最終更新日:2024年11月01日
目次
どれくらいから血圧は「高い」とされるのか
高血圧と診断されるのは140mmHg以上/90mmHg以上
『高血圧治療ガイドライン2019』では、診察室で測定された上の血圧が140mmHg以上、下の血圧が90mmHg以上の場合を「高血圧」としています。
一方、正常血圧とされるのは上の血圧が120mmHg未満かつ80mmHg未満の場合です。
正常血圧と高血圧のあいだの血圧は、測定値によって「正常高値血圧」あるいは「高値血圧」と診断されます。
分類 | 診察室で測定した血圧 (mmHg) |
家庭で測定した血圧 (mmHg) |
---|---|---|
収縮期血圧 拡張期血圧 | 収縮期血圧 拡張期血圧 | |
正常血圧 | 120未満 かつ 80未満 | 115未満 かつ 75未満 |
正常高値 血圧 |
120-129 かつ 80未満 | 115-124 かつ 75未満 |
高値血圧 | 130-139 かつ/または 80-89 | 125-134 かつ/または 75-84 |
高血圧 | 140以上 かつ/または 90以上 | 135以上 かつ/または 85以上 |
「高血圧と診断されなければ大丈夫」というわけではない!
ガイドラインが高血圧と診断される値を140mmHg/90mmHg以上と定めているのは、これ以上の血圧になると脳心血管病になるリスクや脳心血管病で死亡するリスクが高くなるという結果が示されているためです。
また、正常血圧とは別に「正常高値血圧」「高値血圧」が定められているのは、正常血圧に比べて正常高値血圧・高値血圧では脳心血管病の発症率が高く、生涯のうちに高血圧へ移行する確率が高いことが明らかになっているためです。
したがって、高血圧と診断されない場合でも、血圧値が正常血圧よりも高い場合は血圧が今より高くならないよう気をつけなければいけません。
血圧が高くなるとどのような症状が出るのか
一般的に高血圧の自覚症状は「ない」
血圧が高くなると、血管には常に高い圧力がかかっていることになります。すると、血管はその圧力に打ち勝つために次第に厚く硬くなり、しなやかさを失っていきます。また、血圧が高くなると血液の圧力で血管内部がもろくなるため、LDL-コレステロール(悪玉コレステロール)が血管の壁の中に入り込みやすくなります。
LDL-コレステロールが蓄積すると血管内部が狭くなるため、血圧がさらに高くなるという悪循環が生じやすくなります。このように、高血圧は自覚症状のないまま血管を硬く・もろく・狭くしていく恐ろしい病気なのです。
高血圧をほっておくとどうなるのか
血管の多い臓器ほど影響が出やすい
血圧の高い状態を放置すると、血管がどんどん硬く・もろく・狭くなっていくため、血管の多い臓器に悪影響が出てきます。
特に細い血管が多い臓器(脳や心臓の血管、目、腎臓など)は、早くからさまざまな影響が出てきます。
そして、血圧の高い状態が長期間続くと太い血管にも影響がおよぶようになり、大動脈瘤や動脈瘤破裂、大動脈解離など命に関わるような重大な病気をまねくこともあります。
高血圧で発症リスクが高まる臓器障害
高血圧と関連が深い臓器障害には、以下のようなものがあります。
心臓:心肥大・心不全・狭心症・心筋梗塞など
血圧の高い状態が続いて血管が硬くなると、心臓が血液を全身に送り出す際に大きな力が必要になります。
この状態が長く続くと、心臓の筋肉は負荷に対応するために発達して厚みを増し、心臓の筋肉が厚くなり、徐々に心臓全体が肥大化します。これが「心肥大」です。
心肥大になると最終的に心臓の働きが悪くなり、心不全などを発症するリスクが高くなります。
「心不全」とは、心臓の機能が低下して、全身の臓器に十分な量の血液を送り出せなくなる状態のことです。
心不全になると、息切れやむくみなどの症状をともなうことがあります。
「狭心症」は血管が狭くなって心臓に十分な血液が送られなくなる状態、「心筋梗塞」は心臓に酸素や栄養を供給している血管が完全に詰まってしまい、心筋が壊死してしまう状態です。
脳:脳梗塞・脳出血など
「脳梗塞」は、脳の血管の動脈硬化が進行して部分的に血液の流れが悪くなる病気です。
脳に十分な酸素や栄養が供給されなくなるために組織が壊死して、麻痺やしびれ、舌のもつれやめまい、嘔吐、意識障害などの症状が出ます。
「脳出血」は、脳の血管が高い血圧のために破裂し、組織内で出血する病気です。
脳出血は前触れなく起こり、今までに経験したことがないような激しい頭痛が起こります。
なお、脳出血や脳梗塞などの脳血管障害の後遺症として麻痺やしびれ、構音障害など、ほかにも「血管性認知症」を発症することもあります。
認知症にはいろいろな種類がありますが、血管性認知症はアルツハイマー型認知症に次いで多いタイプです。
腎臓:腎硬化症・腎不全など
「腎硬化症」は、高血圧の影響で腎臓の細い血管や糸球体(血液から不要物を漉し取る働きをしている細い血管の集まり)が硬くなり、血液をうまくろ過できなくなる病気です。症状が進行するとさらに腎機能が低下し、「腎不全」になります。
腎不全になると体内の老廃物を十分に排出できなくなるため、体に不必要なものや有害なものが蓄積していきます。
放置すると死に至るため、人工透析で命をつなぐことになります。
目:高血圧網膜症など
高血圧により網膜(眼球の内側の薄い膜状の組織)の細い血管にダメージがおよぶと、出血やむくみなどが生じて網膜の機能が障害されます。
これが「高血圧網膜症」です。
初期段階の自覚症状はほとんどありませんが、症状が進行すると出血が眼球内部にまでおよんだり、網膜剥離を引き起こしたりすることもあります。
血管:閉塞性動脈硬化症・大動脈瘤・大動脈解離など
「閉塞性動脈硬化症」は、手足の動脈が硬くなり、詰まったり狭くなったりするために起きる病気です。
閉塞性動脈硬化症になると、外気温に関係なく指先や足先が異常に冷えたりすることがあります。
また、足の動脈が狭くなると、歩行時の痛みにふくらはぎの痛みが出て休むとよくなるという間欠性跛行の症状がでることもあります。
症状が進むと、血流が少ないために傷も治りにくく、小さい傷から手足がただれて壊死することもあります。
高血圧のために大動脈(心臓から全身に血液を送り出す太い血管)が硬くなると、血管壁の一部がコブ状にふくらむ「大動脈瘤」を引き起こすことがあります。
ふくらみが大きくなると胸や背中に痛みが出たり、息苦しさを感じたりしることや、さらに、破裂すると体の中で大出血が起き、命を落とすことも少なくありません。
ほかにも、血管が硬くなることで3層になった大動脈の壁がはがれてしまうことがあります。
「大動脈解離」といい、背中や胸の急な激しい痛みで発症、放置すると命が危険にさらされる可能性が非常に高い疾患です。
自覚症状の乏しい高血圧に気づく方法
高血圧は自覚症状がほとんどありませんが、血圧の変化は家庭用血圧計でも知ることができます。
自宅で毎日同じ条件で血圧を測定し、記録を続ければ、ちょっとした血圧の変化にも気づけるようになるでしょう。
勤務先や地域の健康診断を定期的に受けることも大切です。
健診で心電図検査や眼底検査を受けたり、血液や尿の検査を受けたりすれば、臓器にどのような影響が出ているかわかることもあります。
血圧が高いと指摘されている方のオンライン診療
血圧の変化を知るためには、毎日の血圧測定と定期的な受診が欠かせません。
しかし、高血圧をはじめとした生活習慣病は自覚症状が乏しいため、受診を継続するのが難しいのもまた事実です。「血圧が高めなのはわかっているけれど、受診がなかなか続かない……」というような方におすすめなのが、オンライン診療です。
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