エキザルベとは？

エキザルベ（一般名：混合死菌・ヒドロコルチゾン）は、抗炎症作用のあるステロイドと局所感染防御作用・肉芽形成促進作用を有する混合死菌浮遊液を配合した外用薬です。通常は、湿疹やびらん、皮膚炎群、やけど、術創などに使用されます。
ステロイド外用薬は作用の強さで5つのクラスに分けられますが、エキザルベに含まれるヒドロコルチゾンは、最も弱いウィーククラスに分類されます。細菌感染をおさえつつ、ステロイドによる抗炎症作用が期待できるため、赤ちゃんのオムツかぶれなどにもよく使用されます。
なお、「エキザルベ」という名称は、ドイツ語のEkzem（湿疹）とSalbe（軟膏）に由来します。

エキザルベの特徴

エキザルベに含まれる混合死菌浮遊液は、白血球遊走能を高めて局所感染防御作用を示し、肉芽形成促進作用により創傷の治癒を促進する成分です。この混合死菌浮遊液の作用とヒドロコルチゾンの抗炎症作用がともに働くことで、細菌感染を防ぎ、同時に炎症の鎮静および創傷の治癒を促進します。

エキザルベの効能効果・用法用量

エキザルベは、湿潤、びらん、結痂をともなうか、または二次感染を併発している以下の疾患（湿疹・皮膚炎群（進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む）、熱傷、術創）に使用されます。
また、湿疹様変化をともなう膿皮症（感染性湿疹様皮膚炎、湿疹様膿痂疹）にも適応があります。
通常、1日1～数回、適量を直接患部に塗布または塗擦するか、あるいは無菌ガーゼなどに塗り伸ばして患部に貼付します。ただし、塗布回数などは症状により適宜増減します。

エキザルベを外用する上での注意点

エキザルベを塗ってはいけない例

以下の場合はエキザルベを外用してはいけません。該当する事項がある場合は、必ずご相談ください。

• 皮膚結核、単純疱疹、水痘、帯状疱疹、種痘疹の場合（エキザルベに含まれるヒドロコルチゾンは、これらの疾患を悪化させるおそれがあります。）
• 真菌症（カンジダ症、白癬など）の場合（エキザルベに含まれるヒドロコルチゾンは、真菌症を悪化させるおそれがあります。）
• エキザルベに対して、過敏症の既往歴がある場合（重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあります。）
• 潰瘍（ベーチェット病は除く）、第2度深在性以上の熱傷・凍傷の場合（エキザルベに含まれるヒドロコルチゾンは、これらの疾患、症状の治癒を遅延させるおそれがあります。）

エキザルベの漫然使用のリスクについて

エキザルベを大量または長期間にわたり広範囲に使用すると、ステロイドを内服した場合と同様の副作用があらわれることがあります。特におむつは密封法（ODT）と同様の作用があるため、注意が必要です。
副作用を避けるためにも、エキザルベを使用する際には塗布する期間や範囲を守り、指示された方法以外での使用はしないようにしましょう。

顔や陰部、まぶたへの外用について

顔や陰部は体のほかの部分に比べて皮膚が薄く、ステロイドの吸収率が高いため、長期にわたり大量に使い続けると副作用の発生リスクが高くなります。エキザルベに含まれるヒドロコルチゾンは、ステロイドの中でも比較的作用がマイルドですが、副作用のリスクがまったくないというわけではありません。
特に、まぶたへの使用は眼圧亢進や緑内障をまねくことがあり、大量または長期にわたる広範囲の投与や密封法（ODT）によって後嚢白内障や緑内障などがあらわれたという報告もあります。
したがって、エキザルベを眼瞼に使用している最中に、これらの副作用の初期症状（頭痛や目のかすみ・痛み、まぶしさを感じるなど）があらわれた場合は、速やかに受診して適切な治療を受けてください。

副作用のニキビについて

エキザルベなどステロイド含有の外用薬を使用すると、薬を塗布した部分にニキビのような症状があらわれることがあります。また、長期連用にともない、ステロイド皮膚（皮膚の萎縮、毛細血管の拡張など）、魚鱗癬様変化、紫斑、多毛症、色素脱失などの副作用が発生するリスクもあります。
ただし、これらの症状はエキザルベによる治療が終了すれば、少しずつ元の状態へと戻ってきます。万が一、エキザルベの使用でこれらの副作用が生じた場合は、治療方針の変更なども含めて検討いたしますので、診察時にご相談ください。

日常生活における注意点

他の治療薬との併用に関して

病気の治療で内服薬を服用している場合でも、エキザルベの使用に問題はありません。ただし、他のステロイド外用薬を使用している場合は過剰投与になるおそれがあります。使い分けが必要な場合もあるため、併用薬がある場合は市販薬も含めてすべてお伝えください。

特定の患者さまへの使用に関して

妊娠中または授乳中の方、お子さま、ご高齢の方への使用に関して

医師の指導に従い、少量のエキザルベを短期間使う限りにおいては特に問題はないとされています。ただし、発育障害などの副作用のリスクがまったくないわけではありません。
したがって、大量・長期・広範囲の使用はできるだけ避けるようにしましょう。

プレドニン眼軟膏の患者負担・薬価について

エキザルベの薬価は29.8円/gです。5g（1本）処方された場合、薬剤費は149.0円になります。
なお、患者さまにご負担いただくのは保険割合に応じた金額になります。例えば、3割負担の患者さまがエキザルベを5g/1本を処方された場合、ご負担金額は44.7円です（薬剤費のみの計算です）。
なお、エキザルベにはジェネリック品がありません。薬局で希望しても変更できませんので、ご承知ください。

よくあるご質問

エキザルベと同じ成分の市販薬はありますか？

エキザルベと同じ成分の市販薬はありません。ただし、エキザルベに配合されているヒドロコルチゾンを含む市販薬は販売されています。
もっとも、市販のヒドロコルチゾン配合外用薬は、エキザルベと適応が異なります。また、混合死菌浮遊液のような肉芽形成をうながす成分は配合されていません。したがって、市販薬をエキザルベの代わりに使用するのはおすすめできません。
エキザルベが必要な場合は、受診して処方を受けてください。

エキザルベは水虫に効きますか？

エキザルベは、水虫（白癬）には効果が期待できません。
そもそも、エキザルベはカンジダ症や白癬などの真菌症に対しては禁忌とされています。これは、エキザルベに含まれるヒドロコルチゾンによって真菌症が悪化するおそれがあるためです。
したがって、水虫やカンジダにはエキザルベを使用しないでください。また、原因が明らかでない皮膚症状に対しても、自己判断でエキザルベを塗るのは避けてください。
なお、水虫やカンジダには専用の治療薬があります。お悩みの場合は診察時にご相談ください。

エキザルベはニキビに使えますか？

エキザルベは、ニキビ（尋常性ざ瘡）に適応がありません。むしろ、長期連用でニキビのような症状があらわれるおそれがあります。
そのため、自己判断でニキビに塗布するのは避けてください。
なお、ニキビについても専用の治療薬があります。気になる症状がある場合は、お気軽にご相談ください。

エキザルベを塗り忘れた場合はどうすればいいですか？

塗り忘れた場合は、気が付いたときにできるだけ早く塗布すれば大丈夫です。その際、塗る量を増やす必要はありません。通常の1回分を患部に塗ってください。ただし、次の塗る時間が近い場合は忘れた1回分は塗らず、次に塗る時間になってから塗ってください。
なお、塗る量は1回分のみです。塗り忘れ分をあわせて2回分塗る必要はありません。