ニキビ・吹き出物に効果が期待できる漢方薬一覧【皮膚科】

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今回はニキビ治療に使用される漢方薬の使い分けについてご紹介します。

ニキビの漢方薬治療について

「皮膚は内臓を映す鏡」と言われ、身体の内面の状態を表しているといえます。漢方薬には表面に現れた皮膚症状の治療に加え、内面の根本的な原因から改善するという考え方があります。

例えば月経不順により悪化するニキビや、炎症が軽い初期の皮膚炎、慢性化した場合のニキビなど、悪化する原因や使用する時期などによっても漢方薬を使い分けていきます。また免疫力を高めて感染しにくい体質に変えていくといった漢方薬もあります。

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西洋医学と考え方が違う部分はありますが、漢方薬には1000年以上の歴史があり驚くほど症状が改善される患者さまもいらっしゃいます。当院では患者さまの症状の改善に役立つ選択肢の一つととらえており、厚生労働省が承認した健康保険が使える保険診療の漢方薬を処方しています。

漢方薬によるニキビ治療と診療ガイドライン

診療ガイドラインとは、エビデンスなどに基づいて最良と考えられる治療法を提示する文書のことです。

日本皮膚科学会から出されている「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」には漢方薬も掲載されており、薬剤ごとに推奨度が付けられています。

炎症性皮疹において漢方薬[荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)、十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)、清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)]はC1「選択肢の一つとして推奨する」とされています。これは内服の抗菌薬であるテトラサイクリンやエリスロマイシンなどと同等の推奨度です。
参考:尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023

そもそも診療ガイドラインは『皮膚科診療経験の乏しい医師に適切かつ標準的な治療法の選択基準を提示することにより、混乱を未然に防ぎ治療レベルを向上する』目的で作られていると冒頭で述べられています。

ただし医療者の経験を否定するものではないとも書かれており、診療ガイドラインに掲載されていない処方の効果がないわけではありません。

そこで診療ガイドラインに掲載されていないものの、ニキビの治療に用いられる処方についても併せてご紹介いたします。

診療ガイドラインによる漢方薬の推奨度

推奨度:C1(選択肢の一つとして推奨する)、C2(行ってもよいが推奨はしない)

漢方名 症状 炎症性皮疹
への推奨度
面皰への
推奨度
解説
十味敗毒湯 炎症反応が弱く
小膿疱が散発的
C1 C2

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荊芥連翹湯 慢性期の化膿を伴った
青年期のニキビ
C1 C1

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清上防風湯 顔面・充血性
強壮の男子
C1 記載なし

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黄連解毒湯 赤ら顔で炎症が強い
イライラ・不眠
C2 C2

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桂枝茯苓丸 月経に伴い悪化
紫がかった皮疹
C2 C2

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温経湯 冷え、乾燥
血流不足・貧血症状
C2 記載なし

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温清飲 熱感・乾燥 C2 記載なし

※十味敗毒湯、黄連解毒湯、桂枝茯苓丸、温経湯、温清飲には尋常性ざ瘡の効能効果はありません。

ニキビ治療に用いられる漢方薬(診療ガイドライン記載なし)

漢方薬によるニキビ治療では、診療ガイドラインに掲載されていない漢方が使われるケースもあります。患者さまの症状や体質などで使い分けることができ、西洋医学と組み合わせることで効果的に症状を改善できることを期待して処方されます。

漢方名 症状 解説
補中益気湯 疲れなどで免疫が下がり
肌トラブルを引き起こす場合

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桂枝茯苓丸加薏苡仁 皮疹・色素沈着・のぼせ・生理痛
月経不順・便秘・肌荒れが顕著

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当帰芍薬散 手足の冷え
肩こり・貧血

» 詳細

桃核承気湯 便秘・のぼせ
イライラ・不安感・不眠
通導散 桃核承気湯より
症状が強い場合

※補中益気湯、当帰芍薬散、桃核承気湯、通導散には尋常性ざ瘡の効能効果はありません。

オンライン診療対応可能

当院では、初診からオンライン診療にて漢方薬の処方を行っております。通院なしで薬剤をお送りすることが可能です(送料無料)。アプリのインストールは不要で、システム利用料も徴収しておりません。よろしければご利用ください。

下記のいずれかのボタンからお申込みください。

» オンライン診療の詳細はこちら

漢方薬の服用方法について

漢方薬は生薬独特の香りがするため、飲みづらいと感じる方もいらっしゃいます。その場合、2つの方法をお試しいただいています。

  • 水で流し込む方法
  • 先に口に水を含み、漢方薬を水の上に落とし一気に飲みこみます。その後、水または白湯を飲みます。

  • オブラートに包む方法
  • 味やにおいが気になる方はオブラートに包んで服用できます。オブラートは粉薬を包むだけでなく、そのまま水につけてゼリー状にしてから服用すると口の中に貼り付かず飲みやすくなります。コーヒー、緑茶、牛乳、ジュースなどでの服用はお控えください。

 

まとめ
  • 漢方薬には直接ニキビに効果がある処方と、身体の内面を改善することで症状を改善する処方がある。
  • 診療ガイドラインには漢方薬ごとの推奨度が掲載されている。
  • 推奨される漢方薬は「炎症性皮疹」:荊芥連翹湯、十味敗毒湯、清上防風湯、「面皰」:荊芥連翹湯である。
  • 診療ガイドライン未掲載で皮膚科のニキビ治療で使われている漢方薬を紹介する。
  • 当院ではオンライン診療で初診からニキビ治療の漢方薬治療に対応している。
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記事制作者

小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)

「巣鴨千石皮ふ科」院長。日本皮膚科学会認定専門医。2017年、生まれ育った千石にて 「巣鴨千石皮ふ科」 を開院。
2児の母でもあり、「お肌のトラブルは何でも相談できるホームドクター」を目指しています。