最終更新日:2024年03月23日
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子どもも花粉症になるの?
1月~4月頃、子どものくしゃみや鼻水が止まらない、というご相談を受けることが多くあります。インフルエンザや風邪の流行時期にあたるため判断がむずかしいのですが、もしかしたらお子さんは花粉症かもしれません。
「子どもも花粉症になるの?」
子どもの花粉症について診断方法や治療法をまとめました。まず、花粉症の症状が出現するのにいくつもの条件が重なっていることをご説明します。
花粉症が発症するまでに体内で起こること
花粉症の患者さんの最大の特徴として、まずアレルギーの素因を持っていることがあります。花粉が粘膜に付着し、害のある異物だと抗原提示細胞などが判断した際、アレルギーの素因がある人はその種類の花粉(アレルゲン)に対抗するIgE抗体を作ります。同じ量の花粉が体内に入っても、IgE抗体ができるか否か、どのくらいのIgE抗体が作られるかは個人差があります。続いてIgE抗体がマスト細胞に固着し、次のアレルゲンの侵入に備えて準備をします。この状態を「感作」が成立する、と言います。
感作された状態で、花粉がマスト表面のIgE抗体に反応すると、マスト細胞内からヒスタミンやロイコトリエンをはじめとする化学物質が放出されます。これらの物質が鼻水やくしゃみ、鼻づまりなどの症状を引き起こします。
花粉症は花粉が体内に入ったらすぐ発症するものではありません。花粉との接触を長期にわたって繰り返したことで、感作された状態のマスト細胞数が増加し、その数が一定レベルを超過するとアレルギー症状として発症するのです(即時型アレルギー反応)。
子どもも花粉症を発症する
花粉症の発症には感作のレベルが一定以上に達していることが条件となるため、花粉に触れている期間が大人よりも短い子どもは花粉症を発症しないのではないか?という疑問が考えられます。
環境省が発行している『花粉症環境保健マニュアル2022年』によると、花粉症患者数はどの年齢層においても年々増加しています。年齢別スギ花粉症推計有病率(平成28年度『花粉症患者実態調査』東京都福祉保健局より)に関して、平成28年度調査では0~14歳の推定有病率が40.3%となっており、過去の調査よりも増えました。
花粉の飛散量の増加のほか、食生活やストレス、都市部の空気汚染や乾燥といった生育・生活環境の変化によって花粉症の発症までの期間が短くなり、0歳の赤ちゃんでも発症することがあると考えられています(2歳から発症することが多いです)。
スギ花粉症に関して環境省が2002年から2年間、約5000人の小学生を対象に行った調査では、スギ花粉症の有病率・スギ花粉の飛散量・両親のアレルギー歴の間に関連があることが認められています。花粉症は遺伝による影響があり、兄弟で花粉症を発症するケースも多く見られています。
オンライン診療対応可能
当院では、初診からオンライン診療にて花粉症の治療薬の処方を行っております。
通院なしで症状に合った薬剤をお送りすることが可能です(送料無料)。
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子どもの花粉症の症状
子どもの花粉症は大人と同じように、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの鼻の症状、目のかゆみや目やに、充血などの目の症状、のどのピリピリなどが観察されます。このほか、花粉症が原因となって皮膚炎を引き起こしたり、目や鼻がかゆいためこすってしまい、皮膚が傷ついてただれてしまうこともあります。
スギ花粉が飛散する1月下旬~4月は受験・期末試験、春休み、卒業式・入学式、スポーツイベントなどさまざまな行事と重なる時期です。花粉症が引き起こすくしゃみや鼻水などのため、お子さんが日中に活発に行動できないのはつらいことです。
小さいお子さんの場合、自分の症状を詳しく説明することが難しいことがあります。熱は高くないのにくしゃみや鼻水が止まらない、鼻をすする、咳をする、口呼吸する、目をこするといった症状がみられた場合は、お子さんを医療機関で診察してもらうことをおすすめします。また、花粉症では粘膜が炎症を起こし、口呼吸になりがちなので、菌が体内に侵入し風邪を引きやすくなることにも注意が必要です。
子どもの花粉症の診断方法
花粉症をはじめとするアレルギー検査には、血液採取、皮膚テストなどいくつかの方法があります。
当院では、注射針が怖くて苦手なお子さんにも痛みが少なく検査ができるよう、指先からの採血のみで8つのアレルゲンを調べる診断方法を採用しています。0歳の赤ちゃんでも検査可能で、採血から結果が出るまで約20分と時間もかかりません。ご希望の方は、花粉症の診断方法についてご相談ください。
子どもの花粉症薬
子どもの花粉症の治療は、大人と同じように内服薬・外用薬が中心となります。
眠気の副作用が少なくて済む第2世代抗ヒスタミン薬という飲み薬は、従来は成人にしか使用できませんでしたが、最近は子供にも処方可能な薬の種類が増えてきました。また、生後半年頃から飲める甘いシロップの花粉症薬もあります。
以下に、お子さんの年齢に適した薬の例を記載します。
生後6か月~
- 内服薬
ザイザル(レボセチリジン)…シロップ
ジルテック(セチリジン)…シロップ
2歳~
- 内服薬
3歳以上~
- 内服薬
クラリチン(ロラタジン)…ドライシロップ、錠剤
アレジオン(エピナスチン)…ドライシロップ、錠剤
子どもは体が小さいため、内服薬と外用薬いずれにおいてもステロイド剤は副作用など身体への影響が起こるケースがあります。また、点鼻薬や点眼薬は、お子さんが苦手に感じることもあるので、本人の希望に合った治療薬を選択できると良いでしょう。まずは医師にご相談ください。
また、基本的に花粉症を発症しているときはコンタクトレンズの着用は避けるべきです。どうしてもという場合、コンタクトレンズを着用しながら点眼できる花粉症の目薬もあるので、選択時には注意書きをよく読んでください。防腐剤のベンザルコニウム塩化物が配合されていないものを選ぶと良いでしょう。点眼薬は使いたくないけれど目の症状がつらいというときは、子ども向けの花粉症用メガネを使用することをおすすめします。
以上に記載した治療方法は対症療法にあたります。毎年やってくる花粉症の苦しみを軽減したいときは「舌下免疫療法」という、大人も子どもも利用できるアレルギー体質を改善する治療法もございます。3~5年間、毎日内服薬を飲む治療法ですが、根本的に体質を改善していく方法であり、親子そろって花粉症というご家庭ではご家族のみなさんで治療を開始すると継続できるという傾向があり、当院ではおすすめしています。
- 花粉症は0歳児からでも発症することがある
- 花粉症の原因は食生活や生活環境、ストレスや遺伝が関係する
- 子どもは花粉症の症状をうまく伝えられないことがある
- スギ花粉の飛散ピークは受験などの大事なイベントに重なる
- 子どもの年齢に応じて適した治療薬を選択できる
- アレルギー体質を根本から改善する「舌下免疫療法」は子どもも使える