疼痛治療薬「リリカ(プレガバリン)」神経痛

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リリカとは?

リリカ(一般名:プレガバリン)は、神経障害が原因であらわれる痛みを和らげる薬剤です。興奮性の神経伝達物質の遊離を抑制することで神経の過剰興奮を鎮め、鎮痛作用を発揮します。
「リリカ」という名称は、QOL改善をイメージしやすく、読み、聞き、書いたときに印象が良い言葉「Lyric:叙情詩(Music)」「Lyrical:叙情的な」に由来しています。

リリカの特徴

痛みに対する作用

リリカは、ケガやヤケドなどをしたときに起きる「炎症性の痛み」ではなく、何らかの理由で神経が圧迫・障害されることで起こる「神経性の痛み」を和らげる薬です。
「炎症性の痛み」には、NSAIDsと呼ばれる一般的な鎮痛薬(ロキソプロフェンやイブプロフェンなど)がよく効きますが、NSAIDsは神経性の痛みにはあまり効果がありません。
一方、リリカは神経から「痛みの信号」が過剰に出るのをおさえる作用があるため、「神経性の痛み」を和らげることができます。神経が障害される病気・症状はいろいろありますが、代表的なものとして帯状疱疹後神経痛などがあります。

» 帯状疱疹の詳細はこちら

リリカの効き方

リリカは、通常の痛み止めのように飲んで数十分後に痛みが和らぐような薬ではありません。一定期間服用し続けることで効果が発揮されますので、毎日続けて飲むようにしてください。
服用を始めてしばらくしたら、症状に合わせて薬の量を加減します。痛みが落ち着いてきたら、薬の減量や中止も検討していきますので、根気よく治療を続けましょう。

リリカOD錠を服用するときの注意

リリカカプセルの写真

リリカODの写真

リリカには、カプセルとOD錠(口腔内崩壊錠)の2つの剤型があります。
OD錠は少量の水あるいは唾液で簡単に溶けるため、カプセルに比べて服用しやすく、嚥下機能が低下している方でも使用しやすい剤型です。しかし、濡れた手で触ると溶けてしまいますし、PTPから出した状態で長期間放置すると硬度が低下するおそれがあります。
したがって、リリカOD錠を取り扱う際には湿気や水分に注意し、PTPから出したあとはできるだけ速やかに服用してください。
なお、カプセルとOD錠で効果や作用発現時間に違いはありません。

リリカの効能効果および用法用量

リリカは、神経障害性疼痛と線維筋痛症にともなう疼痛に適応があります。皮膚科領域では、帯状疱疹後神経痛などによく使われます。

神経障害性疼痛に使用する場合

通常、初期用量としてリリカ150mgを1日2回に分けて投与し、その後1週間以上かけて1日用量を300mgまで増やしていきます。用量は年齢・症状により適宜増減しますが、1日の最高用量は600mgまでで、いずれの用量でも1日2回の投与になります。

線維筋痛症にともなう疼痛に使用する場合

通常、初期用量としてリリカ150mgを1日2回に分けて投与し、その後1週間以上かけて1日用量を300mgまで増やしたあと、300~450mgで治療を継続します。用量は年齢・症状により適宜増減しますが、1日最高用量は450mgまでで、いずれの用量でも1日2回の投与になります。

リリカを服用する上での注意点

禁忌および頻度の高い重大な副作用

リリカの成分に過敏症の既往歴がある方は、服用を避けなければなりません。
また、頻度の高い重大な副作用として、めまい・傾眠・意識消失などが報告されています。そのため、自動車などの運転や高所での作業、危険をともなう機械の操作などはしないでください。特に高齢の方は転倒のリスクが高いため、気を付けてください。

その他の重大な副作用

めまい・傾眠・意識消失のほか、重大な副作用として以下のような症状が報告されています。

副作用 初期症状
心不全、肺水腫 呼吸が苦しい、全身がむくむ、
体を動かすと動悸がする など
横紋筋融解症 原因不明の筋肉痛、脱力感、
コーラのように色が濃い尿 など
腎不全 尿量の減少、手足や顔のひどいむくみ、
だるさ など
血管浮腫、ショック、
アナフィラキシー
顔面・唇・舌・のどなどの腫れ、
蕁麻疹、呼吸が苦しい など
低血糖 脱力感、だるさ、冷汗 など
間質性肺炎 空咳、呼吸が苦しい、発熱 など
皮膚粘膜眼症候群
多形紅斑
目の充血、赤みの強い発疹、高熱 など
劇症肝炎
肝機能障害
食欲がない・吐き気・嘔吐、
全身がだるい、黄疸、原因不明のかゆみ など

これらの重大な副作用が発生するのは、ごく稀なことです。ただし、リリカ服用後に気になる体調変化があらわれた場合は、早めにご相談ください。

体重増加の副作用について

リリカの服用で、体重増加をきたすことがあります。体重増加の副作用は、特に投与量の増加や長期投与にともないあらわれやすいことがわかっています。
定期的に体重を測り、体重が増加傾向にあることに気が付いた場合は、診察時にご相談ください。

その他の注意点

リリカの服用を急にやめてしまうと、不眠・悪心・頭痛・下痢・不安・多汗症などの離脱症状があらわれることがあります。投与を中止する場合は、少なくとも1週間以上かけて少しずつ薬を減らしていかなければならないため、自己判断で治療を中断するのはやめてください。
また、リリカ服用中に、弱視・視覚異常・霧視・複視などの眼障害が生じることがあります。このような症状があらわれた場合は、早めに受診してください。

日常生活における注意点

他の治療薬との併用に関して
リリカと併用できない薬は、基本的にありません。しかし、併用に注意が必要な薬はいくつかあります(下表)。下記の薬を服用中の方は、診察時にお伝えください。

薬剤名・薬効分類など 併用であらわれるおそれがある症状など
オピオイド系鎮痛剤 呼吸不全や昏睡の報告がある。
オキシコドン
ロラゼパム(ワイパックスなど)
アルコール(飲酒)
認知機能障害および粗大運動機能障害に対して、
相加的に作用するおそれがある。
血管浮腫を引き起こす薬剤
(ACE阻害薬など)
併用で血管浮腫(顔面、口、頸部の腫脹など)の
発症リスクが高まるおそれがある。
末梢性浮腫を引き起こす薬剤
(アクトスなど)
併用で末梢性浮腫発症のリスクが高まるおそれがある。
また、チアゾリジン系薬剤(アクトスなど)は、
体重増加や体液貯留を引き起こし、
心不全が発症あるいは悪化することがあるため、
併用に注意が必要。

特定の患者さまの使用に関して

妊娠中または授乳中の方の使用

リリカは、動物実験で胎児異常や出生児への悪影響が報告されているため、妊娠中の方に対しては治療上の有益性が危険性を上回る場合のみ投与を考慮します。
また、ヒトで母乳中の移行が確認されているため、リリカ服用中は授乳を避けることとされています。

お子さまの使用

小児などを対象とした有効性・安全性を指標とした臨床試験は実施されていません。そのため、原則として小児への投与は行いません。
なお、幼若ラットを対象とした試験では、中枢神経症状や成長への影響などが報告されています。

ご高齢の方の使用

ご高齢の方の使用については、症状や腎機能、他の疾患の有無などに配慮して投与量や投与間隔を調節します。副作用などに不安がある場合は、お気軽にお問い合わせください。

リリカの患者負担・薬価について

リリカの薬価は規格ごとに定められています。

リリカカプセル25mg
リリカOD錠25mg
45.2円/カプセル
45.2円/錠
リリカカプセル75mg
リリカOD錠75mg
75.0円/カプセル
75.0円/錠
リリカカプセル150mg
リリカOD錠150mg
102.6円/カプセル
102.6円/錠

患者さまにご負担いただくのは、保険割合に応じた金額になります。例えば、3割負担の患者さまがリリカOD錠75mgを1日2回・1週間分で処方された場合、ご負担額は75.0円 × 2回 × 7日 × 0.3 =315円となります(薬剤費のみの計算です)
ジェネリック薬を使用する場合は、さらに薬剤費をおさえられます。

よくあるご質問

リリカと同じ成分の市販薬はありますか?

リリカと同成分の市販薬は販売されていません。
ドラッグストアなどで購入できる鎮痛薬の多くは「NSAIDs」と呼ばれるもので、リリカとは作用機序が異なります。そのため、市販薬をリリカの代わりに使うことはできません。

リリカが整形外科でも処方されています。一緒に飲んでいいですか?

リリカの服用量が多くなり過ぎると、副作用の発現リスクが高くなります。他科でリリカ、あるいはプレガバリン(リリカの一般名)を処方されている場合は、用量の調整や処方変更などを考慮いたしますので、ご相談ください。
なお、リリカの過量投与時の症状として、傾眠、錯乱状態、抑うつ、激越、落ち着きのなさ、痙攣発作などが報告されています。

リリカを飲み忘れた場合はどうすればいいですか?

飲み忘れに気が付いたら、できるだけすぐに1回分を服用してください。
ただし、次の服用時間が近い場合は忘れた分は服用せず、次の服用時間に1回分を服用してください。絶対に、一度に2回分を飲まないでください。

リリカの量が前回より増えました。何か悪い病気なのでしょうか?

通常、リリカは少量から治療をスタートして、少しずつ量を増やしていきます。これは、効果を最大限引き出し、副作用の発生をできるだけおさえるためです。
服用量や服用回数を調節するのは、他の薬でもよくあることです。不安・心配がある場合は、お気軽にご相談ください。

リリカを飲み続けるとどうなりますか?

リリカを長期間飲み続けることで、痛みに対する効き目が低下することはありません。
ただし、投与期間が長くなると体重が増加することがあります。もっとも、その他の副作用については、投与期間が長くなることで特別に発現率が高くなるという報告はありません。
しかしながら、痛みに対する効果や副作用の発現率は個々の患者さんによって異なります。また、併用薬や腎機能の程度、1日に服用するリリカの量などにも影響されます。
したがって、リリカの服用にともない体調変化があらわれた場合は、早目にご相談ください。

 

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