漢方薬106「温経湯(ウンケイトウ)」

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温経湯とは

温経湯の画像

温経湯の出典は金匱要略(きんきようりゃく)で3世紀の初めごろに張仲景が記した医学書です。金匱要略中には循環器障害、呼吸器障害、泌尿器障害、消化器障害、皮膚科疾患、婦人科疾患などの治法を論じています。月経不順や月経困難があり、それに加えて口唇や冷えとほてり感が混在するような場合にお使いいただける処方です。

手先が家事やお仕事などで乾燥し潤いがないような方は、バリア機能が低下し湿疹などの皮膚トラブルが起こる可能性があります。リップクリームやハンドクリームが手放せないような方のしもやけや湿疹のある方にお役立ていただけます。上記のような症状を改善するために滋陰薬(身体に潤いを与える)や補血薬(血を補う)、駆瘀血薬(血の滞り)が含まれています。

漢方医学的説明

瘀血

血液・内分泌の滞りのことです。栄養や潤い、身体の修復材料、あたたかさを運搬する働きがあり、それらが局所に滞っている状態のことを指します。瘀血の症候とはシミやそばかすができやすい、肌荒れ、月経異常などが挙げられます。温経湯に入っている駆瘀血薬は牡丹皮です。

血虚

血液や内分泌などの不足のことです。栄養や潤い、身体の修復材料、あたたかさを運搬する働きがあり、それらが不足している状態を表します。血虚の症候としては皮膚や唇の乾燥と荒れや傷が治りにくい、月経不順、冷え症などが挙げられます。それらを改善するには補血薬が配剤された漢方薬を使用します。代表的な補血薬には温経湯に入っている当帰、芍薬、川芎などが挙げられます。

陰虚

体内をめぐる「水」が不足し、身体に潤いが足りていない状態を陰虚と言います。「水」とは体内をめぐる血液以外の体液全般のことを指します。水の役割は冷却と滋潤です。そのため陰虚では熱を冷まし潤す「水」が不足しているため、微熱やほてり、口渇、口腔内の乾燥、乾燥性咳嗽、皮膚のかさつき、便秘傾向になる等の症状が生じると考えられます。それらを改善するには滋陰薬が配剤された漢方薬を使用します。主な滋陰薬は麦門冬、天門冬、五味子、阿膠などです。

» 漢方的なとらえ方の詳細はこちら

上記の所見を温経湯だけで改善するわけではありません。症状に併せて漢方を選択する必要がございますのでご相談ください。

オンライン診療対応可能

当院では、初診からオンライン診療にて漢方薬の処方を行っております。通院なしで薬剤をお送りすることが可能です(送料無料)。アプリのインストールは不要で、システム利用料も徴収しておりません。よろしければご利用ください。

下記のいずれかのボタンからお申込みください。

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温経湯の特徴

温経湯は以下の生薬が含まれます。

  • 桂皮(ケイヒ)
  • 呉茱萸(ゴシュユ)
  • 芍薬(シャクヤク)
  • 当帰(トウキ)
  • 川芎(センキュウ)
  • 牡丹皮(ボタンピ)
  • 人参(ニンジン)
  • 甘草(カンゾウ)
  • 半夏(ハンゲ)
  • 生姜(ショウキョウ)
  • 阿膠(アキョウ)
  • 麦門冬(バクモンドウ)

温経湯の効果について

比較的体力の低下した冷え症の人で、手掌のほてり、口唇の乾燥、下腹部の冷え、痛みなどを訴える場合に用います。
性器出血、月経異常、不妊などのある婦人など

手足がほてり、唇がかわくものの諸症:月経不順、月経困難、こしけ、更年期障害、不眠、神経症、湿疹、足腰の冷え、しもやけ

温経湯の使い方

成人1日7.5gを2~3回に分けて食前または食間に服用いただきます。※年齢、体重に合わせて服用量は異なりますのでご相談ください。食前とは食事をとる1時間から30分前ほどのこと、食間とは食事と食事の間のことで食後2時間以降のことです。

温経湯を服用する上での注意点

主な副作用として偽アルドステロン症、ミオパチーがございます。また、過敏症(発疹、発赤、掻痒)、消化器(食欲不振、胃部不快感、悪心、下痢)も報告がございます。
いつもの体調と違うような症状が出た場合は一度、服用を中止してご相談ください。
また、構成生薬中に牡丹皮が含まれるため妊婦には投与しない方が望ましいと添付文書に記載がございます。ご相談ください。

温経湯の患者さま負担・薬価について

医療用とされている温経湯としては「ツムラ温経湯エキス顆粒(医療用)」が有名です。1日薬価は279.0円で1包(2.5g)あたり93.0円です。1日3包で30日分処方された場合、3割負担の患者さまでは2511.0円の薬剤費となります(薬剤費のみの計算です)。

よくあるご質問

温経湯はドラッグストアで売っていますか?

ツムラの温経湯は販売されていませんが、クラシエの温経湯は販売されています。ただし医療用医薬品と一般用医薬品では用法用量が異なります。これは安全性をより高めるために服用量を調整しているためです。

ほかにどんな漢方薬がありますか?

漢方薬には多くの種類があり、国内で医療用として承認されたものは148処方あります。詳細はこちらのページをご覧ください。

» 漢方薬の詳細はこちら

 

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