- お風呂にはいってよいですか?
- 構いません。入浴後は清潔なシャワーで洗い、必要に応じて軟膏をぬってください。
- ステロイドをぬってもよいですか?
- 医師の指示に従ってください。爪周囲にできた肉芽にステロイドを外用することはあります。
- 繰り返してしまうのですがどうしたら再発を防げますか?
- 爪が短いなど爪が圧迫される原因を避けて下さい。原因がわからない場合は一度ご相談にいらしてください。
- ひょうそはかゆいこともありますか?
- 痛いことが多いですが、炎症の初期であれば痒いと感じることもあるかもしれません。
目次
ひょうそは、指先に炎症とうずくような強い痛みを起こす細菌感染症です。爪周囲炎と呼ばれることもあります。
爪の縁に沿って非常に赤く腫れ、ずきずきした痛みを伴う疾患を爪囲炎と言いますが、これが深刻化した際に起こりやすく、患部は指の腹部にも拡大しています。ひょうそになると、痛みはかなり強く、どくんどくんと脈動するように感じられます。
痛みの原因は、炎症によるものだけでなく、皮膚の下に浸出液や膿が充満したせいで、皮膚内が圧迫されていることが大きいです。
膿が形成される病気なので、なるべく早い段階で医療機関を受診する必要がある感染症です。医師による排膿処置を受けると、多くの場合はすぐに痛みがおさまります。
ひょうそは原因別に、細菌性、真菌性(カンジダが多い)、ヘルペス性などに分類されます。また、症状がどれくらい長く継続しているかによって急性・慢性と区別されます。
大抵の場合、症状は指先のみにとどまって全身に拡大することはありませんが、発症部位が骨に近いため悪化すると骨髄炎に発展したり、リンパ管を経由して炎症が広がればリンパ管炎を起こしたりと、周辺組織に感染が及ぶことも考えられます。
ひょうそは細菌感染が原因で、多くは皮膚が損傷した場合に起こります。
例えば、ささくれをむしったり、手洗いの回数が多くて手荒れが起きたり、巻き爪・陥入爪、擦り傷や切り傷があるようなときに、その損傷部分から細菌が侵入します。ばんそうこうを長時間貼っていた、子どもの場合は指しゃぶりしていたといったことも、皮膚がふやけているのがひょうそを起こす原因となりやすいです。
また、マニキュアや除光液の頻繁な使用、ジェルネイルや甘皮の除去でも、爪付近の皮膚のバリア機能が低下するためリスクが高まります。
急性細菌性のひょうその原因となる細菌は、急性の場合は主に黄色ブドウ球菌またはレンサ球菌です。カンジダ性の場合、カンジダは水気の多いところを好むカビなので、水仕事が多い人がかかりやすいです。患部が赤く腫れて、爪がデコボコしているのが特徴です。
ヘルペス性のひょうそは単純ヘルペスウイルスが原因で、水疱ができやすいです。
ひょうそは、細菌かカンジダかなど、原因菌によって治療法が異なる場合があるので、医療機関でしっかりと診断してもらう必要があります。
主に医師が患部を視診して判断します。指先の赤い腫れや膨張、化膿、痛みの具合のほか、爪の周辺を傷つけたことがあるかや水仕事の頻度、マニキュア・ジェルネイルの使用状況といった環境の問診もあわせて行います。
膿が出ている場合は、病原体の特定のために培養検査やグラム染色を行うケースもあります。原因菌の特定は、どの抗生物質を使用すると効果的かを判断する好材料にもなります。このほか、炎症が広がっている場合はどの組織にまで及んでいるかを確認するため、レントゲンやMRIなどの画像検査を行うことがあります。
ヘルペス性ひょうそは、水疱からウイルスに感染した細胞が検出され、細菌性とは区別されます。
これらの項目に当てはまる症状や習慣がある場合は、ひょう疽に注意が必要です。
ひょう疽の原因となる細菌や真菌、ウイルスは、皮膚のちょっとした傷からも侵入してきます。リストにある症状の多くは皮膚科で治療できますので、気になる症状がある場合はご相談ください。
細菌性ひょうその治療の中心は膿の排出と抗生剤の投与です。
ブドウ球菌やレンサ球菌、大腸菌など、それぞれの細菌に効果がある抗生剤の内服薬が処方されるので、医師の指示にしたがって服用します。
膿がたまっていたら、医師が穿刺または切開して排膿します。また、傷口がぐじゅぐじゅしていたら抗生剤の外用薬を塗ると治癒が早くなります。
カンジダ性の場合は、イトラコナゾールの内服薬や抗カンジダ薬などを処方して真菌(カビ)に対応します。
ヘルペス性の場合はしばしば自然に治癒することができますが、皮膚に塗るアシクロビルなどの外用薬が処方されることが多くあります。また、再発性の高い疾患なので、アシクロビルの内服薬を用いて再発を予防することもあります。なお、ヘルペス性では切開排膿は行われません。
軽度のひょうそであれば、患部をなるべく高い位置に上げて安静にします。
大体は抗生物質の飲み薬で治療していくことができますが、効果がなかなか見られない場合は、抗生物質の点滴や注射などで血管に直接投与し、回復のスピードを早くしていく治療法もあります。
肉芽ができている場合は、テラコートリル軟膏などのステロイドの入った軟膏を外用する場合もあります。また痛みが出る場合には痛み止めを使う場合があります。
ひょうその症状が見られた場合、炎症が急速に進んだり拡大したりするほか、骨髄炎やリンパ管炎につながる恐れもあるため、速やかにご相談ください。
ひょうそがある手で食品を触ると、細菌が食品に付着して増殖し、食中毒を起こす原因にもなり得るので気をつけましょう。
指先に傷などの損傷ができたときは、細菌の侵入を防ぐため清潔と消毒を心がけましょう。新型コロナウイルス感染症防止のために手洗いが推奨されていますが、手を洗ったりアルコール消毒をする回数が増えたことで手荒れに悩む人が最近増えています。手が荒れていると細菌が入り込みやすくなるので、手指は保湿クリームなどで保護してください。
このほか、水仕事が多い人はカンジダ性のひょうそが起きやすいので、作業の際にはプラスチック製の手ぶくろを着用することをおすすめします。また、手は濡れたままにせずによく乾燥させ、保湿もするように心がけてください。