ほくろの盛り上がりは悪性?危ないほくろの見分け方、除去の方法など

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盛り上がるほくろとは?

「ほくろが盛り上がっているように見えるが、何か重大な病気ではないのか」という問い合わせをいただくことがよくあります。底面の大きさは変わっていないのにほくろの高さが盛り上がっており、心配に感じている患者さんから良性腫瘍か悪性腫瘍かとご質問いただいています。多くの場合はそのままにしていても問題ありませんが、ごくまれに悪性腫瘍のケースがあるので、念のため診察を受けていただきたいです。

ほくろは医学用語で「母斑細胞母斑(ぼはんさいぼうぼはん)」と呼ばれます。ほくろができるメカニズムは、メラニン色素を作るメラノサイト(色素細胞)が変質して母斑細胞となり、細胞のかたまりが形成されるというものです。

ほくろは生まれつきできているものと、後から形成されるものとがあります。前者では大型のほくろが多く、20センチを超えるような巨大先天性色素性母斑は、ごくまれですが将来的に悪性黒色腫になるリスクがあり、手術による除去が必要になります。後者では紫外線など外部要因によって肌に負担がかかり、メラニン色素が黒くなりほくろができやすくなります。

なお、現在ほくろが遺伝するということは医学的には認められていません。

ほくろが盛り上がる原因

ほくろが盛り上がってきたように見えた場合、いくつかの可能性が考えられます。一般的にほくろが盛り上がっていること自体に問題はありませんが、もともとのほくろに比べて隆起してきた・拡大してきた・出血してきた・かさぶたができた・じゅくじゅくしてきた・変色してきた、といった変化が確認された場合は、別種のできものである可能性があるため病理検査が必要です。

ほくろに見えるものとして脂漏性角化症(老人性イボ)、メラノーマなどがあります。

脂漏性角化症は、褐色から黒色の盛り上がったイボができる小腫瘤で、ウイルスなどではなく加齢に伴って自然にできるものです。痛みや痒みといった症状はなく、老人性色素斑が次第に大きくなって盛り上がることでできるものが多いです。悪性化して癌になることはありませんが、放置して自然治癒することもありません。

悪性黒色腫(メラノーマ)は、色素細胞(メラノサイト)が皮膚癌化してできる非常に悪性の強い腫瘍で、早期の治療が必要です。メラノーマができる原因は現在まだ明らかになっていませんが、紫外線や皮膚の刺激・摩擦・圧迫といった外部刺激が関係していると考えられています。ほくろとの見分け方は難しいですが、いびつな形であり、肌との境界がぼんやりしていて、色が不均一で、直径が6mm以上の大きさといった特徴が確認できたらメラノーマである可能性があります。急激に大きくなったり出血している場合は医療機関を受診してください。

診断方法

まずは、ほくろに見えるものが良性か悪性かを判断する必要があります。

腫瘍には非常に多くの種類があるため、医師は目視だけでなく診断を確定させるために病理検査を行います。病理検査では、病変部を切除し、顕微鏡で拡大して確認する方法です。

また、メスを使わずにできる検査方法として、よく使用される機器が「ダーモスコピー」です。虫眼鏡のような形状のものからカメラタイプのものまであり、光の反射などを抑えながら病変部分をつぶさに見ることができます。患部切除を必要としないので痛みもなく、安全性が非常に高い手法です。また、保険適用です。

治療方法

良性のほくろの場合は、基本的に切除は必要ありませんが、患者さんご本人の希望に沿って治療を行うことがあります。部位や大きさによって適切な治療法が変わるので、患者さんの希望と医師の判断によって選択しています。術創が広がらないCO2レーザーや電気メスが選択される場合は、信頼できる施設に紹介いたします。

脂漏性角化症は、通常のQスイッチレーザー単体での治療では、後に再発する可能性があるため、炭酸ガスレーザーと併用して治療すると高い効果が見られます。

メラノーマの治療は、外科手術によってすべて除去する方法がもっとも確実だと考えられています。患部が小さいうちは手術のみできれいに取り去ることが可能ですが、画像検査によって全身に癌細胞が転移していることがわかった場合は、抗がん剤や放射線治療による治療が選択されます。

注意点や自宅でのケア

ほくろを頻繁に触ったり、傷をつけたりすると、大きくなったり悪性化する恐れがあるので、できるだけ刺激を与えないようにしましょう。また、紫外線を浴びすぎることのないよう、屋外で活動するときは日焼け止めや日傘、帽子などを使用することを推奨します。

自力でほくろを除去しようとして、市販のほくろ取りクリームやお灸を使う人がいるようですが、火傷や化膿に発展したり大きな傷跡として残る恐れがあり、非常に危険ですので絶対にやめてください。

また、ほくろの除去をエステティックサロンで行っていることがありますが、メラノーマである可能性もあります。危険を避けるため、必ず医師から正しい診断と処置を受けるようにしてください。ダーマスコピーを使った適切な判断をするためには対面での診察が必要となります。当院ではほくろのご相談も受け付けていますのでご相談ください。

まとめ
  • ほくろはメラノサイトが変質して細胞の塊になってできる良性腫瘍
  • まず良性か悪性かを診断することが大切
  • 脂漏性角化症やメラノーマなどの可能性もある
  • 良性の場合は患者さんの希望を併せて治療の方針を決めていく
  • メラノーマは早急な治療が必要
  • レーザー、外科手術など複数の治療法がある
  • ほくろには刺激を与えないこと
  • 適切な診断が必要なので、まずは来院してご相談ください
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記事制作者

小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)

「巣鴨千石皮ふ科」院長。日本皮膚科学会認定専門医。2017年、生まれ育った千石にて 「巣鴨千石皮ふ科」 を開院。
2児の母でもあり、「お肌のトラブルは何でも相談できるホームドクター」を目指しています。