フロジンとは?
フロジン(一般名:カルプロニウム塩化物水和物)は、脱毛症や白斑の治療に用いられる薬剤です。
発毛促進作用と局所血管拡張作用を併せ持ち、脱毛症や乾性脂漏、尋常性白斑(白なまず)の症状を改善します。
なお、「フロジン」という名称は「不老人」に由来しており、その語呂に合せてフロジン(FUROZIN)と命名されたとのことです。
フロジンの効能効果および用法用量
効能効果
フロジンは、多発性円形脱毛症を含む円形脱毛症・悪性脱毛症・びまん性脱毛症・壮年性脱毛症(AGA)など幅広い脱毛症に適応があります。もちろん、女性の脱毛症にも使用できます。
その他、乾性脂漏や尋常性白斑にも適応があります。
用法用量
脱毛症や乾性脂漏に使用する場合は、1日2〜3回、適量を患部に塗布、または被髪部全体にふりかけ、軽くマッサージします。
尋常性白斑に使用する場合は、1日3〜4回、適量を患部に塗布します。
なお、1回量の目安は約1mL(お椀型にした手のひらにとれるくらいの量)です。
フロジンの脱毛症に対する効果と効果発現までにかかる期間
添付文書上、フロジンの脱毛症に対する効果は約6割です。
また、効果が発現するまでに少なくとも1~2ヵ月はかかると考えられています。
ただし、効果は脱毛の種類によっても若干変わります。
不安などがある場合は、お気軽にご相談ください。
フロジンを使用する上での注意点
重要な基本的注意
フロジンの成分や他の薬物に過敏症の既往歴がある方は、体調変化に注意しながら慎重に使用しなければなりません。
また、フロジンを塗布すると、その薬理作用の影響で全身の発汗やそれにともなう悪寒・戦慄・嘔気・嘔吐などがあらわれることがあります。
発生頻度は高くありませんが、万が一これらの症状があらわれた場合は使用を中止し、塗布したフロジンを水などで洗い流してください。
おもな副作用
フロジンのおもな副作用は、局所の発汗やそう痒感、一過性の発赤、刺激痛、熱感などです。
これらの副作用があらわれた場合は、フロジンを水などで洗い流してください。薬液を洗い流したあとも症状が続く場合は、早めに受診して診察を受けるようにしましょう。
日常生活における注意点
他の治療薬との併用に関して
フロジンと併用できない薬剤は、基本的にありません。
飲むタイプの脱毛症治療薬(プロペシア、ザガーロなど)との併用も問題ありませんので、ご安心ください。
特定の患者さまの使用に関して
妊娠中または授乳中の方、お子さまへの使用
フロジン液は、妊娠中の方や授乳中の方を対象とした臨床試験を実施していません。
また、幼いお子さまを対象とした臨床試験も行っていません。
そのため、妊娠中の方や授乳中の方、お子さまに使用する場合は、症状や治療上の有益性、予想されるデメリットなどに配慮しながら使用の可否を判断します。
ご高齢の方への使用
一般的に、ご高齢の方は生理機能が低下しているため、外用液の使用であっても特別な注意が必要です。
治療の際には、症状や体質、他の疾患の有無などにも配慮して使用量を制限する場合もありますので、ご承知ください。
その他の注意点
フロジンの取り扱いについて
フロジンを塗布する際には、目に入らないように注意してください。
添加物としてエタノールが含まれているため、目に入ると強い刺激を感じるおそれがあります。
誤って目に入ったときは、すぐにきれいな水で目を洗い流してください。
なお、頭皮に塗る際は、液だれを防ぐためにフロジンをいったんコットンや手に取ってから塗るのがおすすめです。
そして、フロジンは外用のみに使ってください。飲み薬やうがい薬ではないため、絶対に口に入れないでください。
フロジンを使用するタイミング
フロジンを入浴直後やシャワー浴直後に使用すると、副作用の熱感などが強くあらわれることがあります。
入浴後にフロジンを使う場合は、汗が引いて皮膚のほてりが冷めてから患部に塗布するようにしてください。
なお、副作用があらわれた場合は、水などでフロジンを洗い流してください。
フロジンの患者さま負担・薬価について
フロジンの薬価は23.6円/mLです。フロジンは1本につき30mL入っているため、1本あたりの薬価は780円になります。
ただし、患者さまにご負担いただくのは保険割合に応じた金額です。例えば、3割負担の患者さまがフロジンを30mL/1本処方された場合、ご負担金額は212.4円になります(薬剤費のみの計算です)。
ジェネリック薬を使用する場合は、さらに薬剤費をおさえられます。
よくあるご質問
- フロジンと同じ成分の市販薬はありますか?
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フロジンの成分であるカルプロニウム塩化物水和物を含む市販薬は、ドラッグストアなどでも購入できます。しかし、フロジンに含まれるカルプロニウム塩化物水和物の濃度が5%であるのに対して、市販薬に含まれるカルプロニウム塩化物水和物の濃度は1~2%にすぎません。そのため、市販薬をフロジンの代わりに使うことはできませんので、ご承知ください。
なお、フロジンのジェネリック品は個人輸入でも購入できるようですが、個人輸入した医薬品を自己判断で使用した場合、副作用が生じても「医薬品副作用被害救済制度」による救済を受けられません。偽物や粗悪品が流通している可能性も否定できないため、安易に個人輸入で医薬品を購入するのは避けましょう。
- フロジンを頭皮に塗ってマッサージすると、何となく頭皮が温かくなる感じがあるのですが、これは副作用ですか?
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フロジンには血行を促進する作用があるため、頭皮に塗布してマッサージすると、その部分がじんわりと温かくなってきます。これは副作用ではありませんので、ご安心ください。
ただし、不快感を覚えるほどの熱感・ひどい発汗・刺激感・かゆみ、その他、全身性の発汗にともなう悪寒や戦慄、嘔気、嘔吐などがある場合は、副作用が疑われます。このような症状があらわれた場合はフロジンの使用を中止し、水などで使用部分を洗い流してください。
- 頭皮に少し傷があるのですが、フロジンを塗っても大丈夫ですか?
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フロジンは、添加物として水酸化ナトリウムやエタノールを含んでいます。傷や湿疹などのある部分に塗布するとしみることがあるため、それらの部分を避けて塗布するようにしてください。
- フロジン1本は、だいたい何日分ですか?
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フロジンの1回あたりの使用量の目安は1mL程度です。使用量は塗布範囲によって加減する必要はありますが、1回1mLで1日3回塗布した場合、フロジン1本(30mL)で10日間使用できる計算になります。
- フロジンの塗る回数を増やしたり塗る量を増やしたりすると、より高い効果が期待できますか?
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フロジンを脱毛症や乾性脂漏に使用する場合、1日の使用回数は2~3回です。尋常性白斑に使用する場合、1日の使用回数は3~4回です。
フロジンは皮膚浸透性がよく、作用持続時間が長いため、上記の回数以上使用する必要はありません。また、塗布する量を増やす必要もありません。
塗布回数や塗布量を増やすと、効果よりも副作用が強くあらわれるおそれがあります。特に脱毛の治療には時間がかかるため、あせらず、指示通りに使用することを心がけてください。
- フロジンを塗り忘れた場合は、どうすればいいですか?
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フロジンを塗り忘れた場合は、気付いたときに1回分を患部に塗布してください。ただし、次の塗布時間が近い場合は、忘れた分を飛ばして1回分を塗布してください。けっして2回分を1度に塗布しないでください。