子供によくみられる接触皮膚炎

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“かぶれ“とは

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外的物質の刺激や、外的物質に対するアレルギー反応によっておきる皮膚炎のことで、医学的には「接触皮膚炎」と呼ばれています。原因になる物質が接触した部分の皮膚が赤くなったり、かゆみが出たりすることがあります。ひどい場合は、皮がむけてただれたり、水ぶくれができることもあります。もともと湿疹が出やすいアレルギー体質(アトピー素因といいます)をお持ちのお子様に特に症状が出やすいですが、とくにアレルギー体質のお子様でなくても、接触皮膚炎は起こり得ます。

口の周りの接触皮膚炎

よだれかぶれとアレルギーの見分け方

赤ちゃんの口の周りにできた皮膚炎(赤み、ぶつぶつ、発疹など)が、よだれかぶれなのか、食物アレルギーなのか、かぶれ・発疹が出るタイミングと出方によって判断する方法があります。赤ちゃんが食事をとったあと、皮膚の状況をチェックしてみましょう。

よだれかぶれは、よだれが皮膚表面に長時間あることによって生じる接触皮膚炎です。よだれの成分である、たんぱく質を分解する消化酵素「アミラーゼ」が肌に触れることで炎症を起こします。そのため、症状は時間をかけて徐々に現れてきます。

一方で、食物アレルギーの場合は症状が出るのが早いことが多く、食事の最中から食後30分以内の間に赤いブツブツやかぶれなどが出現します。また、よだれをふいた後も症状を繰り返す、全身にも発疹が出てきている、といった症状が見られる場合はアレルギーの可能性が高いです。

赤ちゃんのお口の周りが赤いとき

赤ちゃんのお口の周りが赤いのは、アトピー性皮膚炎、よだれかぶれといった原因が考えられます。赤ちゃんの皮膚は大人の約半分ほどの薄さで非常に繊細なので、摩擦、乾燥、食物などから受ける少しのストレスでも肌荒れを起こしやすいのが特徴です。

口の周りの湿疹が治らないとき

よだれかぶれであれば、自宅で処置して、再発を予防することもできます。ぬらした柔らかいタオルで、やさしくよだれをふきとる習慣をつけましょう。また、そのあとはベビーワセリンなどで保湿し、皮膚のうるおいとバリア機能をキープすることも大切です。よだれの付着したスタイ(よだれかけ)もこまめに取り換えましょう。

食物アレルギーの可能性があれば、病院で検査を受けることをおすすめします。どの食材に対してアレルギーを持っているかをすべて調べあげることは難しいのが現状ですが、適切な治療薬を処方します。

お子さんの口の周りのブツブツ

乳児期のお子さんの口の周りにできるブツブツは、乳児発疹や食物アレルギー、よだれかぶれであるケースが多くあります。

幼稚園など少し大きくなった頃のお子さんは、外で遊んだり、園でほかの子どもと接触する機会が増えるので、水ぼうそう、突発性発疹、はしかなどのウイルス性皮膚疾患や、とびひ(伝染性膿痂疹)など細菌が引き起こす皮膚疾患にかかるリスクが急増します。

感染症によるブツブツの場合は、自己判断で市販薬を使うよりも、まず小児科や小児皮膚科などを受診して、正しい治療を受けることをおすすめします。また、家族やほかの人に感染させてしまわないように、タオルや衣服を共用にしない、患部をやさしく洗浄するなど、清潔さを保つようにしましょう。

栄養と睡眠を良くとって免疫力を高めることも肝心です。

下半身の接触皮膚炎

赤ちゃんのおむつかぶれ

おむつをしている部位にみられる、いわゆる「おむつ皮膚炎」です。うんちやおしっこなどによる刺激で、おしりやお股の皮膚が赤くなったり、皮がむけたりする場合があります。他に特に原因がないのに、ずっと機嫌が悪い場合は、おしりのかゆみが原因になっていることもあります。

お子さんの陰部・股間のかゆみ・痛み

お子さんの陰部や股間の痛みには、小児外陰炎の可能性が考えられます。外陰部に赤みや腫れが見られ、痛みの自覚症状が発生することがあります。

原因としてはアレルギー性皮膚炎、摩擦による炎症などが考えられます。例えば体を洗っているときの石鹸や、衣服を洗う洗剤などです。外陰部を洗うことも、子どもにとってはむずかしく、清潔さが保たれていない可能性もあります。このほか、下着の素材が肌に合わなかったり、自転車のサドルが体型に合っておらずこすれてしまうことなども原因になり得ます。

女の子の場合は、女性ホルモンが成人女性よりも少なく外陰部の皮膚が薄いため、刺激があると外陰炎を起こしやすい傾向にあります。

男の子の場合は、亀頭包皮炎、急性陰嚢症、精巣捻転などになっているケースがあります。痛みがだんだん強くなっている、ただれ始めた、化膿が見られるといった場合は、なるべく早く病院を受診してください。

外陰炎の時は、小さな傷口から細菌が入り込むことによる感染症や、アレルギー皮膚炎であることがよくあります。抗生物質や抗真菌剤などを外用し、局部を毎日やさしく洗浄することで早めに治癒することができます。

治療について

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症状が強い場合はステロイドの塗り薬や、皮膚の保護作用や撥水作用のある軟膏を塗布し、うんちやおしっこが長時間皮膚に触れないように心がけます。

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おむつ皮膚炎の場合は局所を清潔に保つことが大切なので、ぬるま湯やシャワーで優しく洗い、おむつ交換のたびに塗り薬をつけていただきます。時々、おしりやお股の通気性の悪い部分にカンジダというかびが生えることもあり、その場合はかびを抑える塗り薬が必要になるため、治りが良くない場合は接触皮膚炎なのかかびによる症状なのか、医師による診察を受けることが望ましいです。

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おむつ皮膚炎と同様に、赤ちゃんの口の周りが、よだれ、食べ物を拭き取った際の摩擦による刺激などで皮膚炎を起こすことがあり、これは俗に“よだれかぶれ”と呼ばれています。お口の周りの皮膚は薄くデリケートですので、こすらずに濡れたガーゼやタオルなどで優しく汚れを拭き取り、頻繁に保湿クリームやワセリンなどを塗って皮膚を保護するように心がけてください。皮膚の炎症が強い場合は、弱いステロイド軟膏を塗布する場合もあります。

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小学生くらいの少し大きいお子様に時々みられる接触皮膚炎

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金属、植物や動物による接触皮膚炎です。金属による接触皮膚炎では、ニッケルやコバルトなどの合金に含まれる金属による皮膚炎が最も多いです。ズボンの留め金やズボンのバックル、めがねなどの直接皮膚に触れる部分が赤くなったりただれたりすることがあります。親御さまには、これらの金属が直接皮膚に触れることを極力避けるように注意していただき、症状が強い場合はステロイドの塗り薬で治療します。

植物による接触皮膚炎

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サクラソウやウルシ、銀杏などの植物に屋外で接触することで、アレルギー反応が生じて、皮膚炎を起こすことがあります。これらの植物に触った手で、体の他の部分を触ると、そこにも皮膚炎が起きる場合があります。
アレルギー反応の場合は、接触する回数が増えるたびにだんだん症状が強く出てくることが多いため、原因物質の接触を極力避けるように心がけてください。必要に応じてステロイドの塗り薬や抗アレルギー薬の内服を行います。

動物による皮膚炎

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春から夏にかけて、椿やサザンカの木に多く生息しているチャドクガの幼虫(毛虫)の毒針毛に触れると、皮膚炎を発症することもあります。毛虫自体には直接接触していなくても、空中を舞っている毒針毛が皮膚に付着すると、チクチクとした痛みとともに赤いブツブツやちいさな水ぶくれができることがあります。こすらずに水でよく洗い流すか、テープで付着した毒針毛を除去して、皮膚炎を抑えるためにステロイドの塗り薬を塗布します。

» チャドクガによる毛虫皮膚炎の詳細はこちら

接触皮膚炎を起こしてしまった場合、かゆみがあるのでついつい掻いてしまいがちですが、皮膚炎がさらに悪化したり、細菌感染をおこして“とびひ”になってしまう可能性があるので、掻かないように心がけて、早めにクリニックを受診されることをお勧めいたします。

治療の際に気を付けること

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シャワーは可能ですが、入浴して体が温まると、皮膚のかゆみが強くなる場合があるので、長時間の入浴は避けてください。ただれて皮膚がむけてしまっている場合は、入浴やプールは控えていただくことをお勧めします。

市販の塗り薬をつけて様子をみておられる親御さんもいらっしゃいますが、皮膚が炎症をおこしてただれている部分は、塗り薬による“かぶれ”をおこしやすくなっているため、注意が必要です。また、市販されている塗り薬は皮膚炎を抑える効果が強くない場合があるので、治りが悪い場合は医師にご相談ください。

また、一見接触皮膚炎のように見えて、他の原因による皮膚炎や皮膚疾患の場合もあるため、親御さまに判断が難しい場合はご相談ください。

よくあるご質問

子供の手の甲が赤く腫れているのですが接触皮膚炎でしょうか?

乾燥や、手洗い、消毒のしすぎなどによることがあります。細菌感染を伴っている場合もあるかもしれません。ご受診ください。

 

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記事制作者

小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)

「巣鴨千石皮ふ科」院長。日本皮膚科学会認定専門医。2017年、生まれ育った千石にて 「巣鴨千石皮ふ科」 を開院。
2児の母でもあり、「お肌のトラブルは何でも相談できるホームドクター」を目指しています。