湿疹・手湿疹

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湿疹・手湿疹とは?

手湿疹のイラスト

皮膚がなんらかの刺激物質やアレルゲンと触れることで炎症がおきる状態を湿疹(接触皮膚炎)といいます。皮膚の紅斑、赤みや腫れに痒みやヒリヒリ感を伴うのが主な症状です。
日頃から化学薬品を扱う、水仕事をするひと、理・美容師、看護師、調理・炊事・皿洗い業で職業性皮膚疾患として手湿疹と診断されることが多いといわれています。20~30代前半の若年層に多く、その他に女性、アトピー性、接触皮膚炎が関連しています。
また、適切な治療、予防をすることで発症や重症化を避けることができます。様々な症状があるのでいくつかのパターンに分類することがあります。

角化型手湿疹

中年男性に多くみられる症状です。 皮膚の表面の角質細胞が、細かく剥がれ落ちる状態が手のひらにあらわれます。亀裂を伴うこともあります。

進行性指掌角皮症

指先や指腹が乾燥してざらつくようになります。指紋が無くなり、亀裂を伴うこともあります。

貨幣状型手湿疹

手の甲に貨幣大の円形の湿疹がみられます。 (強い痒み、刺激性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、アトピー型、どれからも症状の原因となります。)

再発性水疱型(汗疱型)手湿疹

手のひら、手指の側面に痒みの伴う小水疱が多発します。症状は対称にあらわれます。夏場に悪化する傾向があります。
乾燥・亀裂型手湿疹 手のひら、手指全体の慢性的な乾燥と亀裂が特徴です。冬場に悪化する傾向があります。

湿疹・手湿疹の原因

手湿疹はその発症原因の仕組みから、おもに4つのパターンに分類されます。

刺激性接触皮膚炎

いわゆる「手荒れ」です。刺激が加わる部分から症状は始まります。利き手側の指先や手のひら、爪の周囲などは症状が発生する頻度は高くなります。長期間にやわたる刺激や、短期間でも強い刺激を受ける事が発症の原因です。

化学物質によるアレルギー性接触皮膚炎

アレルゲンの接触した部分から症状は始まります。薬品に触れる事の多い、理容師、美容師、看護師や調理師など発症の割合が高くなります。 原因となるアレルゲンは金属、ゴム製品、洗剤、染髪剤、植物などです。

蛋白質(タンパク質)抗原に対する接触皮膚炎

前述のアレルギー性接触皮膚炎とは仕組みが異なる接触皮膚炎です。 原因となるアレルゲンは肉、乳製品、魚、野菜、果物などの食品や動物、花粉などです。

アトピー型手湿疹

花粉やカビなど自身の持つアレルゲンに対して反応します。皮膚のバリア機能が低下しやすい特徴もあるので刺激性皮膚炎も同時におこしやすくなります。

イメージ
画像提供:第一三共ヘルスケア「くすりと健康の情報局

湿疹・手湿疹の診断

湿疹がでやすい原因になるものは、ニッケルやクロムなどの金属、ゴム、洗剤やシャンプー、ウルシ、キクなどが代表的です。果物や野菜、香辛料、肉、魚、甲殻類、乳製品、小麦、ラテックスなども原因になりうります。手に触れるものすべてが原因になる可能性があるのです。
アトピー性皮膚炎など角層がこわれバリア機能にが破綻している状態で湿疹はおきやすくなります。

問診により原因となる情報を得ること、さらに、パッチテストやプリックテストで原因となる物質を特定していきます。
ゴム手袋や塗り薬、クリームなどのアレルギー性接触皮膚炎が手湿疹を長引かせる原因になることがあり、アレルギーによる手湿疹が疑われる場合にはパッチテストをおこないます。
なお、妊婦やステロイド内服中(プレドニゾロン15mg以上)のひとではパッチテストをおこなうことはできません。
アレルギーの原因と考えうるさまざまな物質を皮膚にはりつけ、48時間ではがします。皮膚につけてから48時間(剥がしてから1時間半程度後。)、72時間に評価をおこない評価をするのです。
プリックテストはアレルギーの原因となりそうなものをみずで薄めて皮膚に垂らし、針で刺すことで行います。皮内に注射して行うよりも安全性が高く安心して行うことができます。テストを開始して15分後に皮膚の状態を確認し膨れてきた場合に陽性です。

手湿疹セルフチェック

該当する項目を選んでください。

これらのうち、3つ以上当てはまる項目がある場合は手湿疹の可能性があります。
手湿疹を改善するためには、生活背景などにも配慮して個々に応じた治療をする必要があります。
手湿疹によく似た別の病気もたくさんありますので、手荒れが気になる場合は早めに受診してください。

湿疹・手湿疹の治療

基本は原因となる物質を回避することです。そのうえで、ステロイド外用(塗り薬)をおこなうなど対処をおこなっていきます。おおむね2~4週間で軽快がえられますがかゆみが強い時は抗アレルギー薬の内服を行います。それでもよくならない場合には光線療法や短期間でステロイドの内服、免疫抑制剤をつかうこともあります。

» ステロイド外用薬の詳細はこちら

» 抗アレルギー薬の詳細はこちら

その他治療

重症の手湿疹や治りにくい場合には各個人にあった治療法をより詳しく吟味していく必要があります。手袋を使用してもよくならない場合に、手袋自体が刺激になっていることもあれば長時間にわたる使用が問題になることも。日頃のスキンケア、皮膚の防護方法などから見直していく必要があるのです。

予防や注意事項

手湿疹と似た症状例として真菌による手白癬(水虫)、ダニ等の寄生による疥癬、金属アレルギーによる掌蹠膿疱症、赤い皮疹があらわれる乾癬、等があります。それぞれ治療が異なり、診察の上で診断、治療をおこなうため自身で判断せず病院を受診ください。
刺激性接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎はアレルゲンの接触を断つことで予防、治療できます。 日頃のからの保湿などスキンケアをすること、水仕事の時はゴム手袋を使用することなどできることから心がけてみてください。

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記事制作者

小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)

「巣鴨千石皮ふ科」院長。日本皮膚科学会認定専門医。2017年、生まれ育った千石にて 「巣鴨千石皮ふ科」 を開院。
2児の母でもあり、「お肌のトラブルは何でも相談できるホームドクター」を目指しています。