解熱鎮痛薬「ロキソニン錠60mg(ロキソプロフェンナトリウム)」

  日祝
9:00~13:00 - -
15:30~18:30 - - -

☆休診日: 水曜、日曜、祝日
予約なしでも受診可能です

  • 巣鴨千石皮ふ科 ネット予約
  • ネット予約の手順
  • キーワード(症状、薬品名、治療、医院について等)をご入力ください。

FacebookTwitterLine

ロキソニンとは?

ロキソニンの写真

ロキソニン(一般名:ロキソプロフェンナトリウム水和物)は、鎮痛・抗炎症・解熱作用を有する非ステロイド性抗炎症薬(NSAID:エヌセイド)の一種です。
痛み・炎症・発熱などを引き起こすプロスタグランジンの産生を抑え、その効果を発揮します。
なお、「ロキソニン」という名前は、有効成分であるロキソプロフェンナトリウム(Loxoprofen Sodium)に由来します。

ロキソニンの特徴

他のNSAIDsとの違い

ロキソニンは、鎮痛作用・抗炎症作用・解熱作用をバランス良く有する薬剤です。そして、他のNSAIDに比べて痛みに対する作用が強いとされています。
また、体内に吸収されてから活性型に変化するプロドラッグ製剤なので、消化管に対する副作用が比較的生じにくいのも特徴です。

カロナールとの違い

ロキソニンもカロナールも解熱鎮痛作用を持つ薬剤ですが、ロキソニンはプロスタグランジンの産生を抑えて解熱・鎮痛・消炎作用を発揮します。一方、カロナールは脳の中枢神経や体温調節中枢に働きかけて解熱鎮痛作用を示します。
また、ロキソニンは小児(15歳未満)への投与は認められていませんが、カロナールは幼児や小児などにも投与できるという違いがあります。
なお、解熱鎮痛作用についてはロキソニンのほうが強く、カロナールは効き目が比較的穏やかだとされています。

ロキソニンの効果・効能

ロキソニンの適応となる疾患・症状

ロキソニンは、整形外科領域疾患に伴う痛み、手術・外傷・抜歯後の疼痛、急性上気道炎の発熱・疼痛(喉の痛み)などに適応があります。
頭痛や生理痛に対する適応はありませんが、片頭痛や緊張型頭痛への処方は問題ないとされています。また、生理痛や月経困難症などにもよく処方されます。
皮膚科領域では、手術後の痛みや帯状疱疹による痛み、炎症性粉瘤・蜂窩織炎化膿性爪囲炎などの細菌感染症による疼痛に対してロキソニンを使用することがあります。

効果発現時間

ロキソニンの効果があらわれるまでの時間は、飲む人の体質や体調、症状により異なります。ただ、鎮痛作用や解熱作用については、以下のような報告があります。

手術および外傷後疼痛の鎮痛作用
60mg投与 15分以内 19.80%
30分以内 53.40%
60分以内 72.40%
抜歯後疼痛の鎮痛作用
60mg投与 15分以内 41.20%
30分以内 81.20%
120mg投与 15分以内 51.60%
30分以内 83.90%
急性上気道炎の発熱の解熱作用
60mg投与 投与から30分後に
有意な体温の低下を確認。

これらの結果から、一般的には服用から30分~1時間程度で解熱・鎮痛効果があらわれると考えられます。

作用持続時間

ロキソニンの効果持続時間は、4~6時間程度です。ただし、飲む人の体質や体調、症状により効果持続時間は変わってくるため、これより短い時間で効果を感じなくなることもあります。

ロキソニンが効かない場合

ロキソニンはすぐれた解熱・鎮痛作用を有しますが、すべての痛みに対応できるわけではありません。ロキソニンが効かない例としては、以下のような場合があります。

炎症を伴わない痛み
(慢性の痛み、
神経由来の痛み)
ロキソニンは炎症を伴う痛みや発熱に
効果を発揮しますが、炎症を伴わない
慢性の痛みや神経由来の痛みには、
効果が期待できないことがあります。
痛みが強くなって
から服用した場合
痛みが強くなるまで我慢すると、
プロスタグランジンの体内量が増え
痛みを抑え込むことが難しくなります。
鎮痛薬の
使い過ぎ
頭痛に対して痛み止めを頻繁に使うと
(月に10~15回以上)、
痛みを感じる神経が過敏になり
症状が悪化することがあります。

これらのケースでは、薬の変更や使用方法の改善で痛みが治まることもあります。

ロキソニンの使い方・飲み方

ロキソニンの用法用量

成人の整形外科領域の疾患に伴う痛みや、手術・外傷・抜歯後の疼痛などに使用する場合は、1回1錠(60mg)を1日3回服用します。頓服の場合は、1回60~120mgを服用します。服用量は、年齢や症状によって適宜増減可能です。

急性上気道炎の発熱・疼痛(喉の痛み)などに使用する場合は、1回1錠(60mg)を頓服します。この場合も、年齢・症状などによって服用量を加減できますが、服用回数は原則として1日2回まで、1日最大180mg(3錠分)が限度とされています。

いずれの用法でも、空腹時の服用は避けるのが望ましいです。また、長期間使用する場合は、胃粘膜を保護する薬剤を併用することもあります。

1回の服用量および服用間隔

医療用のロキソニン錠の服用量は、1回につき1錠(60mg)です。
頓服の際には1度に2錠(120mg)服用するように指示されることもありますが、自己判断で服用量を増やすのは避けてください。
なお、痛みや発熱が続く場合でも、服用間隔は4~6時間程度空けてください。これより短い間隔で服用すると、ロキソニンの血中濃度が高まって副作用が発生するリスクが高くなります。

錠剤以外の剤型について

ロキソニンには、錠剤の他に細粒(粉薬)があります。錠剤は医療用と市販用がありますが、細粒は医療用しかありません。そのため、細粒を希望する場合は診察が必要です。
その他、テープ剤、パップ剤、ゲルなどの外用薬もあります。外用薬は、同成分・同用量の製品がドラッグストアなどでも販売されています。

ロキソニンを服用する上の注意点

一般的な注意

ロキソニンは、痛みや発熱、炎症の原因を根本的に治す薬ではなく、これらの症状を和らげる対症療法に使われる薬です。

時間の経過とともに炎症が治まり、痛みなどが改善することもありますが、症状が長引く場合は原因に対する治療が必要になる場合も少なくありません。ロキソニンを長期間服用しても症状改善が見られない場合は、早めに受診するようにしましょう。

合併症や既往歴など持病がある場合の注意

ロキソニンの成分に対して過敏症の既往歴がある場合は、ロキソニンを服用できません。
また、以下の病気や既往歴がある場合は、ロキソニンの服用で症状が悪化したり再発したりするおそれがあるため、注意が必要です。

  • 消化性潰瘍
  • 血液の異常
  • 肝機能障害
  • 腎機能障害
  • 心機能異常
  • アスピリン喘息や気管支喘息
  • 潰瘍性大腸炎
  • クローン病

病気の症状が重篤な場合はロキソニンを服用できないこともありますので、これらの持病や既往歴がある場合は診察時にお伝えください。

ロキソニンの副作用

注意すべき副作用

ロキソニンの重大な副作用として、以下の症状が報告されています。

重大な副作用 初期症状
ショック、
アナフィラキシー
顔面蒼白、呼吸困難、
冷や汗
無顆粒球症、白血球減少、
溶血性貧血、再生不良性貧血
血小板減少
発熱、喉の痛み、鼻血、
歯茎の出血、皮下出血
中毒性表皮壊死融解症、
皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑
急性汎発性発疹性膿疱症
皮膚・粘膜が赤く腫れて
発疹や水ぶくれができる、
発熱、全身のだるさ
急性腎障害、
ネフローゼ症候群、
間質性腎炎
尿量の減少、むくみ、
食欲不振
うっ血性心不全 呼吸困難、全身のむくみ
間質性肺炎 発熱、空咳、呼吸困難
消化性潰瘍、消化管出血 血を吐く、便に血が混ざる
消化管穿孔 みぞおちの痛み、腹痛
小腸・大腸の狭窄・閉塞 吐き気、腹痛、腹部膨満感
劇症肝炎、肝機能障害
黄疸
全身のだるさ、食欲不振、
皮膚や白目が黄色くなる
喘息発作 発作的な息切れ、喘鳴
無菌性髄膜炎 発熱、頭痛、吐き気
横紋筋融解症 筋肉痛、脱力感、褐色尿

上記以外にも、軽微な副作用は起こる可能性があります。ロキソニンの服用開始後に気になる体調変化があらわれた場合は、医療機関へご相談ください。

日常生活における注意点

飲み合わせや過量服用(飲み過ぎ)について

他の痛み止めとの併用

ロキソニンと他の消炎鎮痛剤との併用は避けてください。すでに他の痛み止めを服用している場合は、自己判断でロキソニンを追加しないようにしてください。複数の消炎鎮痛剤を併用すると、副作用が増悪されるおそれがあります。
ただし、医師が必要と判断して処方している場合はこの限りではありません。他の医療機関から痛み止めが処方されている場合は、念のため診察時にご相談ください。

痛み止め以外の薬との併用

一部の抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)や抗菌薬、降圧薬などと併用すると、併用薬の作用に影響をおよぼしたり副作用の発生リスクが高くなったりします。
そのため、痛み止め以外の薬についても飲み合わせを判断する必要がありますので、併用薬がある場合はご相談ください。

過量服用(飲み過ぎ)

ロキソニンなどのNSAIDは効果の有効限界(天井効果)があるため、一定量を越えて服用しても鎮痛作用は強くなりません。他方、一度に服用する量が多すぎると副作用が発現しやすくなります。
体への悪影響を防ぐために、指示された錠数を越えて飲み過ぎないようにしましょう。

特定の患者様の使用に関して

妊娠されている方への使用

動物を対象とした試験で分娩の遅延や胎児への影響が報告されているため、妊娠後期(28週0日以降)の方はロキソニンを使用できません。
妊娠後期以前の方については、治療上の有益性が危険性を上回る場合のみ使用可能です。ただし、類似薬で胎児への影響が報告されているため、使用量は最小限度にとどめ、投与の可否を慎重に判断します。

授乳中の方への使用

ロキソニンは、動物を対象とした試験で乳汁中への移行が報告されています。
そのため、授乳中の方に投与する場合は、治療上の有益性や母乳栄養の有益性を考慮して、授乳の継続または中止を検討します。

お子様への使用

ロキソニンは、小児などに対する臨床試験は実施しておらず、適応もありません。15歳未満のお子さまには半分に割るなどして用量を減らしても使用できませんので、ご注意ください。

ロキソニンの患者さま負担・薬価について

先発品であるロキソニン錠の薬価は10.1円/錠、ジェネリック医薬品の薬価は5.7〜9.8円/錠となっています。
自己負担額3割の方がロキソニン錠を1日3回、1週間内服した場合、ご負担金額は64.0円になります。(薬剤費のみの計算です。)

よくあるご質問

医療用のロキソニンと、市販薬のロキソニンの違いはありますか?

医療用のロキソニン錠と市販薬の「ロキソニンS」は、外観は若干異なるものの、成分量・添加物・錠剤の大きさはまったく同じです。
ただし、市販薬は短期間あるいは頓服での使用しか認められていません。また、適応が異なります(下表)。

ロキソニン錠
(医療用)
<消炎・鎮痛>
関節リウマチ、変形性関節症
腰痛症、肩関節周囲炎、
頸肩腕症候群、歯痛
手術後、外傷後・抜歯後
<解熱・鎮痛>
急性上気道炎
ロキソニンS
(市販薬)
頭痛・月経痛(生理痛)
歯痛・抜歯後の疼痛
咽喉痛・腰痛・関節痛
神経痛・筋肉痛・肩こり痛
耳痛・打撲痛・骨折痛
ねんざ痛・外傷痛の鎮痛
悪寒・発熱時の解熱

したがって、市販薬の使用は医療機関に行く時間がない場合や緊急時にとどめ、痛みが強い場合や症状が長く続く場合などは、できるだけ早く受診するようにしてください。

ドラッグストアにはいろいろなロキソニンがありますが、どれも同じですか?

ドラッグストアなどで販売されているロキソニンシリーズには、医療用のロキソニンとは異なり胃粘膜保護成分や鎮痛効果を高める成分などが配合されているものもあります。
眠気の出やすい成分が配合されているものもありますので、迷ったら店舗にいる薬剤師にご相談ください。

薬局で、服用間隔を4~6時間以上空けるように言われました。痛みが辛いので4~6時間以内に飲みたいのですが、だめですか?

ロキソニンの服用間隔を短くしたり、1度に服用する量を増やしたりしても、鎮痛作用は必ずしも強くなりません。服用間隔が短くなると副作用の発現リスクが高まりますので、服用間隔は必ず守るようにしましょう。

お酒を飲んだときにロキソニンを服用しても良いですか?

一般的に、アルコールは薬剤の作用や体内動態に影響を与えます。特に解熱鎮痛作用を有する薬剤は、アルコールで代謝や吸収が促進されることがあるため、副作用が強くあらわれるおそれがあります。
したがって、飲酒時にロキソニンを服用するのはおすすめできません。

ロキソニンとカロナールを併用しても良いですか?

ロキソニン・カロナールとも、他の消炎鎮痛剤との併用は避けることが望ましいとされています。例外的に、医師の指示のもとで併用することはありますが、自己判断で併用するのは避けるべきです。
なお、カロナールの有効成分であるアセトアミノフェンは、市販薬にも配合されていることがあります。気付かないうちに飲んでしまうことがないように、成分をしっかり確認してください。

ロキソニンを飲むときは、胃薬も一緒に飲むほうが良いですか?

ロキソニンによる胃腸障害は、薬を服用したすべての方にあらわれるわけではありません。そのため、胃の痛みや不快感など気になる症状がない場合は、胃薬を一緒に服用しなくても構いません。
ただし、ロキソニンと一緒に胃粘膜保護薬や胃酸の分泌を抑える薬(H2ブロッカー、プロトンポンプ阻害薬)が処方されている場合は、一緒に服用してください。
一方、胃薬の処方がなく、ロキソニンの服用で胃の不快感などがあらわれた場合は、早めに受診して症状についてご相談ください。
なお、他の医療機関から胃粘膜保護薬や胃酸の分泌を抑える薬が処方されている場合は、ロキソニンと一緒に胃薬を処方しないこともあります。

ロキソニンは腰痛にも効きますか?

ロキソニンは、腰痛にも効果が期待できます。ただし、神経障害に由来する腰痛や、炎症を伴わない慢性の腰痛に対しては、十分な効果が期待できないこともあります。これらの痛みには、他の治療や薬剤が有効な場合もありますので、ロキソニンが効かない場合はご相談ください。

ロキソニンは胃痛に効きますか?

ロキソニンにはすぐれた鎮痛作用がありますが、胃など消化管の痛みに使用するのは避けるべきです。
ロキソニンを服用すると、胃粘膜保護作用を有するプロスタグランジンの生成が抑制されます。そのため、胃の痛みや不快感があるときにロキソニンを服用すると、かえって症状が悪化するおそれがあります。

 

FacebookTwitterLine