脇汗や手汗などの多汗症対策に保険適用の塗り薬!制汗剤より効果が期待できます

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原発性局所多汗症とは

原発性局所多汗症とは汗が多くなる原因となる病気や障害が特に見当たらないが、局所に過剰に汗をかいてしまう疾患のことです。気温や湿度などの外部環境、ホルモンバランス、緊張状態など精神的側面においても多汗の原因として考えられるものがない場合に言われます。多汗の原因が特定できる場合は続発性局所多汗症と呼びます。

» 多汗症の詳細はこちら

 

保険適用の塗り薬がある多汗症

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脇汗 手汗

多汗症の診断

「原発性局所多汗症診療ガイドライン」2023年によると、多汗症の診断は原因不明の過剰な局所発汗が6カ月以上続いており、以下の6項目のうち2項目以上当てはまる場合に多汗症と診断されます。

多汗症チェック

該当する項目を選んでください。






これらのうち2項目当てはまる場合、多汗症と診断します。
 
多汗症であるかどうかの判断は、特に患者さま本人がどう思っているかに大きく左右されます。「多汗であるために日常生活に支障が出ていると本人が自覚して」いれば、原発性多汗症の治療対象となります。

原発性腋窩多汗症(脇汗)について

両脇にたくさん汗をかく病気で、思春期ぐらいから自覚される方が多いです。

脇汗による日常生活の支障について

多汗が原因で日常生活に支障が出るというのは、例えば次のような場面が挙げられます。

  • 服の汗染みが気になって、着られない服がある
  • 脇汗のために一日に何度も着替える
  • 脇汗のせいで学業や仕事に集中できない
  • 脇の臭いが気になって人前に出るのが怖い

保険適用の脇汗の治療薬

エクロックゲル5%

エクロックゲル5%は原発性腋窩多汗症用の外用薬です。2020年11月に科研製薬株式会社から発売されました。日本で初めて保険適用となりました。

多汗の原因となる汗はエクリン汗腺から分泌されます。エクロックゲルはエクリン汗腺の受容体をブロックすることで過剰な発汗を抑えます。

エクロックゲルの使い方

1日1回、両脇全体に塗布します。

エクロックゲルの注意点

エクロックゲルは抗コリン作用により、前立腺肥大や排尿障害、閉塞隅角緑内障の悪化といったリスクが懸念されます。また、授乳婦と妊婦の方への処方でも注意が必要なので、使用前にかならずご相談ください。

» エクロックゲルの詳細はこちら

ラピフォートワイプ

ラピフォートワイプは原発性腋窩多汗症用のワイプ製剤で、2022年5月にマルホ株式会社から発売されました。

ラピフォートワイプの作用の仕組みはエクロックゲルと同じです。ラピフォートワイプの特徴はシート型の塗り薬で、1回使い切りなので簡便かつ衛生的に使用できます。

ラピフォートワイプの使用方法

1包の中に薬剤をしみこませた不織布1枚が封入されており、1日1回薬液を両脇に塗布します。使用前には脇をタオルで拭くなど、乾いた清潔な状態にしておきましょう。
使用後は袋などに入れて密封し、自分や他の人の手が触れないようにすみやかに捨ててください。

ラピフォートワイプの注意点

ラピフォートワイプの使用後は必ず手を洗う必要があります。エクロックゲルと同じ抗コリン剤なので、薬が目に入ったら瞳孔が開き、まぶしさや霧のかかったような見え方になることがあります。薬液に触れた後の手で目を触らないでください。

排尿困難、頻尿、口の渇き、湿疹などの副作用が報告されているので、万が一使用後に体調不良などを感じた場合はすみやかにご相談ください。

» ラピフォートワイプの詳細はこちら

エクロックゲルとラピフォートワイプの比較

どちらも抗コリン作用を持つ薬剤ですが、特徴が異なるため表にまとめています。

項目 エクロックゲル ラピフォートワイプ
使い方 ゲルを塗る 薬液を含んだ
不織布で拭く
容器 ボトル
(複数回分)
ワイプ
(1回分1包)
特徴 乾きにくい 乾きやすい
手洗い 不要 必要
14日分
薬価
(3割負担)
20gボトル1本
4,826円
(1,447.8円)
14包
3,585.4円
(1,075.6円)

 

原発性手掌多汗症(手汗)について

手のひらにたくさん汗をかく病気で、小学校に入るころには自覚される方が多いです。手はいつも湿っていて冷たいという特徴があります。

手汗による日常生活の支障について

  • 握手ができない・手をつなげない
  • 紙がにじんでしまう
  • 汗で滑って電子機器が使いにくい
  • 手の汗のせいで学業や仕事に集中できない

保険適用の手汗の治療薬

アポハイドローション20%

アポハイドローション20%は原発性手掌多汗症用の塗り薬で、2023年6月に久光製薬株式会社から発売されました。日本初の保険適用の原発性手掌多汗症治療薬です。アポハイドローションの作用の仕組みはエクロックゲルやラピフォートワイプと同じく抗コリン作用により発汗を抑制します。

アポハイドローションの使い方

1日1回就寝前に、適量を両手掌全体に塗布します。1回の塗布量は、両手掌に対しポンプ5押し分を目安とします。

アポハイドローションの注意点

アポハイドローションの使用後は、起床後まで手を洗わないでください。薬剤が目に入らないように気を付けてください。万が一目に入った場合は、水でよく洗い流してください。

オンライン診療による多汗症治療について

汗のお悩みは生活に支障が出るぐらい深いにもかかわらず恥ずかしさのため医療機関で相談しづらいという声を多くいただきます。オンライン診療であれば恥ずかしさがやわらいで相談しやすいと好評です。
当院では初診からオンライン診療に対応しております。ご来院いただかなくとも診療ができ、薬剤をお送りすることも可能です(送料無料)。アプリのインストールは不要で、システム利用料も徴収しておりません。汗でお困りの方は、よろしければご活用ください。

下記のいずれかのボタンからお申込みください。

» オンライン診療の詳細はこちら

多汗症治療のゴールについて

原発性局所多汗症は、原因不明で完治が難しい疾患です。多汗症の治療のため医療機関を訪れる場合、まず最初に治療ゴールを話し合う必要があります。患者さまは「その部位から汗が完全に出なくなる状態」を希望されることが多いのですが、現在の医療技術ではそこまで達成することはできず、「日常生活に支障が出ないと感じられる、いわゆる普通の状態」を目指しての治療となります。

外用抗コリン薬発売前の治療方法

従来原発性局所多汗症に対して保険の効く治療法は、発汗に関与する交感神経を一部切除する「胸腔鏡下胸部交感神経遮断術(ETS)」という手術療法、ボツリヌス菌毒素を注入する注射療法、抗コリン薬の内服薬投与の3種類でした。しかしこれらの治療法には、メリットがある反面、デメリットもあります。

従来の治療法によるデメリット
治療法 デメリット
ETS療法 治療対象部位とは異なる部位から
発汗してしまう代償性発汗のリスク
ボツリヌス
毒素局注療法
施術の際の疼痛
重症度別の投与単位数の統一
抗コリン薬
内服
副作用が発現すること
(喉の渇き、眼圧が上がるなど)
まとめ
  • 原発性局所多汗症は、本人が悩んでいるかの主観が大事
  • 保険適用の外用薬が続々登場
  • エクロックゲルはボトルタイプの脇汗用塗り薬
  • ラピフォートワイプはシートタイプの脇汗用塗り薬
  • アポハイドローションはボトルタイプの手汗用塗り薬
  • 保険適用の治療薬が加わり治療の選択肢が広がった
  • 多汗症のご相談は初診からオンライン診療利用可能
  • 従来の保険適用の治療は手術、注射、内服薬であった
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記事制作者

小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)

「巣鴨千石皮ふ科」院長。日本皮膚科学会認定専門医。2017年、生まれ育った千石にて 「巣鴨千石皮ふ科」 を開院。
2児の母でもあり、「お肌のトラブルは何でも相談できるホームドクター」を目指しています。