最終更新日:2022年02月23日
今回は、水いぼの治療法について詳しく解説していきます。2~10mmほどの光沢のあるいぼが皮膚にできる「水いぼ」は、乳幼児~小児に多い疾患で、保護者の方から当院に相談されることがよくあります。治療方法は、痛みを感じにくい方法や早期に治せる方法など、さまざまなものがありますので、お子さんにもっとも合っている治療法を選べるようにご相談を受け付けています。
目次
水いぼは小児に多い感染性の皮膚疾患
水いぼは「伝染性軟属腫ウイルス」というウイルスが皮膚内に入り込み、細胞に感染することで発症する感染性の皮膚疾患です。人から人へ感染しますが、成人が罹患することはまれで、乳幼児(特に湿疹のある子ども)に多い病気です。
患部には小さくつるつるとしたいぼが数個~大量発生しますが、ウイルスと変性した表皮組織のかたまりです。痒みを伴うため、ひっかくなどして傷をつけると、いぼの内容物(軟属腫)が飛び出して感染を広げたり化膿したりすることがあります。感染は、自分の肌の別の部位に広げるほか、他の子どもにうつしてしまうことがあるため注意が必要です。皮膚同士の接触のほか、タオルの共用、ドアノブや遊具など複数の人が触れる場所には、触る前に手を清潔にするなどこまめに対処することをおすすめします。
ウイルスの潜伏期間
伝染性軟属腫ウイルスの潜伏期間は2週間~数カ月と考えられています。水いぼは一度かかると再発しなくなることがありますが、治療中に潜伏していたウイルスが後から再発を招くということもあり、一度の治療で完治することができないと考えておくといいでしょう。また、患者さんによっては水いぼの数が、治るよりもはるかに早いペースで増加していき、何度除去しても次の水いぼができてしまうということもあります。
自然治癒するが、適切な治療で早く完治できる
水いぼは自然に治る疾患で、一般的に1年ほどで完治することが多いです。ただし個人差が大きいので、短ければ数カ月、長引けば2年以上付き合うことになる人もいます。
一番治りが早い治療法は、トラコーマせっしと呼ばれる器具で水いぼを一つ一つつまんで摘出する方法ですが、痛みが強く、小さい水いぼが大量にある場合などはすべてを摘出しきれない可能性もあります。小さなお子さんでは耐えられない痛みになることもあり得ますので、無理はしないこと。いつかは自然に治る疾患ですので、焦らず患者さんに合った治療法を見つけていきましょう。
治療をサポートする当院スタッフ
治療が数回にわたることが多い水いぼに対しては、当院では患者さん(特にお子さん)が治療を継続できるように心をこめてサポートしています。処置を行う看護師は、大学病院の小児科病棟を担当した経験のある、子育てにも慣れている優秀なスタッフです。お子さんが水いぼに悩んでいる保護者の方が来院した際は、自宅でも水いぼが増えないようどのように気をつけるべきかなど、知識と技術をシェアさせていただきます。実際、お子さんの治療に親御さんが協力的になってくれると、お子さんの水いぼも早く回復しやすいです。
ご希望に合わせた治療法の選択
水いぼは現在まだ特効薬はありません。治療法は各医療機関・クリニックが独自に工夫しているところが多いです。一番完治が早いのは摘出法ですが、お子さんの患者さんなど、治療の痛みや恐怖心に合わせてもっとも良い治療法を選択するのが一番でしょう。ここでは主な治療法についてご説明します。
自然に治るまで待つ
水いぼは平均的に1年ほどで完治する疾患です。ほかの治療法では痛みやアレルギー反応を起こす可能性もあるため、お子さんが治療で怖い思いをしないようにと自然治癒を選ぶ方もいます。気をつけるべき点は、かゆみがあるため患部をひっかきやすく、感染を自分自身や、家族、お友達にも広げてしまう恐れがあること。爪は普段から短く切っておく、患部に触れた手は消毒するといった対応が必要です。
摘出する
トラコーマせっしと呼ばれる、先端に輪っかがついたピンセットを使って、水いぼの部分のみをつまんで摘除する方法です。皮膚をつままずに水いぼのみつまめば、痛みはあまりありません。ただし、お子さんの場合は怖がって暴れてしまうことがあります。
この方法で水いぼを摘除した後は、入浴や水泳も可能です。痛みを軽減するために麻酔を含むテープを事前に患部に貼っておくことも可能です。ただし、テープによるアナフィラキシーショックなどのアレルギー反応が出る可能性もまれにありますので、医師の判断に従ってください。
凍結療法
水いぼの治療に、液体窒素を用いる方法もあります。-196度の液体窒素をスプレーあるいは綿棒などで患部に当てると、ウイルスを直接凍結できるため治りが早いこともあります。凍結療法は1~2週間に一度くらいのペースで、3回程度行います。強い痛みを伴うため、お子さんにはつらい治療法かもしれません。また、液体窒素を使ったあとはその部分に血豆や水ぶくれができることがありますが、きちんと水いぼにダメージを与えられている証です。かきむしらないようにし、もし自然に敗れてしまったら清潔なガーゼなどで保護しましょう。
外用薬・内服薬
サリチル酸を含むスピール膏を患部の大きさよりもやや小さく切って、テープで張り付ける方法や、40%硝酸銀ペーストやトリクロロ酢酸、カンタリジン、イミキモド、銀イオンクリームなどの外用薬を用いる方法です。なお、市販のスピール膏はウイルス性いぼに使用しないようにと記載があるため、使用を希望する場合は必ず医師に相談してください。
また、内服薬としてヨクイニンを補助的に用いることもあります。ハトムギから作る生薬で、消炎効果や体内の余分な水分を排出する作用があるとされ、いぼをはじめとする肌トラブルでよく使用されます。
このように、水いぼを摘除する以外の治療法もありますが、いずれも保湿と痒さのコントロールが肝心です。水いぼがこれ以上増えないように処置を取りながら、大きなものだけ取り除くといった柔軟な治療法を取ることも可能です。
ご不安な方へオンライン診療のすすめ
水いぼを取らない選択をしたものの、どんどん増えてしまい不安になられて何度もご受診される保護者の方がいらっしゃいます。お気持ちはよくわかりますし、小さいお子様を連れての受診は負荷も大きいことかと思われます。このような場合、オンライン診療を活用することでご来院いただかずに診療が可能です。当院では初診からオンライン診療に対応しています。ご希望の方は下記リンクよりお申し込みください。
- 水いぼは感染力の高いウイルス性皮膚疾患である
- 乳幼児~小児に多い
- 患部の接触のほかタオルの共用やドアノブ、遊具などに触れて感染を広げることがある
- 平均1年程度で自然に完治できる
- 水いぼの摘出は最も早く治せる方法
- 治療法によっては子どもが怖がるので、当院の優秀なスタッフがしっかりサポート
- 凍結療法は3回程度の通院で治せるが、痛みが非常に強い
- スピール膏や銀イオンクリーム、ヨクイニンなど、摘除以外の治療法も選択できる
- 不安になって何度も通院される患者さんもいるので、オンライン診療もオススメ