赤ちゃんのアトピーでステロイドの使用が心配な方へ

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赤ちゃんのアトピー性皮膚炎でお悩みの保護者さまに朗報です!

これまでステロイド外用薬の塗り薬しか選択肢がなかった生後6ヵ月から2歳までのアトピー性皮膚炎のお子さまに、新しい選択肢(コレクチム軟膏)が増えました。

今回はコレクチム軟膏の小児用法追加について解説します。

参考:小児アトピー治療薬一覧表(年齢別)

乳幼児のアトピー性皮膚炎の課題

アトピー性皮膚炎の治療において、皮膚の炎症を抑えるはたらきがあるステロイド外用薬は重要な役割を占めています。ステロイドの吸収しやすさは体の部位によって異なるので、部位や症状に合わせてステロイドのランクを上手に使い分ける必要があります。期待した効果を発揮するには適正なランクの適正な量を、医師のアドバイスどおり塗っていただくことが重要です。

感染症が原因ではない皮膚の炎症にステロイド外用薬を塗っても良くならない場合、十分な量が塗られていなかったり、ランク(強さ)が合っていなかったりといったことが考えられます。当院でも保護者の方がステロイドの副作用を心配され、ご自身の判断で量を減らしたり、ランクを下げたりしてしまうケースをしばしば目にします。

ステロイドではないコレクチム軟膏が選択肢に加わったことで、治療の幅が広がり、保護者さまの心配も減らせるのではないかと考えています。

コレクチム軟膏の詳細はこちら

乳幼児のアトピー性皮膚炎の治療

ステロイド外用薬による治療

従来は炎症を抑えるためにステロイド外用薬を使うことが一般的でした。ステロイド外用薬は数日~数週間塗り続け、徐々に塗らない日を増やしていきます。保湿効果はないためスキンケアとして、保湿剤を塗ることは欠かせません。

コレクチム軟膏による治療

コレクチム軟膏は生後6ヶ月から使うことができ、1日2回外用します。後述する臨床試験では長期間塗っても副作用が少なく、皮膚症状の改善を期待できる結果でした。またバリア機能にも効果があると言われており、お肌がざらついているお子様にも使いやすい薬剤です。
注意点としては、塗る量が少ないと期待した効果が出にくいので、医師のアドバイス通り十分な量をしっかりと塗ってあげることが大切です。

ステロイド外用薬とコレクチム軟膏の使い分け

コレクチム軟膏が赤ちゃんに使えるようになり、治療の選択肢が増えました。
炎症を抑える効果はコレクチム軟膏よりもステロイド外用薬の方が高いため、早期に炎症を抑える必要がある場合にはステロイド外用薬は有効です。
炎症が治まってからは、コレクチム軟膏で維持していくことができます。

副作用の心配が少なく我が子に安心して塗ることができるのは、小さなお子さまを持つ保護者さまにとって大きなメリットではないでしょうか。

オンライン診療のご案内

当院は初診からのオンライン診療に対応していますので、通院なしで症状に合ったお薬をご自宅で受け取ることができます(送料無料)。アプリのインストールは不要で、システム利用料も徴収しておりません。
小さなお子さまを連れて医療機関を受診するのは本当に大変なことと思います。感染リスクに加え、混み合う待合室で泣かないかハラハラするストレスを抱えたり、お仕事を調整し通院の時間を捻出されたりされているのではないかと思います。
オンライン診療を活用することで解決できることも多いため、小さなお子さまを持つ保護者さまにご活用いただいております。ぜひ一緒にお子様に合った治療方法を見つけていきましょう。

下記のいずれかのボタンからお申込みください。

» オンライン診療の詳細はこちら

アレルギーマーチとは?

アレルギーマーチのイラスト

乳幼児期にアトピー性皮膚炎を発症した人は、成長にともなって食物アレルギーやぜん息、アレルギー性鼻炎・結膜炎(花粉症)などを発症する可能性が高いです。ほかのアレルギー疾患を次々に発症していく様子を行進になぞらえてアレルギーマーチといいます。

アトピー性皮膚炎のお子さまはかゆみに耐えられず皮膚をかきこわしてしまうためバリア機能が低下しています。その結果、皮膚の防御力は低下し食物などが皮膚から体の中に侵入しやすい状態になっています。加えて皮膚の中に炎症があるため免疫細胞は活発になっています。

このような状態で皮膚から食物などが入ってくると、異物だと認識し防御反応である「IgE抗体」をはたらかせてしまい食物アレルギーが発症しやすくなってしまうと考えられています。

近年、アレルギーマーチの発端である乳幼児期のアトピー性皮膚炎の治療を行い、皮膚のバリア機能を高めることで、アレルギーマーチの進行を抑えられることがわかってきました。お子様のアトピー性皮膚炎に合った治療方法を見つけ、早くからアレルギー体質を悪化させないことが重要だと考えています。

コレクチム軟膏のエビデンス

乳幼児に対する臨床試験(QBB4-2試験)

コレクチム軟膏の小児適応を追加するために行われた臨床試験(QBB4-2試験)についてご紹介します。対象は6ヵ月以上2歳未満の軽症~重症のアトピー性皮膚炎患者22例で、コレクチム軟膏による症状の改善度を評価しています。22例中19例がステロイド外用薬(ストロングクラス以下)からの切替です。

患者背景
月齢 例数
6ヶ月以上~12ヶ月未満 8名
12ヶ月以上~18ヶ月未満 9名
18ヶ月以上~24ヶ月未満 5名
有効性の評価

mEASIスコア(modified Eczema Area and Severity Index)は全身4つの部位に分け、皮疹の重症度・面積を掛け合わせて算出しています。スコアが下がることは症状が改善することを意味します。

タイミング mEASIスコア スコア低下率
ベースライン 10.059
塗布4週時 2.609 −73.47%
塗布28週時 1.683 −81.66%
塗布52週時 1.693 −81.86%
安全性の評価

副作用は認められませんでした。

結論

月齢24ヶ月未満の乳幼児のアトピー性皮膚炎患者さま22名に対し、ステロイド外用薬からコレクチム軟膏(1日2回)に切り替えて1年間経過をみると、重症度が8割程度改善し副作用は認められませんでした。

臨床試験に対する所感

当院でも小児のアトピー性皮膚炎の治験を行っていますが、5歳未満のお子さまの治験はかなり難しいです。治験では薬の効果を測定するために複数回の採血が必要になります。しかし乳幼児はじっとしていられませんし、血管が細くて探しづらいので採血の難易度が高くとても大変です。
治験に参加された患者さま、治験を実施された医療機関や製薬会社の方々の大変な苦労によって作られたエビデンスで承認されたことに感謝をして、当院でも活用させていただきたいと思います。

まとめ
  • コレクチム軟膏は生後6ヵ月の赤ちゃんから使えるように適用範囲が拡大した。
  • ステロイド・コレクチム・保湿剤を組み合わせて皮膚の状態を保つ。
  • オンライン診療は小さなお子さまのアトピー治療に活用されている。
  • アレルギー症状を次々発症することをアレルギーマーチという。
  • アレルギーマーチの進行を抑制するには乳幼児期のアトピー性皮膚炎の治療が重要である。
  • コレクチム軟膏の臨床試験の結果では、副作用は認められず安全性が高い。
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記事制作者

小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)

「巣鴨千石皮ふ科」院長。日本皮膚科学会認定専門医。2017年、生まれ育った千石にて 「巣鴨千石皮ふ科」 を開院。
2児の母でもあり、「お肌のトラブルは何でも相談できるホームドクター」を目指しています。