多汗症に効果が期待できる漢方薬一覧【皮膚科】

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今回は多汗症で使われる漢方薬についてご紹介します。

多汗症について

多汗症とは異常な量の汗をかく状態のことを指し、全身に汗をかく全身性多汗症と、手のひらや足の裏、脇、顔などの体の一部に汗をかく局所性多汗症に分けられます。原因は肥満やバセドー病、体温中枢刺激、薬剤性、精神的な理由などが挙げられ、多岐に渡ります。

一般的には西洋薬の内服や外用薬での治療となりますが、西洋薬だけでは改善できないケースには漢方薬を併用することで改善がみられる場合があります。

多汗症の漢方医学的なとらえ方

漢方医学では多汗症は気(元気、気力など目には見えないエネルギーのこと)のバランスの崩れや、体内の過剰な熱によって出現するととらえています。

そこで気を補う漢方薬(補気薬)、熱を冷ます漢方薬(清熱剤)、水の分布調整をする漢方薬(利水剤)などを使用します。

分類 処方名
補気薬
(ほきやく)
補中益気湯
清熱剤
(せいねつざい)
白虎加人参湯
利水剤
(りすいざい)
防已黄耆湯

※白虎加人参湯は多汗症の効能効果はありません。

 

漢方薬による多汗症治療と診療ガイドライン

診療ガイドラインとは、エビデンスなどに基づいて最良と考えられる治療法を提示する文書のことです。日本皮膚科学会から出されている「原発性局所多汗症診療ガイドライン 2023 年改訂版」には、多汗症に対する漢方の処方ごとの推奨度は記載されていませんでしたが、漢方薬とバイオフィードバック療法の併用により発汗頻度が減少した症例報告についての記述があります。
参考:原発性局所多汗症診療ガイドライン 2023 年改訂版

筆者らは多汗症を「神経の異常」ととらえ、自律神経を正常化させることで多汗症の症状を改善させようと以下の2つの治療を行っています。

補中益気湯
療法
補中益気湯を服用し体内の
気血水状態を整える
バイオフィード
バック療法
自律神経を自分で調整
できるように訓練する

バイオフィードバック療法についての結果は割愛しますが、補中益気湯療法により「手から汗が滴り落ちる程の重症な多汗症が(中略)、約半年でたまに発汗する程度まで改善した」と報告されており、補中益気湯療法が有効である可能性が示唆されます。
参考:「多汗症バイオフィードバック療法の基礎研究:特に手掌温度バイオフィードバックと漢方方剤の併用療法の有効性について」

多汗症治療に用いられる漢方薬

患者さまの症状や体質に合わせて使い分けられています。各漢方薬について処方解説のページでご確認下さい。

漢方名 症状 解説
補中益気湯 疲れやすく
汗がダラダラと
出てしまう場合

» 詳細

防已黄耆湯 水太り体質で
浮腫傾向がある
ような場合

» 詳細

加味逍遙散 多愁訴で発作性の
熱感、ほてりなどが
ある場合。
婦人科三大処方。

» 詳細

柴胡加竜骨牡蛎湯 興奮しやすい。
怒りっぽく
神経過敏の方

※加味逍遙散、柴胡加竜骨牡蛎湯は多汗症の効能効果はありません。

オンライン診療対応可能

当院では、初診からオンライン診療にて漢方薬の処方を行っております。通院なしで薬剤をお送りすることが可能です(送料無料)。アプリのインストールは不要で、システム利用料も徴収しておりません。よろしければご利用ください。

下記のいずれかのボタンからお申込みください。

» オンライン診療の詳細はこちら

まとめ
  • 多汗症に効能効果がある漢方には補中益気湯、防己黄耆湯がある。
  • 診療ガイドラインには推奨度の記載はないが補中益気湯療法で改善した症例報告が掲載されている。
  • その他、多汗症治療で使われている漢方薬を紹介する。
  • 当院ではオンライン診療で初診から漢方薬による多汗症の治療に対応している。
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記事制作者

小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)

「巣鴨千石皮ふ科」院長。日本皮膚科学会認定専門医。2017年、生まれ育った千石にて 「巣鴨千石皮ふ科」 を開院。
2児の母でもあり、「お肌のトラブルは何でも相談できるホームドクター」を目指しています。