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目次
プロトピック軟膏とは?
プロトピック軟膏(有効成分:タクロリムス)は体の過剰な免疫反応をおさえることでアトピー性皮膚炎のかゆみや炎症をおさえます。日本では、1999年にプロトピック軟膏0.1%が16歳以上に、2003年にプロトピック軟膏0.03%小児用が2歳~15歳までの小児に認可され、2014年時点で世界75ヵ国以上で承認または発売されています。有効成分であるタクロリムスは筑波山麓の土壌から発見されたそうです。
名称の由来はプログラフPrograf(タクロリムス水和物のカプセル剤・顆粒剤及び注射剤の商標)のプロProと、トピカルTopical(局所の意味)、アトピーAtopic Dermatitisのトピックtopicを組み合わせて命名されました。
プロトピック軟膏の特徴
アトピー性皮膚炎の治療では、ステロイド外用薬やプロトピック軟膏で皮膚のかゆみや炎症をおさえて皮膚を良い状態に保つことが大切です。
プロトピック軟膏はステロイド外用薬ではないですが炎症をおさえる効果が高い外用薬です。プロトピック軟膏ではステロイド外用薬の長期間の使用でみられるような皮膚萎縮や毛細血管拡張といった副作用はほとんどありません。
また有効成分の分子量が大きいので、皮膚の状態の悪いところからは吸収されますが、正常な皮膚からはほとんど吸収されないと考えられています。
この点がプロトピックの大きな特徴だといえます。効くべきところには効いて、よくなった皮膚やもともと正常な皮膚にはほとんど吸収されないのでステロイド外用剤ほど塗りすぎを心配しなくてよい点も安心です。
なお、プロトピック軟膏の炎症を抑える強さは、ミディアム~ストロングクラスのステロイド外用薬と同程度とされており、かゆみに対する効果も期待できます。
プロトピック軟膏の使い方について
塗る量の目安
プロトピック軟膏は他の軟膏などと同じく人差し指の第一関節の長さ(1フィンガーティップユニット:1FTU)を成人の手のひら2枚分の面積に塗ってください。
塗り方
湿疹のある部分を中心に症状のあるところにやさしく塗り伸ばしてください。
プロトピック軟膏の副作用
刺激感について
プロトピック軟膏は塗った直後、一時的に皮膚の刺激感(ほてり、ヒリヒリ、かゆみ)が出ることがあります。これを灼熱感(しゃくねつかん)といい感じ方には個人差があります。皮膚の症状が良くなるにつれ、通常1週間くらいでおさまります。この刺激感が苦手な方には刺激の少ないコレクチム軟膏やモイゼルト軟膏という選択肢もあります。
なお、入浴時やお風呂上りなど体がほてった状態に刺激感が強くなることがあります。まずはほてりがなくなってからプロトピック軟膏を塗るとよいでしょう。
保湿剤を先に塗ったり、塗ったところを冷やしたりすると刺激感を抑えることができます。
また刺激感が出たときはステロイドを短期間使用してからプロトピック軟膏を使用することもあります。
プロトピック軟膏で刺激を感じる理由
刺激を感じるのはプロトピック軟膏の有効成分であるタクロリムスが吸収されているからです。タクロリムスは皮膚から吸収されると刺激や皮膚の知覚神経に作用します。そしてかゆみの元となる物質が大量に放出されます。そのため使い初めに刺激感が感じられます。
プロトピック軟膏を塗り続けると、刺激やかゆみの元となる物質がすべて放出され、また刺激やかゆみに慣れるため徐々に刺激感が減っていきます。
リンパ腫について
マウスの実験では、高い血中濃度が続くとリンパ腫が起こりやすくなることが分かっています。しかし、正しく使用すれば、ヒトで問題となるよう血中濃度が続く可能性はありません。プロトピック軟膏を使用した患者さんでリンパ腫・皮膚がんが認められたとの報告がありますが、近年、プロトピック軟膏を使用しても一般の人の発症率と変わらないことが報告されています。
プロトピック軟膏の適応患者さんについて
プロトピック軟膏0.1%は16歳以上、プロトピック軟膏0.03%小児用は2歳以上15歳以下にお使いいただけます。
オンライン診療対応可能
当院では初診からオンライン診療に対応しておりご来院いただかなくとも処方が可能です。診察をご希望の方は下記リンクよりお申し込みください。
プロトピック軟膏についての注意点・お願い
ご使用いただく上での注意点
- 眼の周りに塗る場合は、眼に入らないように気を付けてください。
- プロトピック軟膏を塗っている部位には、日焼けランプや紫外線ランプの使用を避けてください。
- 塗った部位を強い日光に長時間当てないでください。
※日常生活での外出は問題ありませんが、山や海に行く前の使用は避け帰宅後にご使用ください。
塗ってはいけない部位
- 皮膚がジュクジュクしている部分
- にきびやおできを含むバイ菌やウィルス、カビによる皮膚感染症の発症部位
- 皮膚以外の部分(口や鼻の中の粘膜など)や外陰部
2週間塗り続けても症状が良くならない場合は、ご相談ください。
プロトピック軟膏の患者負担・薬価について
プロトピック軟膏0.1%の薬価は92.2円/gであり一本5gですので一本当たり461円です。三割負担の患者様で138.3円の薬剤費となります。
同様にプロトピック軟膏0.03%小児用の薬価は96.6円/gであり一本5gですので一本当たり483円です。三割負担の患者様で144.9円の薬剤費となります。
※東京23区の医療証をお持ちであれば所得制限なく15歳まで医療費助成が受けられ自己負担額はございません。東京23区外にお住まいの方は通常の保険診療となります。