ヒュミラ(アダリムマブ)化膿性汗腺炎について

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アメリカの製薬会社アッヴィの発売するヒュミラの情報です。ヒュミラは発売から12年経過し2020年時点で全世界で最も売上高が大きい薬剤でした。なんと一剤で年間売り上げが3兆円を超えているそうです。もともとはリウマチや潰瘍性大腸炎、ベーチェット病などで多く使われており生物学的製剤という分類の薬剤です。当院は日本皮膚科学会から「生物学的製剤使用承認施設」に認定されておりますので化膿性汗腺炎に対してヒュミラによる治療が可能です。

化膿性汗腺炎とは?

わきの下や足の付け根(鼠径部)、お尻、女性の胸の下うみが出る疾患です。

毛穴にあかがたまると痛みを伴うおできになります。おできの症状が進行すると膿がたまり毛穴の壁を壊して広がっていきます。皮膚の下ではおでき同士がくっついてトンネルをつくり瘢痕としてあとが残ってしまいます。またせっかく治ったと思っても炎症を起こしてしまい慢性的に繰り返すという特徴があります。
おしりのできものをくりかえしている方は一度この病気の可能性を疑ってみてもいいかもしれません。

ヒュミラはこの炎症を抑えることができるのであとを残すできものに進行させないようにすることができます。

普通おできというと細菌感染が疑われるのですが、感染ではなく炎症性の疾患(自分の免疫によるもの)の場合の最終手段としてヒュミラは有用です。

化膿性汗腺炎は20歳~40歳ぐらいで、肥満の方に多い疾患です。また喫煙との相関も高く臨床試験では8割以上の方がタバコを吸っていました。

おできが進行すると、炎症性結節ができたり排膿性のう胞になりますが、52週間(約1年間)ヒュミラを使い続けると66%の患者さんができものが増えないか減っているという結果が出ました。その後さらに1年間続けて124週(約2年)使い続けると66%の数値は維持していました。つまり継続して効果があるといえます。

ただし炎症を取り除く薬剤に共通することは、免疫状態を抑えるために感染症が多くなります。ヒュミラの有害事象としては感染症が80%となっています。

よくあるご質問

自分のおできが感染によるものか免疫によるものかをどうやって見分けるの?

抗菌薬を服用しても治らないおできが続いている場合には免疫による可能性があります。まずはご相談ください。

化膿性汗腺炎が進行するとどういう対処法があるの?

進行すると現状の皮膚を取り除いてしまう皮膚移植をされる方もいらっしゃいます。しかし皮膚移植をしても半年~1年で再発をするケースもあるようです。早期にヒュミラを投与することで進行を抑制できる可能性があります。

ヒュミラによる化膿性汗腺炎はいくらかかるの?

ヒュミラの薬価は40mg1筒62,976円(2021年8月現在)です。投与方法は1日目に160mg、2週間後の15日目に80mg、その2週間後から40mgを毎週1回という投与方法になります。3割負担の場合薬剤費だけで初月13万円弱、2か月目からは8万円余りの治療と高額な治療となり、患者さまの経済的な負担を軽減するため、さまざまな医療費の助成制度があります。詳しくは当院までご相談ください。

投与前の検査は何が必要ですか?

血液検査と胸部X線検査(レントゲン)が必要です。血液検査は当院で行います。胸部X線検査は半年以内の健康診断の結果がある方はお持ちください。お持ちでない方は当院ビル3階の内科医院にて撮影が可能です。

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記事制作者

小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)

「巣鴨千石皮ふ科」院長。日本皮膚科学会認定専門医。2017年、生まれ育った千石にて 「巣鴨千石皮ふ科」 を開院。
2児の母でもあり、「お肌のトラブルは何でも相談できるホームドクター」を目指しています。