脂質が多い食べ物と少ない食べ物は?脂質の種類と一日の摂取量を解説

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脂質とは

脂質はエネルギー産生栄養素の一つ

エネルギー産生栄養素

脂質は、炭水化物やたんぱく質と同様に体に欠かせない「エネルギー産生栄養素」の一つです。食べ物から取り入れられた脂質はおもに小腸で消化され、エネルギー源として利用されるほか、細胞膜を構成する成分やさまざまなホモンの前駆体になったりします。
また、脂質には脂溶性ビタミン(ビタミンA・Ⅾ・E・K)などの吸収を助ける働きもあります。

このように、脂質は重要な栄養素ですが、使用されなかった脂質は中性脂肪として体内に蓄えられるため、過剰摂取は肥満や生活習慣病の原因となります。

健康と関係が深い脂質とその性質

脂質には多数の種類があります。
ここでは、健康と特に関係が深い「脂肪酸」と「コレステロール」について解説します。

脂肪酸

脂肪酸の分類

脂肪酸は脂肪を構成する主要な成分で、常温で固体の飽和脂肪酸と、常温で液体の不飽和脂肪酸があります。

  • 飽和脂肪酸

飽和脂肪酸は肉や乳製品などに多く含まれます。過剰に摂取するとLDL-コレステロール(悪玉コレステロール)の上昇につながるため、注意が必要です。

  • 不飽和脂肪酸

不飽和脂肪酸は、植物や魚の脂に多く含まれます。体内で作ることができない「必須脂肪酸」も含まれているため、食事から摂取する必要があります。不飽和脂肪酸には血中コレステロールを下げるなど、さまざまな作用があります。

コレステロール

コレステロールは、細胞膜やさまざまなホルモン、胆汁酸を作る材料となる脂質です。
食事から取り入れられるのは全体の2~3割程度で、残りの7~8割程度は糖や脂肪を材料にして肝臓などで作られています。生活習慣病の因子である「コレステロール」は、たんぱく質などと結合して血液中に溶け込んでいるコレステロールです。肝臓のコレステロールを体の各所に運ぶLDL-コレステロールと、血管壁に蓄積したコレステロールを肝臓に運ぶHDL-コレステロール(善玉コレステロール)のバランスが崩れ、血液中のコレステロールが過剰になると「脂質異常症」と診断されます。
なお、LDL-コレステロールは動物性脂質に多く含まれています。一方、魚油に含まれるDHA・EPAにはHDL-コレステロールを増やす作用があります。

一日あたりの脂質の摂取基準

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、脂質および飽和脂肪酸・n-3系脂肪酸・n-6系脂肪酸の食事からの摂取量の目標量は以下のとおりです。

n-9系脂肪酸(一価不飽和脂肪酸)とコレステロールについては目標量が定められていませんが、過剰摂取は避けるべきでしょう。

年齢・性別ごとの脂質摂取基準

年齢 脂質 飽和脂肪酸 n-3系脂肪酸
男性・女性
n-6系脂肪酸
男性・女性
18~29歳 20~30% 7%以下 2.2g・1.7g 12g・9g
30~49歳 20~30% 7%以下 2.2g・1.7g 11g・9g
50~64歳 20~30% 7%以下 2.3g・1.9g 11g・9g
65~74歳 20~30% 7%以下 2.3g・2.0g 10g・9g
75歳以上 20~30% 7%以下 2.3g・2.0g 9g・8g

脂質・飽和脂肪酸については、1日に摂取するエネルギー量に占める割合(%)
n-3系脂肪酸・n-6系脂肪酸については、1日に摂取する量(g)

脂質を多く含む食べ物

飽和脂肪酸を多く含む食べ物

飽和脂肪酸

飽和脂肪酸を多く含むのは、ラードやバター、牛脂などの動物性油脂です。パーム油やココナッツ油は植物性ですが、飽和脂肪酸が多く含まれています。

肉類にも飽和脂肪酸がたくさん含まれています。特に脂身の部分は要注意です。ひき肉やベーコンなどの加工品にも脂質が多く含まれています。乳製品も飽和脂肪酸を多く含んでいます。生クリームやチーズなどの加工品は、原料である牛乳よりも飽和脂肪酸の割合が多い傾向があります。

不飽和脂肪酸を多く含む食べ物

不飽和脂肪酸

不飽和脂肪酸は植物や魚の油に多く含まれ、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられます。
n-9系脂肪酸(オメガ9)は一価不飽和脂肪酸で、オリーブオイルやなたね油などに含まれ、体内でも合成されます。多価不飽和脂肪酸は、n-3系(オメガ3)とn-6系(オメガ6)に分けられます。n-3系脂肪酸でよく知られているのは、魚油に含まれているEPA・DHAなどです。n-6系脂肪酸はリノール酸などのことで、ゴマ油やサフラワー油などに含まれています。n-3系脂肪酸・n-6系脂肪酸は、体内で合成できない、あるいは合成できても必要量を満たせないため、食べ物から摂取しなければなりません。

n-3系脂肪酸(オメガ3)

n-3系脂肪酸は、エゴマ油やなたね油、アマニ油といった植物由来の油や魚油などに多く含まれています。
特に、マグロやサバ、イワシ、サンマなどの青魚にはn-3系脂肪酸のDHA・EPAが豊富に含まれています。

なお、n-3系脂肪酸は熱に弱いため、エゴマ油などはドレッシングなどにして加熱せず摂取するのがおすすめです。

n-6系脂肪酸(オメガ6)

n-6系脂肪酸は、ひまわり油やサフラワー油、ごま油、大豆油、トウモロコシ油などに含まれています。

n-6系脂肪酸はn-3系脂肪酸に比べて熱に強いため、炒め物や揚げ物にも使えます。

n-9系脂肪酸(オメガ9)

一価不飽和脂肪酸は、オリーブオイルやなたね油などの植物由来の油や、マカダミアナッツ、アーモンド、ピスタチオなどのナッツ類に多く含まれています。

ラードや牛脂などの動物性の油にも多く含まれていますが、これらは飽和脂肪酸も多く含むため、摂取量に注意が必要です。

コレステロールを多く含む食べ物

コレステロールは、牛乳・バター・クリームなどの乳製品、鶏卵や魚卵などの卵類、レバーなどの内臓類に多く含まれます。乳成分を含む菓子類にも、コレステロールが多く含まれています。コレステロール含有量の多い動物性食品は飽和脂肪酸の量も多い傾向があるため、摂り過ぎないよう注意しなければいけません。

脂質の量が少ない食べ物

脂質が少ない食べ物

肉類で脂質の量が少ないのは、鶏のささ身や胸肉(皮なし)、豚モモ肉の赤身部分などです。牛肉は全般的に脂質の量が多めです。

魚類で脂質の量が少ないのは、タラなどの白身魚です。ただ、魚に含まれる不飽和脂肪酸にはHDL-コレステロールを増やす作用があるため、あまり気にしなくてよいでしょう。

主食となるご飯や麺類には、脂質はあまり含まれていません。ただ、パンについては材料にバターなどを使用するため、脂質が若干多くなります。いずれにせよ、ご飯や麺類、パン類は糖質を多く含むため、過剰摂取にならないよう注意が必要です。

ちなみに、海藻類やキノコ類、野菜類は脂質をほとんど含んでいません。大豆や落花生などの豆類は脂質の量が多めですが、多価不飽和脂肪酸を多く含むため、適量であれば問題ありません。

脂質を多く含む飲み物

ココアは脂質を多く含む飲み物です。牛乳などの乳製品にも脂質が比較的多く含まれています。コーヒーや紅茶などを飲む場合でも、牛乳や生クリーム、クリーミングパウダーなどを追加すると脂質の量が多くなります。豆乳も脂質の量が多めですが、豆乳には飽和脂肪酸がほとんど含まれていません。そのため、脂質の摂り過ぎが気になる場合は乳製品のかわりに豆乳を選ぶとよいでしょう。

脂質が多い食べ物が気になる方のオンライン診療

LDL-コレステロールや中性脂肪などの値が高いと、脂質が多い食べ物が気になるものです。

しかし、脂質は体にとって必要な栄養素の一つなので、極端に制限するとかえって体調を崩してしまいます。
また、血清脂質をコントロールするためには、日々の食事内容を改善するだけではなく、運動習慣を身に付けることも大切です。医師による定期的なフォローアップも必要です。

とはいえ、仕事などが忙しく、定期受診が難しいという方もいらっしゃることでしょう。
そのような場合におすすめなのが、オンライン診療です。

オンライン診療なら通院の手間がなく、職場や自宅などお好きな場所で診察を受けられます。
病気のことはもちろん、食事内容や運動に関するサポートも継続的に受けることができます。

脂質異常症(高脂血症)は、自覚症状が乏しいものの放置すると心筋梗塞や脳梗塞などの生命・身体に関わる病気につながることもあります。
健康診断などで血清脂質値の異常を指摘されている場合は、この機会にオンライン診療をご利用ください。

下記のいずれかのボタンからお申込みください。

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脂質異常症(高脂血症)の処方薬一覧
分類 商品名 一般名
スタチン
HMG-CoA
還元酵素
阻害薬
メバロチン プラバスタチン
リピトール アトルバスタチン
リポバス シンバスタチン
ローコール フルバスタチン
リバロ ピタバスタチン
クレストール ロスバスタチン
陰イオン
交換樹脂
(レジン)
コレバイン コレスチミド
フィブラート
系薬剤
ベザトール ベザフィブラート
リピディル
トライコア
フェノフィブラート
パルモディア ペマフィブラート
小腸
コレステロール
トランスポーター
阻害薬
ゼチーア エゼチミブ
ニコチン酸
系薬
ユベラN ニコチン酸
トコフェロール
多価不飽和
脂肪酸
エパデール イコサペント酸
エチル
ロトリガ オメガ-3
脂肪酸エチル

 

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記事制作者

木村眞樹子

東京女子医科大学卒業。循環器内科専門医内科、睡眠科において臨床経験を積む。
東洋医学を取り入れた漢方治療にも対応。
オンライン診療に積極的に取り組む3児の母。