最終更新日:2025年10月15日

目次
コレステロールが「高い」とはどういう状態か
健康診断などで「コレステロールが高い」と言われた場合、一般的にはLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の値が高いことを意味します。
しかし、脂質異常症(高脂血症)で問題となるのはLDLコレステロールだけではありません。
そのため、どの血清脂質が正常域から外れているのかをきちんと把握する必要があります。
そもそも「コレステロール」とは
コレステロールは体内に存在する脂肪の一種で、細胞膜やホルモン、胆汁酸などを作るのに欠かせないものです。
しかし、コレステロールは水に溶けないため、血液中ではリポ蛋白というたんぱく質に包まれた状態で存在します。
リポ蛋白にはいくつか種類があり、肝臓などで作られたコレステロールを体全体に運ぶ「LDL」や、不要になったコレステロールを肝臓に運ぶ「HDL」などがあります。
LDLは体内にコレステロールをため込むほか、血管壁に入り込んで動脈硬化をまねくこともあるため、「悪玉」と呼ばれています。
一方、HDLは不要なコレステロールを回収したり、動脈硬化を起こした血管からコレステロールを引き抜いたりする働きがあるため、「善玉」と呼ばれています。
そして、このLDLコレステロール(悪玉コレステロール)とHDL(善玉コレステロール)のバランスが崩れ、血液中のコレステロールの値が正常域から外れた状態を「脂質異常症」と呼びます。
脂質異常症の診断基準
脂質異常症には、LDLコレステロールが高くなるタイプ、HDLコレステロールが低くなるタイプのほか、中性脂肪(トリグリセライド)が高くなるタイプなどがあります(下表参照)。
LDL コレステロール (LDL-C) |
140mg/dL 以上 |
高LDL コレステロール 血症 |
---|---|---|
120~ 139mg/dL |
境界域高LDL コレステロール 血症 |
|
HDL コレステロール (HDL-C) |
40mg/dL未満 | 低HDL コレステロール 血症 |
中性脂肪 (トリグリ セリド:TG) |
150mg/dL以上 (空腹時採血*1) |
高トリグリ セリド血症 |
175mg/dL以上 (随時採血*1) |
||
Non-HDL コレステロール*2 |
170mg/dL以上 | 高non-HDL コレステロール血症 |
150~ 169mg/dL |
境界域高non-HDL コレステロール血症 |
*1:基本的に10時間以上の絶食を「空腹時」とする。空腹時であることが確認できない場合を「随時」とする。*2:総コレステロール値からHDL-コレステロール値を引いた値。
コレステロールが高い状態が続くとどうなるのか
コレステロールが高くても、特別な自覚症状はありません。
また、脂質異常症と診断された場合でも、すぐに薬物治療を始めるのではなく、生活習慣の改善などで様子を見る場合もあります。
しかし、自己判断で脂質異常症を放置するのは危険です。
高LDLコレステロール血症などを放置すると、動脈硬化が進行して狭心症や心筋梗塞、脳出血や脳梗塞などを発症するリスクが高くなります。
そのため、健康診断などで血清脂質値の異常を指摘されたら、早めに医療機関を受診する必要があります。
コレステロールが高くなる原因
コレステロールが高くなる場合、食べ過ぎや運動不足など生活習慣に問題があることが少なくありません。
しかし、遺伝や病気などの影響でコレステロールが高くなることもあります。
食事など生活習慣の影響
コレステロールのうち、LDLコレステロールが高くなる原因として挙げられるのが「飽和脂肪酸」という脂質の摂り過ぎです。
飽和脂肪酸は、肉の脂身や乳製品などに多く含まれています。
また、揚げ物や市販の洋菓子類に含まれる「トランス脂肪酸」にもLDLコレステロールを高くする働きがあるといわれています。
食事中のコレステロールもLDLコレステロールを高くしますが、飽和脂肪酸ほど大きな影響はないことがわかっています。
その他、運動不足もLDLコレステロールが高くなる原因の一つです。
運動不足で肥満、特にお腹まわりに脂肪がつく「内臓脂肪型肥満」になると、LDLコレステロールや中性脂肪が高くなり、善玉コレステロールが低くなる傾向があります。
遺伝の影響
コレステロールは、遺伝的な原因で高くなることもあります。
特に問題となるのが、「家族性高コレステロール血症」です。
家族性高コレステロール血症の場合、幼いころからコレステロール(特にLDLコレステロール)が高くなります。
そのため、若いうちから動脈硬化が進んでいることが多く、30代・40代で心筋梗塞や脳梗塞などになることもあります。
しかし、家族性高コレステロール血症でも、早い時期からきちんと治療をすれば動脈硬化の進行を防ぐことが可能です。
加齢や病気の影響
女性は、閉経を迎えるとエストロゲンというホルモンの分泌量が少なくなります。
エストロゲンには、LDLコレステロールを減らしてHDLコレステロールを増やす働きがあるため、閉経後の女性はLDLコレステロールが高くなりやすい状態になります。
また、甲状腺機能低下症やネフローゼ症候群、糖尿病などの病気が原因で、コレステロールが高くなることもあります。
コレステロールが高い場合はどうすればよい?
コレステロールが高い場合は、食事の内容や運動習慣などの生活習慣をまず見直しましょう。
薬物治療をしている場合も、生活習慣の改善は必要です。
食事のポイント
コレステロールが高い場合は、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を多く含む食品を控えるようにしましょう。
コレステロールを多く含む食品も、摂り過ぎないようにしてください。
代わりに、LDLコレステロールを減らす作用のある不飽和脂肪酸を含む食品を摂るようにしましょう。
コレステロールの排出を促すために、食物繊維を摂ることも大切です。
LDLコレステロールを上げやすい食品
飽和脂肪酸を 多く含む食品 |
脂身の多い肉、ひき肉、 鶏皮、ラード、 乳製品 (バター、生クリームなど)、 ヤシ油、カカオ脂、 ココナッツミルク、 洋菓子など |
---|---|
トランス脂肪酸を 多く含む食品 |
マーガリン、洋菓子、 スナック菓子、揚げ菓子、 工場生産された 揚げ物など |
コレステロールを 多く含む食品 |
鶏卵、魚卵、 内臓類 (レバーやモツ)など |
LDLコレステロールを下げる効果が期待できる食品
食物繊維を 多く含む食品 |
玄米、麦飯、 雑穀、納豆、 野菜類、海藻類、 きのこ類、 こんにゃくなど |
---|---|
n-3系多価不飽和脂肪酸を 多く含む食品 |
魚 (マグロ、サバ、 サンマ、ブリなど)、 アマニ油、ナタネ油など |
n-6系多価不飽和脂肪酸を 多く含む食品 |
大豆油、 サフラワー油など |
運動のポイント
運動は血清脂質値の改善に役立ちます。
おすすめは、ウォーキングや早歩き、水泳、エアロビクス、スロージョギング、サイクリングなどの有酸素運動です。
ベンチステップ運動など、大きな筋肉を動かす運動も有効です。
運動時間は1日30分以上、毎日続けるのが理想ですが、難しい場合は週3日程度でも構いません。
なお、運動は30分間連続して行う必要はありません。
短時間の運動を数回に分け、合計30分以上/日としても大丈夫です(例:10分の運動×3回=合計30分)。
運動の強さは、通常の歩行と同程度かそれよりやや強い程度を目指してください。
心血管疾患がある場合や骨・関節に疾患がある場合、体力に自信がない場合などは無理をせず、掃除をする、車を洗う、自転車で買い物に行くなど生活のなかで体を動かす機会を増やすことから始めましょう。
家族性高コレステロール血症や病気の影響でコレステロールが高くなっている場合
家族性高コレステロール血症の場合は、LDLコレステロールを低下させる積極的な治療が必要です。
生活習慣の改善だけでは十分な効果が得られないことが多いため、医療機関を受診して薬物治療を受けることをおすすめします。
病気の影響でコレステロールが高くなっている場合は、原因となっている病気の治療を優先してください。
原因疾患の治療が進めば、コレステロール値も改善してきます。
健康診断などでコレステロール高値を指摘された方のオンライン診療
健康診断でコレステロール高値などを指摘されたら、放置せず早めに医療機関を受診しましょう。
血清脂質の異常を放置すると、動脈硬化が進行して致死的な病気を発症するリスクが高くなります。
また、背後に病気が隠れている可能性も否定できません。
とはいえ、自覚症状の乏しい脂質異常症のために医療機関を受診するのは、なかなか気が進まないものです。
そのようなときに活用していただきたいのが、オンライン診療です。
オンライン診療でも、健康診断の結果などを提出していただければ、生活習慣の改善や薬物治療などに関する指導・アドバイスを行うことができます。
脂質異常症をはじめとした生活習慣病の改善には継続的なサポートが必要ですが、オンライン診療ならどこからでも受診できるため、「忙しくて定期的な受診が難しい……」という方にも適しています。
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