公開日:2025年03月01日
最終更新日:2025年02月27日
起床時に顔がパンパンになっていたり、夕方になると足が重たく感じたり…。そんな「むくみ(浮腫)」の悩みを抱える方は多くいらっしゃいます。一時的なものでしたら気にしなくても良いのですが、むくみが続いてしまう場合、「水分代謝」が乱れているサインかもしれません。
本コラムでは、むくみが起こる原因やセルフケア、「漢方」がどのようにお役立ていただけるかを詳しくご紹介します。身体の水分バランスを整え、むくみをケアしていきましょう。
むくみの原因とは?
むくみとは皮膚の下にある皮下組織の部分に余分な水分が溜まっている状態のことをいいます。冷えや運動不足、姿勢の悪さ、睡眠不足、ストレス、女性ホルモンの影響、塩分の取りすぎなどによって起こると考えられています。甲状腺機能低下症や膠原病、心疾患、腎疾患といった病気によって起こる可能性もあるので、むくみが続く場合には医療機関への受診をおすすめします。
むくみを改善するセルフケアについて
むくみやすい体質を改善するために日常生活から意識していくことが大切です。ここでは日常のセルフケアについて行うべきことについてご紹介していきます。
温める

体が冷えていると、末梢血管での血液循環が悪くなり、むくみにつながります。一時的なむくみに効果的なのは体を温めること、冷やさないことです。とくに手足を冷やさないように、カイロを使う、靴下を履く、手袋をするなど、普段からのちょっとした対策を心がけましょう。
また、シャワーですませるのではなく、しっかりと湯船につかり身体を温めることが大事です。入浴剤を活用することで、より身体を温めることができます。天然の温泉や薬湯などに入ると、湯冷めしにくい経験をお持ちの方も多いと思います。入浴剤を使用することで温浴効果を高めていきましょう。
運動やストレッチを行う
足のむくみにはウォーキングや土踏まずを押したりすることで血流を良くし、身体が温まるような運動を行っていくことが大切です。スクワットは血液の循環を良くし、むくみの改善を促します。
むくみが取れやすい食物を摂る
塩分の取りすぎはむくみの原因になります。塩分摂取によるむくみは、高い塩分濃度を薄めようと体内に水分を溜め込んで滞ることから起こります。アボカドやバナナ、キュウリは塩分を体内から排出させるカリウムが豊富に含まれますので上手く取り入れていきましょう。また、利尿作用のある小豆やトウモロコシなども取り入れることで体内に滞った水分を排出させます。
漢方医学の基本とむくみの関係
漢方医学の基本的な考え方

漢方では「気・血・水」のバランスの乱れから不調を探ります。
「気」は、目に見えない身体をめぐっているエネルギーのことで機能や活力を指します。
「血」は、全身をめぐってさまざまな組織に栄養を与える血液のことです。
「水」は、血液以外の体内の液体のことを指します。水分代謝や免疫システムなどに関わっていると考えられています。
加えて、最適な漢方薬を選ぶための基準として「証(しょう)」があります。「証」とは、体力や病気への抵抗力のことです。体力があり、体力や抵抗力が充実している人を「実証(じっしょう)」、体力がなく弱々しい感じの人を「虚証(きょしょう)」といいます。
漢方医学の視点から見たむくみ
漢方医学では生体は「気・血・水」の3つの要素が体内をスムーズに循環することによって維持されると捉えます。その中でもむくみ(浮腫)と関連するのが「水」です。「水」とは生体をうるおし、冷やす無色の液体のことを指します。その「水」が滞ってしまっている状態のことを「水毒(すいどく)」と言います。
水毒の傾向にある方は、以下のような特徴があります。
- 浮腫(水腫)が多い
- 車酔い、悪酔い、嘔吐、下痢しやすい
- めまい、耳鳴り、頭痛が多い
- 冷え性である
- 症状が季節と天候で増悪する
むくみによく使われる漢方薬
体内の水の巡りをよくする利水薬には、蒼朮(ソウジュツ)、猪苓(チョレイ)、茯苓(ブクリョウ)、沢瀉(タクシャ)などの生薬があります。これらいずれかの生薬を含み、むくみの改善によく使われる漢方をご紹介します。
※太字は利水薬の生薬です。
オンライン診療対応可能
当院では、初診からオンライン診療にて漢方薬の処方を行っております。通院なしで薬剤をお送りすることが可能です(送料無料)。アプリのインストールは不要で、システム利用料も徴収しておりません。よろしければご利用ください。
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よくあるご質問
- 漢方薬はどのように服用したらいいですか?
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水もしくは白湯で服用を行いましょう。コーヒーやお茶、牛乳で服用をするとお互いの成分と反応してしまい、効果が不十分になってしまうことがありますのでご注意ください。
- 漢方薬を服用するタイミングはいつですか?
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食前もしくは食間に服用します。用量は年齢・体重・症状により適宜増減します。また万が一飲み忘れてしまった場合は気がついた時点で内服して下さい。ただし次に飲む時間が近い場合は1回飛ばして次の分から再開しましょう。
- エキス剤と煎じ薬の違いはなにですか?
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一定の条件を満たした薬液からエキスを乾燥させ、顆粒にしたものがエキス剤、生薬をお湯で煮出して服用するのが煎じ薬です。
- 漢方薬はどのような副作用がありますか?
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代表的な副作用に関しては、こちらのコラムを参照ください。
» 漢方薬による副作用の詳細はこちら
漢方を服用していて違和感がある場合は、服用をやめて処方元の医師へご相談ください。
- 生薬と漢方の違いは何ですか?
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「生薬」とは漢方を作るための原料のことで葉、茎、根などの植物や鉱物、動物のなかで薬効があるとされる部分を加工しているもののことを指します。
「漢方」は生薬を2種類以上の生薬を定められた量で作ったお薬のことを指します。
まとめ
今回は、むくみの原因や日常でむくみをケアする方法について紹介しました。漢方を活用する場合は、体質や症状に合った処方が重要ですので、医師に相談しましょう。漢方はむくみの根本改善だけでなく、全身の健康バランスを整える効果も期待できます。日常のセルフケアと併せて、自分に合った漢方を取り入れ、むくみ改善を目指しましょう。
記事制作者
木村眞樹子
東京女子医科大学卒業。循環器内科専門医、内科、睡眠科において臨床経験を積む。
東洋医学を取り入れた漢方治療にも対応。
オンライン診療に積極的に取り組む3児の母。