円形脱毛症(alopecia areata:AA)

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円形脱毛症とは?

円形脱毛症のイラスト

丸いかたちに毛が脱毛してしまうことを円形脱毛症といいます。髪の毛だけでなく、身体の毛が生えている部分どこでもなる可能性があります。
髪の毛の一部だけでなく全身の毛が抜け落ちてしまうタイプの円形脱毛症もあります。
自覚症状がないのが一般的ですが、脱毛前や髪が生えるときなどに軽い痒みや違和感を感じることもあります。

円形脱毛症に合併する病気がないひとでは80%以上で1年以内に治るといわれていますが、再発することもあります。また、脱毛の範囲が広いひとほど治りにくく、全部の毛が抜けてしまった場合、治る確率は10%以下と低い確率です。

円形脱毛症の原因

はっきりとした原因はわかっていませんが、自己免疫性疾患といって、脱毛部分で自身の免疫機能が異常な働きをしていると考えられています。自身のもつ体質、遺伝子がある上で、疲れやストレス、感染症などが引き金になって円形脱毛症になるといわれていますが、きっかけがはっきりしないひとも多くいることもたしかです。また、家系に円形脱毛症を発症している人がいるほど発症しやすく、また、アトピー性皮膚炎のひとほどなりやすいことが報告されています。

そのほか、橋本病などの甲状腺疾患や尋常性白斑、SLE、関節リウマチ、Ⅰ型糖尿病、重症筋無力症などと合併することもいわれており、円形脱毛症をみたときに合併症がないかの確認をする必要があります。

円形脱毛症の診断

診断の手順としては、まずは症状の経過、そのほかの病気、家族の病歴など詳細な問診が大切になります。円形脱毛症の状態を把握することだけでなく、背景となるアトピー性皮膚炎の他病気の有無などについても必要に応じて検査を行います。

円形脱毛症の経過はさまざまで、脱毛斑といって脱毛した部分の数や範囲によりタイプ別されます。主に頭の25%以上に脱毛が及ぶことを重症といい、範囲がひろいほど治りにくい状態です。

脱毛がはじまって半年を急性期といいますが、その頃には脱毛部位でない部分もひっぱると毛が容易に抜けてしまうため牽引試験(pull test)で判断することができます。また、ダーモスコピーで脱毛部位を観察することもあります。

円形脱毛症で症状がでるのは体毛部位だけでなく、爪への影響があげられます。爪の甲に小さな陥没(点状陥凹)があらわれることがあり、円形脱毛症の発症や再発を爪においても観察できるのです。

円形脱毛症の治療

円形脱毛症の程度により治療法がかわり、保険適応となる治療から自費診療までさまざまな薬が試されています。

当院での第一選択はステロイドの外用とフロジン液(カルプロニウム塩化物)の外用で、これまでの実績と安全性が確保されており、外用することで脱毛範囲が縮小するといわれています。

牽引法で毛がぬけない症例ではフロジン液(カルプロニウム塩化物)の外用を行い、牽引法で毛が抜けるような症例ではステロイドの局所注射を追加していきます。
ステロイドの局注は4~6週毎に行うことで発毛がうながされる効果の高い治療ですが、注射部分が萎縮、痛みがでたり、血管拡張といった副作用も報告されているため注意が必要です。また、脱毛範囲が広範な場合、局注の回数が増えてしまうことからほかの治療も検討すべきといえます。

カルプロニウム塩化物の外用やステロイド外用といった標準的治療が効かない場合にステロイドの内服を行うことがあります。急速に脱毛が進行しているケースで使われる治療で、ステロイド内服により3~6ヶ月といった短期で毛髪が回復する可能性があるのです。ステロイドの内服は肥満や満月用願望、緑内障や糖尿病、骨粗鬆症といった副作用も多くあるため、短期的に行うことが特徴です。また、4割で短期間に毛が生えそろったもののふたたび脱毛がみられ再発もしやすいことがわかっています。

脱毛面積が25%未満の軽症の場合には経過観察のみで7割が1年以内に改善がみられるといわれます。

脱毛面積が50%以上に及ぶ重症の場合、内服薬のオルミエントによる治療も可能です。
頭や身体全体の脱毛がみられる場合にはかつら等の使用も選択肢にはいります。

その他の治療

抗ヒスタミン薬やセファランチン、グリチロン(グリチルリチン)といった薬の内服も保険適応となっています。
いずれも強い効果が立証されているものではありませんが、これまでに行われてきた実績と安全性が確保されている治療です。フロジン液(カルプロニウム塩化物)の外用やステロイド外用に併行して行うことでさらなる改善がえられるかもしれません。
また、脱毛斑に液体窒素などをあて、誤作動を起こした免疫細胞の働きを抑えて、毛髪の再生を図る冷凍凝固療法を行うこともあります。

円形脱毛症の予防や注意事項

円形脱毛症は体毛と爪だけに病変があらわれる病気ですが、容姿、外見にかかわる、生活の質(QOL)に大きく関わってくる問題です。軽症例は1年以内によくなるケースが多いものの、重症例はよくなったり悪くなったりを切り返しながら脱毛範囲が広くなっていきます。

根本的に治すことは難しく、対症療法でありながら特効薬といえる薬にも乏しいのが現状でインターネットをみるとさまざまな治療法について情報が飛び交っています。
個人にあった治療をおこなっていくことが大切であり、まずは適切な診察をうけ、適切な治療に結びつくようご受診ください。
 

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