ムコスタ(レバミピド)とは?
ムコスタ(一般名:レバミピド)は胃炎や胃潰瘍の治療に用いられる胃薬です。レバミピドには胃粘膜の内因性プロスタグランジンを増加させる作用があります。
名称の由来は、Gastric Mucosal(胃粘膜)+ Prostaglandin Inducer(プロスタグランジン誘導物質)からムコスタという名前が付けられました。またその他にも胃粘膜障害の発症因子であるフリーラジカルを抑制する作用があり、粘膜の状態を安定化させることからMucosal(粘膜)+ stabilizer (安定化)という意味も込められています。
ムコスタ(レバミピド)の特徴
胃の痛みやむかつきなどの症状は、胃を攻撃する因子と守る因子とのバランスが崩れることが原因となって起こります。そのため胃薬には攻撃因子抑制薬・防御因子増強薬・胃粘膜保護に役立つプロスタグランジン製剤などがあり、いずれも胃の中の粘膜の状態を整えるのに役立ちます。ムコスタは防御因子増強薬として働きつつプロスタグランジン産生を誘導する働きもあわせもっており、胃潰瘍のほか急性胃炎や慢性胃炎の急性増悪期における胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)に対して保険が適用されています。
ムコスタ(レバミピド)の使い方
ムコスタの投与スケジュールは病気の種類によって異なります。胃潰瘍に対して投与する場合はムコスタ錠100mgを1錠、もしくはムコスタ顆粒20%を0.5g、1日3回、朝・夕・就寝前に経口投与します。急性胃炎や慢性胃炎の急性増悪期における胃粘膜病変に対してはムコスタ錠100mgを1錠、もしくはムコスタ顆粒20%を0.5g、1日3回、通常毎食後に経口投与します。
皮膚科では、ロキソニン(痛み止め)やプレドニン(ステロイド)などの内服が必要な際に、それらの薬によって起きやすいとされる胃粘膜の障害を予防する目的でムコスタを併用することが多いです。この場合、ロキソニンやプレドニンを内服するタイミングにあわせてムコスタも同時に内服します。
ムコスタ(レバミピド)を服用する上の注意点
副作用に関して
重大な副作用としてショック、アナフィラキシー、白血球減少、血小板減少、肝機能障害、黄疸などが報告されています。その他にも発疹・かゆみ・蕁麻疹などの皮膚症状、便秘・下痢・味覚障害・胸焼け・腹部膨満感などの消化器症状、しびれ・めまい・眠気などの精神神経症状などの副作用が出る可能性があります。いずれもその頻度は高くありませんが、ムコスタを内服し始めてから体調に異変がある場合は一旦中止して医師か薬剤師までご相談ください。
妊娠中、授乳中の患者さまに関して
ムコスタは動物実験において胎児への移行性、乳汁への移行性が確認されています。絶対にムコスタを飲んではいけないわけではありませんが、治療におけるメリットが、患者さまにとってのデメリットを上回る場合に限り内服されることが望ましいです。妊娠中もしくは授乳中の方は診察の際にご相談ください。
お子さまに関して
ムコスタは、15歳未満の小児を対象とした臨床試験は実施されていません。基本的には内服を避けていただくことが多いです。
ご高齢の患者さまに関して
ご高齢の方は生理機能が低下している場合があります。ムコスタの内服によって消化器症状等の副作用が出る場合がございますのでご注意ください。
日常生活における注意点
ムコスタには飲み合わせが悪いお薬はありません。そのため常用薬がある場合でも、比較的気軽に内服可能です。ただし他にも胃薬を内服されている場合は胃薬の過剰投与になる可能性がありますので、診察を受ける際にご相談ください。
ムコスタの患者さま負担・薬価について
ムコスタの薬価は錠剤の場合1錠あたり10.7円で、顆粒(こな薬)の場合1gあたり20.1円です。顆粒の方が高く思えますが、1回に内服する量は0.5gのため20.1円の半分で10.05円になります。そのため錠剤でも顆粒でも1回あたりの薬価はほぼ変わりません。実際内服する場合の例としてムコスタ錠を1日3回、1週間分処方された場合、3割負担の患者さまで67.41円の薬剤費となります(薬剤費のみの計算です)。
よくあるご質問
- 痛み止めとしてカロナールを内服する場合、同時にムコスタも飲んだ方が良いですか?
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痛み止めの中でも、NSAID(エヌセイド)に分類される種類のものを継続的に内服される場合は胃薬を併用した方が安心です。カロナールも痛み止めですが、NSAIDではなくアセトアミノフェンという種類の薬です。アセトアミノフェンが胃粘膜障害を起こすことはまれなため、一緒に胃薬を内服する必要はありません。
- ムコスタに市販薬はありますか?
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ムコスタの市販薬はございません。ただし、ムコスタと同じように防御因子を増強させる働きを持つ胃薬は市販されています。完全に同じ薬とはいえませんが、近い効果は期待できます。市販の胃薬をお買い求めの場合は、お近くの薬局にて薬剤師にお尋ねください。
記事制作者
小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)
「巣鴨千石皮ふ科」院長。日本皮膚科学会認定専門医。2017年、生まれ育った千石にて 「巣鴨千石皮ふ科」 を開院。
2児の母でもあり、「お肌のトラブルは何でも相談できるホームドクター」を目指しています。