オルミエントは2022年6月13日、重症な円形脱毛症に対する初の全身治療薬として米FDAから承認を取得しました。続いて2022年6月20日、国内においても適応追加の承認を取得しました。適応症は
- 円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る)
です。具体的には50%以上に脱毛が認められ、過去6ヵ月程度毛髪に自然再生が認められない状態です。
円形脱毛症は自己免疫性疾患で、体が自分自身の毛包を攻撃してしまい、毛が塊で抜け落ちてしまう病気で、容姿、外見への影響が大きく生活の質(QOL)に大きく関わります。
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オルミエントは、炎症につながる経路を妨害することで効果を発揮すると考えられます。
海外データのご紹介
海外データにはなりますが、円形脱毛症に対するオルミエントの臨床試験をご紹介します。
頭皮の50%以上の脱毛が6カ月以上続いている患者さまを対象としてオルミエント2mg、オルミエント4mg、プラセボ(偽薬)の3群に分けて比較しています。
主要評価項目:36週目に頭皮の毛髪被覆率が80%以上となった患者の割合
これまで有効な打ち手が乏しかったため、選択肢が増えるのは大変喜ばしいことです。
オルミエントの取り扱いに関して日本皮膚科学会より留意事項が出ており、皮膚科を標榜するクリニックや病院でもオルミエントの取り扱いがない場合があります。あらかじめご確認いただくことをおすすめします。
当院ではすでにオルミエントを導入しており、円形脱毛症の患者さまにおいても的確に判断して導入していく予定です。当院でオルミエントによる円形脱毛症の治療をご希望の方は、お問い合わせフォームよりご連絡をいただきますようお願いします。
JAK阻害薬オルミエントの「新型コロナによる肺炎」の効能追加について
厚生労働省は2021年4月23日、オルミエントを第3の新型コロナ治療薬として正式承認しました。このニュースはオルミエントの取り扱いがある当院としても驚きました。
日本イーライリリーからのご案内を詳しく見てみると、アトピー性皮膚炎の治療とは大きく違い、COVID-19感染による適応は「酸素吸入を要する患者に限る」とされています。
また注意事項として「酸素吸入、人工呼吸管理又は体外式膜型人工肺(ECMO)導入を要する患者を対象に入院下で投与を行うこと」との記載があります。
つまり新型コロナウイルス感染症でも重症で集中治療室など入院し酸素吸入をしている患者さまの追加のお薬ということになります。当院でも問い合わせをいただいたため念のため記載いたします。