較方式でオルミエントを比較薬として有用性加算Ⅱ(5%)が算定されました。また12歳以上の小児から使用可能となり小児加算(5%)も算定されています。2023年8月30日に薬価基準収載され、9月末発売予定です。
1ヶ月服用(30日換算・3割負担の方)すると、1日1カプセルの服用で薬剤の自己負担額は52,221.6円となります。
なお新医薬品については、「1年間は14日分を限度として投与すること」とされていますので、1回の診察につき14カプセルの処方が上限となります。
当院でリットフーロによる治療をご検討の方は、お問い合わせフォームよりご連絡をいただきますようお願いします。