ダイエットで高血圧が改善できる?知っておきたい肥満と血圧の関係

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若い世代に増えている「肥満をともなう高血圧」

高血圧とは、その名の通り「血圧が高い状態」のことです。
『高血圧治療ガイドライン2019』では、診察室で測定された上の血圧が140mmHg以上、または下の血圧が90mmHg以上の場合を「高血圧」としています。
日本人の高血圧は肥満をともなわない場合が多いとされていますが、近年は若年~中年世代の男性を中心に肥満をともなう高血圧が増えてきています。
肥満、特に内臓脂肪が増えるタイプの肥満をともなう高血圧では、将来的に血清脂質や血糖、尿酸、肝機能などにも悪影響がおよぶことが多く、メタボリックシンドロームに進行するリスクも高いため、積極的に減量に取り組むことが必要です。

高血圧の予防・改善にダイエットが重要な理由

肥満で血圧が高くなる仕組み

肥満の方は過食傾向があるため、塩分(ナトリウム)の摂取量も多くなりがちです。塩分の摂り過ぎは高血圧の原因の一つです。
また、肥満になるとインスリン(血糖をコントロールするホルモン)が過剰に分泌されます。インスリンには腎臓におけるナトリウムの再吸収を亢進する作用があるため、こちらも血圧上昇の原因になります。
さらに、インスリンの影響で交感神経が刺激されると末梢血管を収縮させる物質が血液中に放出されるため、血圧が上昇しやすくなります。
さらに、肥大した脂肪細胞から分泌される生理活性物質にも血管を収縮させる働きがあるため、血圧の上昇をまねきやすくなります。

体重が増え過ぎると高血圧の発症リスクが1.5倍以上に!

肥満と高血圧の発症頻度に相関があることは、国内外の多数の研究で明らかにされています。
実際、BMI(体格を表す指標:(体重[kg]/身長[m]2で算出される)が20未満の場合の高血圧発症リスクを「1」とした場合、BMIが25.0~29.9になるとそのリスクが1.5~2.5倍になると推定されています。
特に「BMI値が高いこと」「経時的に体重が増えていること」は、高血圧の発症に強く関係することがわかっています。

ダイエットの要否はBMIとウエスト周囲長で判断

高血圧などのリスクが低い「標準体重」と、肥満と診断されるBMI値

肥満度の判定にはBMI(Body Mass Index)=[体重(kg)]÷[身長(m)2]が用いられます。
標準体重(理想体重)は、肥満と関係が深い糖尿病や高血圧、脂質異常症(高脂血症)になるリスクが最も低いとされるBMI=22.0を基準として、[標準体重(kg)=身長(m)2×22]で計算できます。
一方、肥満と診断されるのはBMI値が25.0以上の場合です。

身長 標準体重
(BMI=22.0)
肥満
(BMI≦25.0)
参考:普通体重
(18.5≦ BMI<25.0)
150cm 49.5kg 約56.3kg以上 約41.6kg~約56.3kg
155cm 約52.9kg 約60.1kg以上 約44.4kg~約60.1kg
160cm 約56.3kg 64.0kg以上 約47.4kg~64.0kg
165cm 約59.9kg 約68.1kg以上 約50.4kg~約68.1kg
170cm 約63.6kg 約72.3kg以上 約53.5kg~約72.3kg
175cm 約67.4kg 約76.6kg以上 約56.7kg~約76.6kg
180cm 約71.3kg 81.0kg以上 約59.9kg~81.0kg
185cm 約75.3kg 約85.6kg以上 約63.3kg~約85.6kg

 

BMIと同じくらい重要な「ウエスト周囲長」

肥満のイラスト

BMIは身長と体重から算出する数値なので、筋肉の多い人は高めに、脂肪の多い人は低めになる傾向があります。
そのため、BMIの値だけでダイエットの要否を判断するのは適切ではありません。
また、高血圧や糖尿病などの発症リスクが高いのは、腹まわりに脂肪がつく「内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)」ですが、BMIを見ただけでは内臓脂肪型肥満かどうかはわかりません。
そこで有用なのが「ウエスト周囲長(腹囲)」です。
内臓脂肪の断面積が100cm2を超えると高血圧などの合併リスクが高くなることが明らかになっていますが、これをウエスト周囲長に換算すると、男性は85cm以上、女性は90cm以上になります。
したがって、ダイエットが必要かどうかは、BMI値とウエスト周囲長の両方を用いて判断します。

ダイエットで高血圧を改善するなら「食事」と「運動」のバランスが大切

体重を減らして高血圧の予防・改善を目指すなら、エネルギーの摂取(食事)と消費(運動)のバランスを見直す必要がありますが、無理なダイエットは長続きしません。
また、短期間で一気に体重を減らそうとすると、心身に不調が生じるおそれがあります。今の体重を3%減らすだけでも有意な降圧効果が得られるので、3~6ヵ月ほどかけてゆっくりと体重を減らしていきましょう。

現在の体重 3%に相当する体重
100kg 3kg
90kg 2.7kg
80kg 2.4kg
70kg 2.1kg
60kg 1.8kg

食事のポイント

規則正しく食事をとる

食事を食べないときがあったり、食事の時間が不規則だったりすると、空腹感から過食をまねき、ダイエットに失敗しやすくなります。できるだけ1日3回同じ時間に食事をとり、夕食は寝る2~3時間前に済ませるようにしましょう。
夜勤などがある場合は、勤務前に小さなおにぎりを食べ、勤務後は野菜を中心としたメニューをとるようにしてください。仕事などの都合で夕食の時間が遅くなる場合は、夕方におにぎりなどの軽食をとる「分食」がおすすめです。

栄養バランスの良い食事を心がける

主食を抜くダイエットやこんにゃくなど単品だけを食べるダイエットは、長続きしないうえに栄養不足で体調不良をまねきやすくなります。
主食・主菜(たんぱく質をメインとしたもの)・副菜(野菜やきのこ類など)を毎食取り入れ、栄養バランスの良い食事を心がけると、健康を維持しながら減量につなげることができます。
なお、脂質や糖質の摂り過ぎには注意してください。
脂質はエネルギー量が多いため、油分を多く使う揚げ物や炒め物はできるだけ控えましょう。
糖質は菓子類やジュース類、果物などに多く含まれます。
果物については、1日の摂取量を80kcal程度にとどめてください。

食習慣の見直しも必要

食習慣の見直しが減量につながることもあります。特に以下の点に注意すると、ダイエットが進みやすくなります。

  • ゆっくりよく噛んで食べる。
    →満腹感で過食を防ぐことができる。
  • 野菜から食べ始める。
    →満腹感を得やすくなる。糖質や脂質の吸収が抑えられる。
  • 料理は一人前ずつ盛り付ける。
    →食べた量を把握できる。大皿より過食になりにくい。
  • ながら食いをやめる。
    →無意識のうちに食べ過ぎてしまうことがある。
  • 間食を減らす。
    →どうしても食べたいときは、朝食後・昼食後のデザートとして食べる。

運動のポイント

消費エネルギー>摂取エネルギーを目指す

消費エネルギー量(運動量)が少ないと、摂取エネルギー量(食事量)を減らしても十分なダイエット効果が得られません。
運動を継続的に行い、消費エネルギー量が摂取エネルギー量を上回るようにしましょう。
適度な運動をすると、運動直後から血圧が約4~5mmHg低下し、その効果は22時間ほど持続します。
定期的に運動をすると血圧降下作用が持続するため、減量と血圧降下を同時に目指すことができます。

おすすめは有酸素運動

肥満の解消におすすめなのは、早歩きやジョギング、水泳、エアロビクスなどの有酸素運動です。
有酸素運動をすると、脂肪の減少効果だけではなく筋肉量を増やす効果も期待できるため、代謝の良い太りにくい体つくりにも役立ちます。

「こまめに動く」「ながら運動をする」のも有効

時間をとって運動するのが難しい場合は、こまめに動いて消費エネルギー量を増やすようにしましょう。
「テレビを見ながら足踏みをする」
「家事をしながらストレッチをする」
などの「ながら運動」もおすすめです。
ちょっとした工夫で運動量は増やせるので、無理のない範囲で取り組んでみてください。

運動量を増やす方法(例)
  • バス・電車内では座らない。
  • バス・電車を一駅前で降りて、
    目的地まで歩く。
  • 昼休みに少し遠くの
    コンビニや飲食店まで行く。
  • エレベーターやエスカレーターを使わない。
  • 車ではなく自転車や徒歩で移動する。
  • テレビを見ながら足踏みをする。
  • 家事の合間に
    かかとの上げ下ろしをする。
  • 掃除の回数を増やす。
  • 掃除機を使わずに
    ホウキや雑巾で掃除をする。

など

ダイエットと血圧コントロールを同時にかなえたい方のオンライン診療

血圧を下げるためにダイエットすることは、とても重要なことです。
しかし、間違った方法でダイエットをすると、体調を崩したりリバウンドでかえって体重が増えたりすることもあります。
健康を維持しながら体重と血圧をうまくコントロールするためにも、医師のサポートを継続して受けることはとても大切です。
その点、オンライン診療は通院の負担がなく、忙しい方でも継続して受診できます。すでに薬物療法を始めている方でも、ダイエットをして適性体重を維持することはとても大切ですので、体重や血圧に関して悩みがある場合はお気軽にご相談ください。

下記のいずれかのボタンからお申込みください。

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高血圧の処方薬一覧
分類 商品名 一般名
カルシウム
拮抗薬
ノルバスク
アムロジン
アムロジピン
アテレック シルニジピン
アダラート ニフェジピン
カルブロック アゼルニジピン
ACE阻害薬 レニベース エナラプリル
ARB ニューロタン ロサルタン
ブロプレス カンデサルタン
ディオバン バルサルタン
オルメテック オルメサルタン
ミカルディス テルミサルタン
アジルバ アジルサルタン
ARNI エンレスト サクビトリル
MRA セララ エプレレノン
ミネブロ スピロノラクトン
α遮断薬 カルデナリン ドキサゾシン
β遮断薬 インデラル プロプラノロール
メインテート ビソプロロール
アーチスト カルベジロール
利尿薬 フルイトラン トリクロロメチアジド
アルダクトン スピロノラクトン
ラシックス フロセミド
ナトリックス インダパミド
ダイアート アゾセミド

 

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記事制作者

小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)

「巣鴨千石皮ふ科」院長。日本皮膚科学会認定専門医。2017年、生まれ育った千石にて 「巣鴨千石皮ふ科」 を開院。
2児の母でもあり、「お肌のトラブルは何でも相談できるホームドクター」を目指しています。