最終更新日:2024年12月02日
ニキビ(尋常性ざ瘡)とは
ニキビは、皮膚の慢性炎症性疾患の一つです。皮脂の過分泌などで毛穴が詰まり、毛穴の中でアクネ菌が増殖して炎症を起こします。
ニキビは進行度によって症状(色)が変わってきます。
ごく初期の皮脂が毛穴にたまった状態は「面皰(めんぽう)」と呼ばれます。毛穴の先が閉じて白っぽく見える面皰は「白ニキビ」、毛穴の先が開いて古い角質などが黒っぽく変色した面皰は「黒ニキビ」とも呼ばれます。面皰が炎症を起こし赤っぽくなったものは「赤ニキビ」、炎症がさらに進んで膿がたまったものは「黄ニキビ」と呼ばれることが多いです。
ニキビの治療
医療機関では、ニキビを外用薬や内服薬で治療します。
外用薬で高い効果が期待できるのは、抗菌作用や抗炎症作用、角質剥離作用を有する薬です。早めに治療を開始すればニキビ跡の予防も可能ですし、長期的に使用することでニキビのできにくい肌を目指せる薬もあります。
内服薬としては、アクネ菌に適応がある抗生物質が処方されることもあります。症状によっては、ビタミン薬や漢方薬の処方も検討します。
ニキビの市販薬
市販のニキビ治療薬はおもに外用薬です。ただし、市販薬は成分や適応が限定されているため、処方薬と同等の効果は期待できません。また、ニキビのタイプによって選ぶべき薬も若干変わります。どの薬を購入すべきか悩む場合は、販売店の薬剤師や登録販売者に相談しましょう。
白ニキビや黒ニキビに向いている塗り薬
白ニキビや黒ニキビには、角質をやわらかくする作用のあるイオウやサリチル酸を含む製品がおすすめです。
- クレアラシルニキビ治療クリーム(クレアラシル)
有効成分:イオウ(角質をやわらかくする作用と余分な皮脂を取り除く作用を併せ持つ成分)、レゾルシン(アクネ菌の増殖をおさえる成分)、グリチルリチン酸ニカリウム(抗炎症成分)など
剤型:クリーム(白色タイプ、肌色タイプ)
塗布回数:1日数回
- メンソレータムアクネス25メディカルミストb(ロート)
有効成分:サリチル酸(角質をやわらかくする成分)、イソプロピルメチルフェノール(アクネ菌の増殖をおさえる成分)など
剤型:液剤(スプレータイプ)
赤ニキビに向いている塗り薬
赤ニキビには、抗炎症成分を含む製品がおすすめです。
- イハダ アクネキュアクリーム(資生堂)
有効成分:イブプロフェンピコノール(抗炎症成分)、イソプロピルメチルフェノール(アクネ菌の増殖をおさえる成分)
剤型:クリーム
塗布回数:1日数回
- マキロン アクネージュ メディカルクリーム(第一三共ヘルスケア)
有効成分:イブプロフェンピコノール(抗炎症成分)、ベンゼトニウム塩化物(殺菌成分)など
剤型:クリーム
塗布回数:1日数回
黄ニキビに向いている塗り薬
黄ニキビには、殺菌成分を含む製品がおすすめです。もっとも、市販されているニキビ治療薬(外用薬)にはたいてい殺菌成分が配合されています。上で紹介した製品以外でニキビに適応がある外用薬としては、オロナインH軟膏などがあります。
- オロナインH軟膏(大塚製薬)
有効成分:クロルヘキシジングルコン酸塩(殺菌成分)
剤型:軟膏
塗布回数:患部の状態に応じて使用
飲み薬
ニキビに効果が期待できる飲み薬としては、肌の調子を整えるビタミン成分配合のものや漢方薬(荊芥連翹湯、清上防風湯)があります。
荊芥連翹湯が向いているのは、体力が中等度以上の方で、炎症が起こりやすく症状が慢性化しやすいニキビです。清上防風湯が向いているのは、体力が中等度以上の方の赤いニキビです。
- チョコラBBピュア(エーザイ)
有効成分:アスコルビン酸(ビタミンC)、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)など
剤型:錠剤
用法用量:1日2回朝夕食後服用(15歳以上は1回1錠)
- ツムラ漢方荊芥連翹湯エキス顆粒(ツムラ)
剤型:顆粒
用法用量:1日2回食前服用(15歳以上は1回1包)
- 荊芥連翹湯エキス錠Fクラシエ(クラシエ)
剤型:錠剤
用法用量:1日3回食前または食間服用(15歳以上は1回4錠)
- ツムラ漢方清上防風湯エキス顆粒(ツムラ)
剤型:顆粒
用法用量:1日2回食前服用(15歳以上は1回1包)
市販のニキビ薬(外用薬)を使う際のポイント
市販のニキビ治療薬(外用薬)を使う際には、以下の点も意識してみてください。
洗顔後に使用する
市販のニキビ治療薬は、洗顔後に使用しましょう。洗顔前に薬を塗ると、洗顔時に塗布した薬剤が洗い流されてしまいます。
ただし、洗顔は1日2回程度で十分です。洗顔回数が増えるとニキビに触れる回数が増えるため、刺激でかえって症状が悪化するおそれがあります。
清潔な指でやさしく塗る
汚れた指でニキビに触るのは厳禁です。薬を塗る際には、あらかじめ手を洗って清潔にしてから、やさしく塗るようにしましょう。
なお、塗り薬を強く擦り込む必要はありません。やさしく塗るだけで十分作用しますので、ニキビを強くこすらないようにしましょう。
症状に応じた製品を選ぶ
市販のニキビ治療薬は、有効成分を確認して症状に応じたものを選ぶようにしましょう。選ぶ際のポイントは以下のとおりです。
ニキビの種類 | おすすめの成分 |
---|---|
白ニキビ・黒ニキビ | 角質をやわらかくする成分 例:イオウ、サリチル酸 |
赤ニキビ | 炎症をおさえる成分 例:イブプロフェンピコノール、グリチルリチン酸ニカリウム |
黄ニキビ | 殺菌作用のある成分 例:レゾルシン、イソプロピルメチルフェノール、 ベンゼトニウム塩化物、クロルヘキシジングルコン酸塩 |
市販のニキビ薬を使う際の注意点
ニキビをつぶさないようにする
ニキビをつぶすと毛穴の中が傷つき、かえって炎症がひどくなるおそれがあります。症状が悪化するとニキビ跡が残ることもあるため、自分でニキビをつぶすのは避けてください。
用法用量を守る
市販薬は必ず用法用量を守って使ってください。塗布量や塗布回数を増やしてもニキビの治りが早くなるわけではなく、かえって症状が悪化するおそれがあります。
例えば、油分を含むクリームや軟膏は塗りすぎると症状の悪化をまねく可能性が否定できません。また、ローションは適切に使わないと肌の乾燥をまねくこともあります。
このような弊害を防ぐためにも、使用量や使用回数はきちんと守るようにしましょう。
市販薬と医療用医薬品は必ずしも同じものではない
ニキビ用の市販薬は多数販売されていますが、実は皮膚科でよく使われているニキビ治療薬の多くは市販されていません。また、医療用と同じ成分が含まれている市販薬であっても、医療用医薬品と同等の効果が期待できるとは限りません。
特に症状のひどいニキビは市販薬での治療が難しいため、治りが悪い場合は症状が悪化する前に医療機関を受診するほうがよいでしょう。
副作用に関する注意
市販のニキビ治療薬を使用してかぶれや症状の悪化がみられる場合などは、すぐに使用をやめて医療機関を受診し、適切な治療を受けてください。自己判断でかぶれの薬などを併用すると症状が悪化することもあるため、おすすめできません。
こんな場合は早めに受診を……
市販のニキビ治療薬の使用で副作用が生じた場合、1ヵ月ほど使用してもニキビが改善しない場合、激しい炎症をともなうニキビがある場合などは、医療機関を受診して適切な治療を受けてください。
ニキビ跡を残したくない場合も、早めに医療機関を受診しましょう。
ニキビのオンライン診療
ニキビにオンライン診療がおすすめな理由
症状を見た目で判断しやすいニキビは、オンライン診療と相性が良い疾患といえます。
また、ニキビは繰り返しできることが多いため、継続的な治療が必要になることが少なくありません。特に、エピデュオゲルなどの医療用医薬品を使用してニキビのできにくい肌を目指すには数ヵ月以上かかるため、受診の手間がないオンライン診療は大変便利です。
当院のオンライン診療
当院では、ニキビのオンライン診療にも対応しています。症状によっては薬剤を処方してご自宅などにお送りすることも可能です(送料無料)。ニキビでお悩みの方・継続的な治療をご希望の方はぜひご活用ください。
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