アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬治療薬「ブイタマー(タピナロフ)」AhR調整薬

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ブイタマーとは?

ブイタマーの写真

ブイタマー(一般名:タピナロフ)は、「AhR調整薬」と呼ばれる種類の薬剤です。ブイタマーの有効成分であるタピナロフは、細胞質に存在する特定の受容体(芳香族炭化水素受容体:AhR)を活性化して炎症反応を促進する生体内物質の産生を抑制するほか、皮膚バリア機能関連分子および抗酸化分子の遺伝子発現を誘導して皮膚症状を改善します。
ちなみに「ブイタマー(VTAMA)」という名称は、海外における商品名「VTAMA」の表音に由来します。

ブイタマーの特徴

効能効果・用法用量

ブイタマーは、アトピー性皮膚炎尋常性乾癬に適応があります。
アトピー性皮膚炎に使用する場合、通常、成人および12歳以上の小児には、1日1回適量を患部に塗布します。
尋常性乾癬に使用する場合、通常、成人には1日1回適量を患部に塗布します。

臨床上の効果

アトピー性皮膚炎に対する効果

中等症~重症の12歳以上のアトピー性皮膚炎の方を対象とした臨床試験において、ブイタマーのみを8週間塗布したグループでは20.24%の方で症状が消失またはほぼ消失して全体的な症状の改善が見られたのに対して、プラセボ群では2.24%の方しか症状の改善が見られませんでした。また、ブイタマーを52週間継続塗布したグループでは、41.3%の方で症状が消失またはほぼ消失して全体的な症状の改善が見られました。

尋常性乾癬に対する効果

軽症~重症の18歳以上の尋常性乾癬の方を対象とした臨床試験において、ブイタマーのみを1日1回12週間塗布したグループでは20.06%の方で症状が消失またはほぼ消失して全体的な症状の改善が見られたのに対して、プラセボ群では2.50%の方しか症状の改善が見られませんでした。また、ブイタマーを1日1回52週間継続塗布したグループでは、56.3%の方で症状が消失またはほぼ消失して全体的な症状の改善が見られました。

ブイタマーを使用するメリット

アトピー性皮膚炎の治療にはステロイド外用薬やタクロリムス軟膏(プロトピック軟膏など)、デルゴシチニブ軟膏(コレクチム軟膏)などが用いられますが、ステロイド外用薬は症状改善後の離脱が難しく、皮膚萎縮や毛細血管の拡張などの副作用があらわれることがあります。その他の外用剤も塗布量の制限があったり、局所の副作用の発現などに注意が必要とされていたりします。尋常性乾癬の治療にはステロイド外用薬や外用ビタミンD3製剤がよく用いられますが、こちらもまた局所の副作用の発現などに注意が必要です。
この点、ブイタマーは、従来からあるステロイド外用薬や免疫抑制外用薬、JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬などとは異なる作用を持つ薬剤です。重篤な副作用は報告されておらず、その他の副作用も他剤に比べて多いわけではありません。また、長期使用における安全性が臨床試験で確認されていることなどから、アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬の治療における新たな選択肢として注目されています。
現在、2歳以上12歳未満の小児アトピー性皮膚炎の方を対象とした臨床試験が行われているため、今後は使用できる年齢がさらに拡大されると思われます。

ブイタマーを外用する上での注意点

ブイタマーを使用できない方・使用に注意が必要な方

ブイタマーの成分に対して過敏症の既往歴がある場合は、ブイタマーを使用できません。誤って使用すると、重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあります。
なお、皮膚感染症がある場合は感染部位を避けて使用します。やむを得ず使用する場合は、あらかじめ適切な抗菌薬や抗ウイルス薬、抗真菌薬による治療を行うか、これらとの併用を考慮します。

ブイタマーの副作用

ブイタマーの使用にあたり、重篤な副作用は報告されていません。
比較的報告数の多い副作用として、使用部位の毛包炎やざ瘡(ニキビ)、接触皮膚炎などがあります。
また、件数は少ないですが塗布部位の痛みや刺激感、腫れ、かゆみ、肌の色の変色などの報告もあるため、気になる症状があらわれた場合はすみやかに受診してください。

日常生活における注意点

他の治療薬との併用に関して

添付文書上、ブイタマーとの併用が禁忌とされている薬剤はありません。
ただ、ブイタマーは比較的新しい薬剤で他剤との併用を検討した例が少ないため、他の外用薬(ステロイド外用薬、免疫抑制外用薬など)と併用する場合は、状態を踏まえて部位によって使い分けるなど慎重に塗布部位を検討します。
アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬に適応があるほかの薬剤(内服薬、注射薬など)との併用についても臨床経験が乏しいことから、併用の可否は慎重に判断します。

特定の患者さまの使用に関して

妊娠中の方への使用

妊娠中の方または妊娠の可能性がある方については、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用を検討します。
ブイタマーは動物を対象とした試験で、大量に皮下投与した場合に胎児の低体重や骨格変異の増加、胎児の死亡のほか、母動物の体重増加量の減少などが報告されています。

授乳中の方への使用

ブイタマーは、動物に皮下投与した試験で乳汁中に移行することが報告されています。
そのため、授乳中の方については、治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮したうえで、授乳の継続または中止を検討します。

お子さまへの使用

ブイタマーは小児を対象とした有効性および安全性を指標とした臨床試験を実施していません。ただ、アトピー性皮膚炎については2歳以上12歳未満の小児を対象とした臨床試験が進行中です。そのため、将来的には適応年齢が拡大する可能性があります。
もっとも、お子さんが誤って使用してしまうリスクは避けなければいけません。ご家庭では、幼いお子さまが勝手に使うことがないようご注意ください。

ブイタマーの患者さま負担・薬価について

ブイタマークリーム1%は2024年6月24日に承認されましたが、2024年7月現在薬価基準未収載となっています。薬価収載されましたらすぐにお知らせしますので、今しばらくお待ちください。

ブイタマークリーム1% 15g/本:薬価基準未収載

なお、ブイタマークリームは新医薬品なので、薬価基準への収載日の属する月の翌月の初日から起算して1年を経過するまでは処方量に制限があります(1回14日分まで)。ご承知ください。

よくあるご質問

ブイタマークリームを塗ってはいけない場所はありますか?

ブイタマークリームは、粘膜部位や潰瘍部分、びらんなどには塗らないでください。万が一、眼に入った場合は直ちに水で洗い流してください。洗い流したあとも目に違和感などが残る場合はすみやかに眼科を受診して、必要に応じて治療を受けてください。

ブイタマークリームの副作用でニキビはできますか?かぶれたりする場合もありますか?

ブイタマークリームの副作用として、塗布部位におけるざ瘡(ニキビ)や毛包炎(毛包部の炎症)、接触皮膚炎(かぶれ)などが報告されています。いずれの副作用も発現率は5%以上とされていますが、使用開始前に副作用の発現を予測することは困難です。
ブイタマークリームの使用にともないニキビなどがあらわれた場合は症状に応じて今後の治療方針を検討しますので、診察時にご相談ください。

ブイタマークリームは、1回にどれくらい塗ればいいですか?

一般的に、クリーム剤は人差し指の先端から第1関節までの長さをチューブから押し出すと約0.5gになります。0.5gあれば成人の手のひら2枚分に相当する範囲に塗布できますので、これを参考に塗布量を決めてください。

ブイタマークリームを塗り忘れた場合は、どうすればいいですか?

塗り忘れた場合は、気が付いたときに1回分を塗布すれば大丈夫です。ただし、次の塗る時間が近い場合は1回飛ばし、次の塗布タイミングで1回分を塗布してください。

 

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