最終更新日:2024年12月02日
今回は酒さ(赤ら顔)治療に使用される漢方薬の使い分けについてご紹介します。
酒さについて
酒さとは頬や鼻、額などの顔面が赤みや火照りが出る疾患で、成人の女性に多い傾向があります。症状が慢性的に繰り返すため、QOL(生活の質)が低下する恐れがあります。
原因はわかっていないものの、紫外線や外気温の急激な変化、刺激のある食べ物(主に香辛料)やアルコールの摂取、ストレス、ニキビダニなどで悪化することがあります。治療は外用薬など使用に加え、漢方薬も使用するケースもあります。
漢方医学的なとらえ方
漢方医学では、酒さを「血」が体内でうまく循環せず、局所的に停滞するとともに、熱感・炎症を持つ状態だととらえています。
酒さに直接効能効果がある漢方はありませんが、症状を改善するために、血流の停滞には『駆瘀血剤(血液循環を改善させる処方)』を、熱感・炎症には『清熱剤(熱を冷ます処方)』を使用するケースがあります。
漢方薬による酒さ治療と診療ガイドライン
診療ガイドラインとは、エビデンスなどに基づいて最良と考えられる治療法を提示する文書のことです。日本皮膚科学会から出されている「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」によると、具体的な処方名は明記されていませんが、酒さによる漢方治療は下記のステージでC2(行ってもよいが推奨はしない)と記載されています。
- 紅斑毛細血管拡張型酒皶(第1度酒皶):C2
- 丘疹膿疱型酒皶(第2度酒皶):C2
なお、第2度酒皶における漢方と同じ推奨度の薬剤には、イベルメクチンやメトロニダゾール(内服)があります。
酒さ治療に用いられる漢方薬
患者さまの症状や体質に合わせて使い分けられています。
漢方名 | 症状 | 解説 |
---|---|---|
白虎加人参湯 | ほてり感や 口渇がある場合 |
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桂枝茯苓丸 | 冷えとのぼせ、更年期障害 月経不順・月経困難がある場合 |
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温経湯 | 冷え、手荒れ 口唇の乾燥がある場合 |
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越婢加朮湯 | 熱感や炎症があり 浮腫を伴う場合 |
※白虎加人参湯、桂枝茯苓丸、温経湯、越婢加朮湯は酒さの効能効果はありません。
オンライン診療対応可能
当院では、初診からオンライン診療にて漢方薬の処方を行っております。通院なしで薬剤をお送りすることが可能です(送料無料)。アプリのインストールは不要で、システム利用料も徴収しておりません。よろしければご利用ください。
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漢方薬の服用方法について
漢方薬は生薬独特の香りがするため、飲みづらいと感じる方もいらっしゃいます。その場合、2つの方法をお試しいただいています。
- 水で流し込む方法
- オブラートに包む方法
先に口に水を含み、漢方薬を水の上に落とし一気に飲みこみます。その後、水または白湯を飲みます。
味やにおいが気になる方はオブラートに包んで服用できます。オブラートは粉薬を包むだけでなく、そのまま水につけてゼリー状にしてから服用すると口の中に貼り付かず飲みやすくなります。コーヒー、緑茶、牛乳、ジュースなどでの服用はお控えください。
- 酒さに効能効果がある漢方はないが、症状を改善できる可能性がある。
- 診療ガイドラインには酒さのステージごとに推奨度が掲載されている。
- 皮膚科の酒さ治療で使われている漢方薬を紹介する。
- 当院ではオンライン診療で初診から漢方薬による酒さの治療に対応している。