最終更新日:2024年12月02日
目次
多汗症とは
多汗症とは単なる「汗かき」ではなく、日常生活に支障が出るほどの大量の汗をかく症状をいいます。多汗症には、病気や飲んでいる薬などが原因の多汗症(続発性多汗症)と、原因がわからない多汗症(原発性多汗症)があります。また、発汗する部位によって「全身性多汗症」と「局所性多汗症」に分けられます。
多汗症の治療
続発性多汗症では、多汗の原因となっている病気の治療や薬の中止・減量が優先されます。原因を取り除かなければ、汗を抑える治療をしても十分な効果が期待できないからです。
発汗の原因が明らかでない原発性多汗症では、発汗を抑える外用薬や内服薬、症状によっては手術が選択されることもあります。医療機関では、エクロックゲル(原発性腋窩多汗症のみ)、ラピフォートワイプ(原発性腋窩多汗症のみ)、アポハイドローション(原発性手掌多汗症のみ)が保険適用で処方可能です。また、全身性の多汗症には内服薬のプロバンサインが処方されることもあります。
なお、保険適用はありませんが、全身のどの部位にも使える塩化アルミニウム溶液もよく処方されます。
多汗症の市販薬
多汗症に適応のある市販薬はそれほど多くありません。汗を抑えるローションやクリームなどは、おもに医薬部外品として取りあつかわれています。
発汗部位に直接使用するもの(塩化アルミニウムを含む製品)
汗をできるだけ抑えたいなら、医療機関でも処方される塩化アルミニウムが主成分の医薬部外品を選ぶとよいでしょう。ただ、種類が少なく、購入ルートが限られている製品もあるため、入手できない場合は医療機関でアルミニウム溶液を処方してもらうほうがよいかもしれません。
- アセニフタ(アラクス)
有効成分:塩化アルミニウム(濃度13%)
テクスチャ・タイプ:ローション
使用部位:おもに脇
- オドジェルロール(有限会社快誠堂 まるき薬局)
有効成分:塩化アルミニウム(濃度13%)
テクスチャ・タイプ:ロールオンタイプ
使用部位:粘膜以外
発汗部位に直接使用するもの(塩化アルミニウムを含まない製品)
制汗作用のあるミョウバンや塩化アルミニウムの類似成分などが配合されている制汗剤は多数販売されているため、ドラッグストアなどでも簡単に入手できます。
- デオナチュレ(シービック)
有効成分:焼ミョウバン、またはミョウバン
テクスチャ・タイプ:スティック、ストーン、クリーム、パウダー
使用部位:脇(スティック、ストーン、クリーム)、足(スティック、クリーム)、ボディ(パウダー)
- 8×4(エイトフォー)(花王)
有効成分:クロルヒドロキシアルミニウム(制汗成分)、緑茶乾留エキス(消臭成分)、β-グリチルレチン酸(殺菌成分)など
テクスチャ・タイプ:パウダースプレー、ロールオン、スプレー
使用部位:脇(パウダースプレー、ロールオン、スプレー)、足(スプレー)
飲み薬
市販の内服薬で多汗症に適応があるのは、漢方薬の防已黄耆湯を成分とする製品のみです。防已黄耆湯が向いているのは、体力が中等度以下で疲れやすく、汗をかきやすい人やむくみがちな人です。
- ツムラ漢方防已黄耆湯エキス顆粒(ツムラ)
剤型:顆粒
用法用量:1日2回食前服用(15歳以上は1回1包)
- コッコアポL錠(クラシエ)
剤型:錠剤
用法用量:1日3回食前または食間服用(15歳以上は1回4錠)
クリニックなどで自費購入できる薬剤
多汗症の治療を行っている医療機関では、院内製剤として塩化アルミニウムローションを処方することもあります。保険適用外なので自費になりますが、比較的安価で市販の医薬部外品より高い効果が期待できます。当院でも、濃度10%、20%、50%の塩化アルミニウムローションをご用意しています。
なお、海外製の医療用医薬品(塩化アルミニウム製剤)を販売しているクリニックもあるようです。海外の医療用医薬品は個人輸入で購入できる場合もありますが、自己判断で輸入・使用して健康被害が発生しても国の医薬品副作用被害救済制度が適用されません。どうしても必要な場合は、正規品を取り扱っているクリニックで購入するようにしましょう。
市販薬を多汗症に使う際の注意点
多汗症の原因が病気や薬などではないか
医師から原発性多汗症であると診断を受けている場合は、症状に応じて市販品を利用してもよいでしょう。
しかし、続発性多汗症が疑われる場合は医療機関を受診してください。原因疾患の治療や薬剤の変更で多汗の症状が改善されることもあります。
汗対策とニオイ対策を混同していないか
意外に多いのが、汗対策とニオイ対策を混同しているケースです。多汗の症状が改善されるとニオイも軽減されることがありますが、多汗症と腋臭症(ワキガ)は別の病気です。
汗を抑えてもニオイが気になる場合は、ほかの対策を検討する必要があります。
医薬部外品・市販薬と医療用医薬品は必ずしも同じものではない
医薬部外品は医薬品ではないため、医療機関で処方される医療用医薬品と同等の効果は期待できません。市販薬は「薬」ですが、医療用医薬品よりも成分量が少ない場合もありますし、適応疾患が異なる場合もあります。
したがって、医薬部外品や市販薬を選ぶ際には有効成分だけではなく、適応なども確認して正しく使用してください。
副作用に関する注意
医薬部外品を使用して肌荒れやかぶれが生じた場合、飲み薬が合わない場合などは、すぐに使用をやめて医療機関を受診し、適切な治療を受けてください。
特に医薬部外品は肌への刺激を避けるため、粘膜部位や傷・湿疹などのある部分、除毛直後の肌には使わないようにしましょう。
なお、塩化アルミニウムを含む医薬部外品は金属アレルギーを引き起こすことがあります。かぶれやすい方、金属アレルギーのある方は使用を避けるようにしてください。
こんな場合は早めに受診を……
医薬部外品や市販の飲み薬の使用で副作用が生じた場合、あるいは思うような効果が得られない場合は、医療機関を受診して適切な治療を受けてください。
続発性多汗症が疑われる場合も、医療機関の受診が必要です。多汗がきっかけで重大な病気が見つかることもあるので、「たかが汗」と侮らず、きちんと診察を受けるようにしましょう。
多汗症のオンライン診療
多汗症にオンライン診療がおすすめな理由
汗の症状に悩んでいるものの、恥ずかしさや「こんなこと、相談してもいいの?」といった戸惑いから医療機関への受診を避けている方もいらっしゃるようです。そのような方にも気軽にご利用いただけるのがオンライン診療です。オンライン診療は対面ではないので恥ずかしさがやわらぎ、ちょっとした悩みでも相談しやすいと大変好評です。オンライン診療では患部の写真を送っていただくこともありますが、多汗症であれば写真の送付は不要ですのでご安心ください。
オンライン診療対応可能
当院では、多汗症のオンライン診療に初診から対応しております。ご来院いただかなくとも診療ができ、薬剤をお送りすることも可能です(送料無料)。アプリのインストールは不要で、システム利用料も徴収しておりません。蕁麻疹でお悩みの方は、よろしければご活用ください。
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