ソーティクツとは?
ソーティクツ錠(デュークラバシチニブ)はブリストルマイヤーズスクイブ株式会社によって開発された、世界初となる経口投与可能なチロシンキナーゼ2(TYK2)阻害剤です。「既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、膿疱性乾癬および乾癬性紅皮症」の適応症を持つ1日1回の飲み薬です。2022年9月26日に製造販売承認を取得し、2022年11月16日に発売されました。
チロシンキナーゼ2(TYK2)について
TYK2は細胞外からの刺激シグナルを細胞内に伝達するために働くリン酸化酵素(キナーゼ)群のひとつであるヤヌスキナーゼ(JAK)ファミリーの分子で、乾癬を含む自己免疫疾患の病態に寄与するインターロイキン(IL)-23、IL-12、I 型インターフェロンなどの炎症性サイトカインの受容体に結合して下流にシグナルを伝達する役割を担っています。
名称の由来
ソーティクツの名称の由来はTYK2に高い選択性を持つお薬であること、乾癬患者さまにとって優れた経口治療薬(Superior Oral treatment)になるようにという願いを込めて、SOTYKTUと名づけられました。
一般名のデュークラバシチニブ(Deucravacitinib)は、本剤が重水素(deuterium)を含むことを示すDeuを冒頭におき、末尾のステムはJAK阻害剤の標準ステムである-citinibとなりました。Deuとcitinibの間には様々な国で発音がしやすく特定の意味を持たないことなどを配慮して決定されました。
ソーティクツの特徴
ソーティクツは、TYK2(チロシンキナーゼ2)阻害薬と呼ばれ、これまでの飲み薬とは異なる作用をもつ乾癬の治療薬です。乾癬には、Ⅰ型IFN,IL-23,IL-17,TNFαと呼ばれる様々なサイトカイン(炎症性物質)が関与しています。TYK2は、Ⅰ型IFN、IL-12,IL-23のサイトカイン受容体からの炎症シグナルを細胞核伝える役割を担っております。TYK2阻害することで、乾癬に関係するサイトカインを抑え、各種症状に効果があります。また、既存のJAK阻害剤とは異なる作用機序を有しており、TYK2への選択性を高める工夫がなされております。
ソーティクツの効果
中等症から重症の尋常性乾癬患者を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験(IM011-046試験)と海外第Ⅲ相臨床試験(IM011-047試験)の結果をご紹介いたします。
主要評価項目は投与16週のPASI75達成率およびsPGA(0/1)達成率です。いずれもプラセボ群に比べてソーティクツ投与群で統計学的に有意に高い結果が示されました。(プレスリリースより抜粋)
既承認の経口治療薬で広く用いられているオテズラ(アプレミラスト)投与群との比較に対して、副次評価項目とした投与16週のPASI75達成率およびsPGA(0/1)達成率は、ソーティクツ投与群で統計学的に有意に高い値が示されました。
ソーティクツの国内臨床試験の結果
国内第Ⅲ相臨床試験(IM011-066試験)の臨床成績は、投与16週のPASI75達成率が71.6%、sPGA 0/1達成率は75.7%で国際共同臨床試験の結果よりも高い達成率でした。人種や体型など因果関係は解析中ですが、国内で行われた臨床試験で治療効果がよいという結果は期待できます。
ソーティクツの対象患者さまについて
ソーティクツは、既存治療では十分に効果が得られない成人の尋常性乾癬・膿疱性乾癬・乾癬性紅皮症の患者さまに使用いただけます。
なお、既存治療とは光線療法やその他の内服治療のことをいいます。
ソーティクツの投与方法と投与スケジュール
1日1回1錠の飲み薬です。用量の増減など調節は不要です。服薬時間の制限はありませんので1日の中で生活スタイルに合った時間帯に飲むことができます。
ソーティクツの使用上の注意、副作用など
投与できない方
- 重篤な感染症の方
- 活動性結核の方
- 過去にソーティクツに含まれる成分で過敏症のあった方
注意が必要な方
- 感染症・感染症が疑われる人または過去に再発性感染症があった方
- 過去に結核にかかったことのある人または結核の感染が疑われる方
- B型肝炎ウイルスキャリアまたは過去にB型肝炎ウイルスに感染したことがある方
(HBs抗原が陰性で、HBc抗体またはHBs抗体 が陽性の人)
- 肝臓に重度の障害がある方
- 妊婦または妊娠している可能性のある方
- 授乳中の方
治療中に注意すべき症状
感染症(上気道感染等)感染症にかかると、身体のだるさや発熱、寒気等がみられることがあります。少しでも異変を感じたら、早めにご相談ください。
ソーティクツの患者負担・薬価(薬剤の値段)について
ソーティクツの薬価は6mg1錠2533.40円です。3割負担の患者さまがソーティクツを1カ月(30日)処方された場合、ご負担金額は21,250円となります(薬剤費のみの計算です)。
当院でソーティクツによる治療をご検討の方は、お問い合わせフォームよりご連絡をいただきますようお願いします。
よくあるご質問
- 薬を服用し忘れたときはどうしたらよいですか?
- 飲み忘れに気がついたらすぐに、その日の分を飲んでください。ただし、次の回の飲む時間が近い場合は1回とばして、次の回に 1回分飲んでください。毎日なるべく同じ時間に服用し、一度に2回分を服用しないようにしてください。
- サプリメントは飲んでもよいですか?
- 薬に影響があるため控えるべきサプリメントの規定はありませんが、飲む前にご相談ください。市販の薬についても同様に、自己判断で服用せず、医師にご確認ください。
- 調子が良くなってきたので薬を飲むのをやめてもよいですか?
- 症状が改善した状態を維持するためには、毎日続けて服用していくことが重要です。自己判断で中断したり、飲む錠数・回数を変更したりせずに、まずはご相談ください。
- 乾癬治療以外で医療機関を受診する際に気を付けることはありますか?
- ソーティクツを服用していることを必ずお伝えください。正確に伝えるためにお薬手帳を持参いただくことをおすすめします。
- ワクチンは接種可能でしょうか?
- この薬を使用している間は生ワクチン[BCG、麻疹(はしか)、風疹 (ふうしん)、麻疹・風疹混合(MR)、水痘(みずぼうそう)、おたふく 風邪等]の接種はできません。接種の必要がある場合には医師にご相談ください。
- 感染症にかかりにくくするためにはどうしたらよいですか?
- 普段から手洗いうがいをしっかり行い、感染リスクを下げることが大切です。
- 治療にかかる費用が心配です。
- 高額な治療を受ける方の収入や年齢などの状況等によっては医療費のサポートを受けられる可能性があります。
記事制作者
小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)
「巣鴨千石皮ふ科」院長。日本皮膚科学会認定専門医。2017年、生まれ育った千石にて 「巣鴨千石皮ふ科」 を開院。
2児の母でもあり、「お肌のトラブルは何でも相談できるホームドクター」を目指しています。