下の血圧が高いのは危険信号?原因と対策を徹底解説!

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そもそも「上の血圧(収縮期血圧)」「下の血圧(拡張期血圧)」とは?

血圧の「上」と「下」の意味

血圧計のイラスト

血圧とは、簡単にいうと血液が血管の壁を押す圧力のことです。「血管の壁を押す圧力」は、心臓が押し出す血液の量(心拍出量)と、血管が収縮する程度やしなやかさ(末梢血管抵抗)によって変わってきます。
そして「上の血圧」とは、心臓が収縮して血液を押し出したときに血管の壁を押す圧力です。心臓が最も収縮したときの血圧なので、「収縮期血圧」とも呼ばれます。上の血圧は、心臓が押し出す血液の量(心拍出量)と関係が深いと考えられています。
一方、「下の血圧」は心臓が拡張しているときに血管の壁にかかる圧力です。こちらは「拡張期血圧」とも呼ばれます。下の血圧は、末梢血管のしなやかさ(末梢血管抵抗)の影響を受けやすいと考えられています。

上の血圧が正常でも下の血圧が高ければ「高血圧」

それでは、上の血圧・下の血圧がどのような状態のときに「高血圧」と診断されるのでしょうか。
『高血圧治療ガイドライン2019』では、高血圧の診断基準を以下のように定めています。

分類 診察室で測定した血圧(mmHg) 家庭で測定した血圧(mmHg)
収縮期血圧    拡張期血圧 収縮期血圧    拡張期血圧
正常血圧 120未満  かつ  80未満 115未満  かつ  75未満
正常高値血圧 120-129  かつ  80未満 115-124  かつ  75未満
高値血圧 130-139 かつ/または 80-89 125-134 かつ/または 75-84
高血圧 140以上 かつ/または 90以上 135以上 かつ/または 85以上

つまり、上の血圧が正常の範囲内であっても、下の血圧が高ければ「高血圧」と診断されるのです。

高血圧には「レベル」がある!家庭で下の血圧が100を超えたら……

『高血圧治療ガイドライン2019』では、高血圧をさらに細かく分類しています。

分類 診察室で測定した血圧(mmHg) 家庭で測定した血圧(mmHg)
収縮期血圧    拡張期血圧 収縮期血圧    拡張期血圧
I度高血圧 140-159 かつ/または 90-99 135-144 かつ/または 85-89
II度高血圧 160-179 かつ/または 100-109 145-159 かつ/または 90-99
III度高血圧 180以上 かつ/または 110以上 160以上 かつ/または 100以上

これによると、家庭で測定した下の血圧が100mmHg以上である場合、上の血圧がそれほど高くなくても「III度高血圧」と診断されることになります。

下の血圧が低い高血圧もある

下の血圧が高血圧の診断基準を満たさず、上の血圧だけが高い場合は、「収縮期高血圧」と診断されます。

分類 診察室で測定した血圧(mmHg) 家庭で測定した血圧(mmHg)
収縮期血圧    拡張期血圧 収縮期血圧    拡張期血圧
収縮期高血圧 140以上 かつ 90未満 135以上 かつ 85未満

動脈硬化が進むと収縮期高血圧が高くなり、拡張期血圧は低い状態になります。

下の血圧が高い場合のオンライン診療

下の血圧が高くお悩みの場合は、オンライン診療もおすすめです。
高血圧の診断には診察室での血圧測定や家庭で測定した血圧の記録が必要ですが、あらかじめ家庭で測定した血圧の記録があれば、比較的すみやかに高血圧かどうかが判断できます。
また、下の血圧が高い高血圧の治療は非薬物療法が中心ですが、継続的な取り組みが必要なことから途中で治療を断念してしまう方も少なくありません。しかし、オンライン診療なら自宅などで医師のサポートが受けられるため、継続的に治療に取り組みやすくなります。
当院では、下の血圧が高い高血圧のオンライン診療にも対応しております。健康診断などで下の血圧が高いことを指摘されている方・仕事などが忙しく受診が難しい方はぜひご活用ください。
当院では、初診からオンライン診療の受診ができます。アプリのインストールは不要で、システム利用料も徴収しておりません。よろしければご利用ください。

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下の血圧が高くなる理由と高くなりやすい人

末梢血管が硬くなると下の血圧が高くなりやすい

心臓は収縮と拡張を繰り返して全身に血液を送り出していますが、心臓が拡張しているときでも血液は逆流せず、心臓から末梢に向かってゆるやかに押し出されています。
この「心臓が拡張しているとき」に測定されるのが下の血圧なので太い血管には弾力性があるものの、手足などの末梢の血管はが硬いことで「下の血圧が高い」という状態になっている可能性があります。
つまり、下の血圧が高い場合は、動脈硬化が太い血管では顕著でないものの細い血管、末梢血管に現れてきている可能性が高いということになります。

下の血圧が高くなりやすい人の特徴

上の血圧は高くないのに下の血圧だけが高いという症状は、太い血管が硬くなっていない若い世代の方でみられることがよくあります。特に以下のような方たちは、下の血圧が高くなりやすい傾向があります。

  • 肥満気味の方
  • 運動不足の方
  • アルコールの摂取量が多い方
  • タバコを吸う方

これらは一般的な高血圧、動脈硬化になりやすい要因でもあります。下の血圧が高い状態が、末梢の細い血管から少しずつ動脈硬化が進んでいる状態とみることもできるのです。

下の血圧が高い場合の対処法

下の血圧が高いのを放置するのはNG

下の血圧が高いのを放置するのはとても危険です。ガイドラインで「下の血圧が高い場合も高血圧」としているのは、下の血圧だけが高い高血圧も、ほかの高血圧と同じように治療をする必要があるからです。
実際、下の血圧が高い方は一般的な高血圧の原因となる要因(肥満、運動不足、アルコールの過剰摂取、喫煙習慣など)を持っていることが多いので、放置するといずれ上の血圧も高くなってきます。
そして、血圧の高い状態、つまり血管の壁に大きな負担がかかっている状態が続くと、その圧力に打ち勝つためにさらに血管の壁は少しずつ厚くなり、同時にしなやかさを失っていきます。これがいわゆる「動脈硬化」と呼ばれる状態です。
動脈硬化になっても自覚症状はほとんどありませんが、症状が進行すると下記のような命に関わる病気を引き起こすおそれがあります。

脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など
心臓 狭心症、心筋梗塞、心不全など
腎臓 腎硬化症など
大動脈 動脈瘤など

下の血圧を下げるために重要なのは生活習慣の改善

上の血圧が正常で下の血圧だけが高い場合でも、治療は通常の高血圧と同様に生活習慣の改善からスタートします。生活習慣の見直しで重要とされるのは、以下のような項目です。

改善すべき項目 具体的な改善内容
塩分の
摂取量
1日の食塩摂取量6gを目指す。
食事の内容 野菜や果物、多価不飽和脂肪酸(魚に多く含まれる)
を積極的に摂取する。ただし、摂りすぎに注意。
飽和脂肪酸(動物性の脂肪に多く含まれる)や
コレステロールを避ける。
肥満の予防
改善
体格指数 25.0kg/m2を目指す。
(BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m))
運動習慣 軽めの有酸素運動
(早歩きやジョギングなど)を毎日30分、
または週180分以上行う。
アルコール
摂取量
アルコール量で男性は20~30mL
(日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本、
焼酎なら半合、ウィスキー・ブランデーなら
ダブルで1杯、ワインならグラス2杯が目安)/日以下、
女性は10~20mL/日以下に抑える。
喫煙習慣 禁煙を目指す。受動喫煙も避けるようにする。
その他 寒冷によるストレス、急激な感情変化に
ともなうストレスを避ける。

生活習慣を改善しても下の血圧が下がらない場合は、末梢血管を広げる効果が期待できる薬剤が処方される場合もあります。
しかし、薬で下の血圧を下げようとすると上の血圧も下がってしまうことが多いため、治療は慎重に進めていくことになります。
なお、血圧はちょっとした刺激やストレスで大きく変化するため、1回の測定で血圧が高くても、それだけで「高血圧」と診断することはできません。医療機関では受診のたびに血圧を測定し、複数回の結果をもとに高血圧かどうかを判断します。家庭血圧の場合は5~7日ほど測定していただき、平均値を出したうえで判断します。
ちなみに、高血圧かどうかを診断する際には家庭での血圧値を優先して用います。

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記事制作者

木村眞樹子

東京女子医科大学卒業。循環器内科専門医内科、睡眠科において臨床経験を積む。
東洋医学を取り入れた漢方治療にも対応。
オンライン診療に積極的に取り組む3児の母。