ウレパールとは?
ウレパール(一般名:尿素)は、尿素を主成分とする外用薬です。尿素には角層水分保持作用があるため、角化症にともなう皮膚の乾燥やかさつきなどを改善させるために使用されます。
ウレパールと同じように尿素を主成分とする外用薬は、他にパスタロンやケラチナミンなどがあります。
なお、「ウレパール」という名称は、「Urea(尿素)」と「Pearl(真珠)」に由来します。
ウレパールの使い方
効能効果・用法用量
ウレパールには、クリームとローションの2つの剤型があります。
いずれの剤型も、アトピー性皮膚炎、進行性指掌角皮症(主婦湿疹の乾燥型)、老人性乾皮症、掌蹠角化症、足蹠部皸裂性皮膚炎、毛孔性苔癬、魚鱗癬に適応があり、ローションについては頭部粃糠疹にも適応があります。
通常は1日2~3回、患部をきれいにしてから適量を塗布しますが、症状により適宜増減します。
ウレパールの塗り方
ウレパールは水分と結合することで効果を発揮するため、皮膚が乾燥しているときに塗布しても十分な効果は期待できません。できれば、皮膚の水分量が多くなっている入浴直後や手を洗った直後などに塗るようにしてください。
乾燥している部位に、スプレーなどで水を吹きかけてから塗るのもおすすめです。
ウレパールの効果
20%尿素軟膏との比較
魚鱗癬・老人性乾皮症・アトピー性皮膚炎に対するウレパールクリーム10%(尿素量が全体の10%)の全般改善度および有用性を20%尿素軟膏と比較した試験によると、ウレパールクリーム10%の効果は20%尿素軟膏と差がないことが確認されています。
ウレパールクリームとウレパールローションの比較
老人性乾皮症の皮疹部に、ウレパールクリームまたはウレパールローションを塗布して角層水分保持作用を検討した試験では、外用から60分後および120分後において角層水分量の増加が認められています。そしてこの角層水分保持作用は、両剤で同等であることが確認されています。
ウレパールを外用する上での注意点
ウレパールを塗ってはいけない例
添付文書上、ウレパールの使用が禁忌とされている症状などはありません。しかし、ウレパールの成分に対して過敏症の既往歴がある場合は、重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあるため使用を避けるべきでしょう。
また、皮膚以外の部位(眼粘膜などの粘膜)に塗布することはできません。潰瘍・びらん・傷のある部分に直接塗擦するのも避けてください。
なお、ウレパールが誤って目に入ってしまった場合は、清浄な水で洗い流してください。洗い流したあとに痛みやかゆみなどが続く場合は、早めに眼科などを受診して適切な治療を受けてください。
ウレパールの塗布に注意が必要な例
炎症を起こしている部位や亀裂のある部位、皮膚刺激に対する感受性が亢進している部位などにウレパールを塗布すると刺激を感じることがあります。通常、刺激症状は一過性ですが、このような部位に塗布する場合は特にご注意ください。
ウレパールの副作用
ウレパールの副作用として、一時的な疼痛や熱感、潮紅やそう痒感、丘疹、腫れ、過敏症状などが報告されています。症状によってはウレパールの使用中止や他剤への変更を検討することもありますので、副作用と思われる症状があらわれた場合は診察時にご相談ください。
日常生活における注意点
他の治療薬との併用に関して
病気の治療で内服薬を服用している場合でも、ウレパールを併用することに特に問題はありません。ただし、他の外用薬を使用している場合は使い分けを考慮しなければならないこともあります。そのため、併用薬がある場合は市販薬も含めて必ずお伝えください。
特定の患者さまへの使用に関して
妊娠中または授乳中の方、お子さま、ご高齢の方への使用に関して
医療用のウレパールについては、特に年齢による制限はありません。また、副作用発生率も、お子さまやご高齢の方で特に多いということもありません。
ただし、幼いお子さまは皮膚が薄くてとてもデリケートです。お子さまに使用する場合は、刺激感や赤みなどの副作用に注意するようにしてください。
なお、ウレパールは妊娠中・授乳中の方でも使用できます。
ウレパールの患者負担・薬価について
ウレパールには、クリームとローションの2つの剤型があり、薬価はいずれも4.6円/gです。各剤型・規格の薬価は以下のとおりになります。
患者さまにご負担いただくのは保険割合に応じた金額になります。例えば、3割負担の患者さまがウレパールクリーム20g/1本を処方された場合、ご負担金額は27.6円です(薬剤費のみの計算です)。
なお、ウレパールクリームにはジェネリック品があります。ジェネリック品の薬価は3.5円/g(20g/本で70.0円、50g/本で175.0円)なので、薬剤費の抑制に役立ちます。
よくあるご質問
- ウレパールと同じ成分の市販薬はありますか?
-
ウレパールと同じ成分の市販薬はありません。市販のウレパールシリーズは、尿素のほかにかゆみ止め成分が配合されています。また、「かゆみをともなう乾燥性皮膚(老人・成人の乾皮症,小児の乾燥性皮膚)」にしか使用できません。
主成分が尿素のみという市販薬もありますが、尿素の濃度が医療用のウレパールとは異なるうえに適応疾患も異なります。
このようなことから、市販薬を医療用のウレパールの代わりにすることはできませんのでご承知ください。
- ウレパールを塗ると、毎回ピリピリした感じがあります。どうしてですか?
-
ウレパールを皮膚に塗った時に感じるピリピリ感などは、主成分である尿素の浸透圧の影響です。ピリピリ感がそれほど強くなく、すぐに治まるのであれば問題はありませんので、使い続けても大丈夫です。
ただし、刺激感が強い場合・赤みや湿疹をともなう場合・ひどいかゆみをともなう場合などは、無理をして使い続けないでください。治療方針の変更が必要な場合もありますので、受診時にご相談ください。
- 尿素クリームは、10%のものと20%のものがあると聞きました。ウレパールは尿素が10%とのことですが、倍量塗れば20%を塗ったのと同じになりますか?
-
ウレパールの塗布量を増やしたところで、クリームやローションの濃度が高くなるわけではありませんし、より良い効果が期待できるわけでもありません。
指示された使用回数を守り、適量を患部に塗布するようにしましょう。
なお、クリームの場合は、指の関節一つ分の量(約0.5g)で手のひら2枚分くらい塗布できます。ローションの場合は、1円玉くらいの量(約0.5g)で手のひら2枚分くらい塗布できます。これを目安に、使用量を決めてください。
- ウレパールを尿素20%のものにしてもらいたいのですが……。薬局で言えば変更してもらえますか?
-
ウレパールクリームやウレパールローション(いずれも尿素濃度10%)が処方されている場合、調剤薬局で尿素濃度20%の外用薬に変更することはできません。
なお、ウレパールは尿素を20%含む軟膏と同等の効果があることが報告されています。尿素濃度が低くても十分な効果が期待できますので、ご安心ください。
- ウレパールを塗り忘れた場合はどうすればいいですか?
-
塗り忘れた場合は、気付いたときに1回分を塗布してください。その際、多めに薬を塗る必要はありません。通常の1回分で大丈夫です。
記事制作者
小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)
「巣鴨千石皮ふ科」院長。日本皮膚科学会認定専門医。2017年、生まれ育った千石にて 「巣鴨千石皮ふ科」 を開院。
2児の母でもあり、「お肌のトラブルは何でも相談できるホームドクター」を目指しています。