血圧を下げるのに即効性のある方法は?食べ物についても解説

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血圧を下げる方法について

高血圧のイラスト

血圧を下げる方法にはどんなものがあるでしょうか?
「深呼吸をする」「リラックスする」などは一時的に多少血圧を下げる可能性がありますが根本的な解決策ではありません。非常に血圧が高く、腎臓や脳、心臓などの臓器に異常をきたしている場合は、早期に血圧を下げる必要があるため比較的即効性のある降圧剤を使用することもあります。

高血圧の処方薬一覧
分類 商品名 一般名
カルシウム
拮抗薬
ノルバスク
アムロジン
アムロジピン
アテレック シルニジピン
アダラート ニフェジピン
カルブロック アゼルニジピン
ACE阻害薬 レニベース エナラプリル
ARB ニューロタン ロサルタン
ブロプレス カンデサルタン
ディオバン バルサルタン
オルメテック オルメサルタン
ミカルディス テルミサルタン
アジルバ アジルサルタン
ARNI エンレスト サクビトリル
MRA セララ エプレレノン
ミネブロ スピロノラクトン
α遮断薬 カルデナリン ドキサゾシン
β遮断薬 インデラル プロプラノロール
メインテート ビソプロロール
アーチスト カルベジロール
利尿薬 フルイトラン トリクロロメチアジド
アルダクトン スピロノラクトン
ラシックス フロセミド
ナトリックス インダパミド
ダイアート アゾセミド

 
高血圧や正常高値血圧、高値血圧をすぐに正常血圧に戻す即効性のある方法は基本的にありません。そもそも、急激な血圧低下は脳梗塞の発症リスクを高めることや、めまいやだるさを感じるおそれがありあまり好ましくありません。
高血圧に対し薬物治療を始める場合、急激な降圧は行わず、全身状態や副作用の発現状況などを注意深く見ながら、処方量や処方薬の内容を調節していきます。

血圧を下げるにはどうすればいい?

できれば薬に頼らずにできるだけ体に負担をかけないで血圧を下げたいと考える方も多いのではないでしょうか?『高血圧治療ガイドライン2019』では、生活習慣の修正で降圧効果や高血圧の予防が期待できるとしています。降圧薬を服用している場合でも、生活習慣を修正すれば降圧効果が高まり、薬の量を減らせる場合もあります。
『高血圧治療ガイドライン2019』がすすめる生活習慣の修正項目は、以下の6点です。

塩分を減らす

日本人の高血圧は塩分摂取量と関係が深く、『高血圧治療ガイドライン2019』では食塩の摂取量を1日6g未満にすることをすすめています。
海外の臨床試験では、1週間の減塩で血圧が有意に低下したことが報告されているため、比較的降圧効果があらわれやすい方法といえるでしょう。
普段の食事で塩分摂取量を減らしたい場合は、以下のことを意識してみてください。

  • 漬け物は控える:少量の自家製浅漬け
  • 麺類の汁は残す:全部残せば2~3gの減塩
  • 新鮮な食材を用いる:食材の持ち味で薄味の調理
  • 具だくさんのみそ汁にする:同じ味付けでも減塩
  • むやみに調味料を使わない:味付けを確かめてから使う
  • 低ナトリウムの調味料:
    酢・ケチャップ・マヨネーズ・ドレッシングを活用
  • 香辛料、香味野菜や果物の酸味を利用:
    こしょう・七味・しょうが・かんきつ類
  • 外食や加工食品を控える:
    目に見えない食塩が多く含まれている。塩干物にも注意

引用)「特定保健指導の対象とならない非肥満の心血管疾患危険因子保有者に対する生活習慣改善指導ガイドライン」表2

食事内容の見直し

カリウムと血圧の関係

ナトリウム排出のイラスト

野菜や果物に含まれるカリウムには、ナトリウム(塩分)の排出を促す作用があるため、野菜や果物を多く摂ることで血圧を下げる効果が期待できます。厚生労働省が推奨する目標値は、男性で3,000mg/日以上、女性で2,600mg/日以上とされています。(2020年版日本人の食事摂取基準)
しかし、日本人のカリウム摂取量は、平均で男性が1日あたり2,439mg、女性が2,273mgと報告されており、目標値に不足しているため、野菜や果物をより積極的に摂るように推奨されています。(※腎臓に障害のある方や糖尿病治療などの方は主治医の指示に従ってください。)(2019年版国民健康・栄養調査)

ナトカリ比

最近話題の「ナトカリ比」(Na/K比)は、食事で摂るナトリウムとカリウムのバランスを示す指標です。カリウム摂取量は血圧との関連が強いので、ナトカリ比を低くすることが高血圧の予防に有効です。2024年10月8日に日本高血圧学会から尿ナトカリ比の管理目標値が発表されました。

  • 至適目標:2未満
  • 実現可能目標:4未満

これらの目標値を目指すために具体的なアクションにつながるツールを二つご紹介します。

カリ活カード

カリ活カード

1枚のカードにはカリウム300mgに相当する食材が載っています。毎日の食事にカードの食材を追加することで不足分のカリウムを補うことができます。ゲーム感覚で楽しみながらカリウム摂取量を意識できます。

NHK「高血圧」のトリセツより「カリ活カード」

ナトカリマップ

ナトカリマップ

厚生労働省ナトカリ手帳より引用
縦軸はナトリウム量、横軸はカリウム量を示し、1食分の含量でマッピングしています。食べ物を選ぶ際に、左上の赤いエリアではなく、右下の緑色のエリアから選ぶなど、ナトカリ比を視覚的に把握することができます。
※食事の内容を変更する際は、必ず主治医と相談してください。また、肥満や糖尿病などがあって医師からエネルギー制限を指示されている場合は、1日当たりの果物の摂取量を80kcal程度にとどめるようにしてください。

食事パターン

血圧に影響を与える食事パターンをご紹介します。いずれも減塩と組み合わせることで、より血圧管理に有効な食事となります。

食事パターン 内容
DASH食 野菜、果物、低脂肪乳製品が豊富で
飽和脂肪酸とコレステロールが
少ない食事
地中海食
ノルディック食
オリーブオイルや多価不飽和
脂肪酸が豊富な食事
伝統的な日本食 魚介類、穀物、野菜、果物、豆
などが豊富で、肉類を控える食事

適性体重を維持する

『高血圧治療ガイドライン2019』では、適性体重の維持としてBMI(体格を表す指標:(体重[kg]/身長[m]2で算出される)25未満を維持することを推奨しています。肥満と高血圧の発症リスクに相関があることは、多数の臨床試験で証明されています。特にBMI値が高いことや体重の経時的な増加は、高血圧の発症につながる危険因子です。
一方、体重を1.0kg減らすと、上の血圧は約1.1mmHg、下の血圧は約0.9mmHg低下すると推定されています。日本人の肥満者を対象とした臨床試験でも、3%以上の減量で有意な降圧が見られることが示されているため、太り過ぎないこと・適正な体重を維持することはとても大切です。

適度な運動をする

継続的に適度な運動をすることも、血圧の上昇を抑えるのには有効です。
適度な運動をすると、その直後から血圧が約4~5mmHg低下し、その降圧効果は22時間ほど持続するとされています。
そのため、運動は定期的に取り組むのがおすすめです。
『高血圧治療ガイドライン2019』では、軽い有酸素運動(早歩きやジョギングなど)を毎日30分、または週に180分以上行うことをすすめています。

アルコールを控える

飲酒習慣も、血圧を上昇させる原因の一つです。
アルコールの単回摂取は数時間血圧を低下させますが、長期間飲酒を続けると血圧は上昇に転じます。
一方、飲酒量の制限に関する研究では、1~2週間と比較的短期間で降圧効果が認められています。
『高血圧治療ガイドライン2019』では生活習慣の修正項目として節酒も挙げており、1日のアルコール量は男性で20~30mL(日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本、焼酎なら半合、ウィスキー・ブランデーならダブルで1杯、ワインならグラス2杯が目安)/日以下、女性は10~20mL/日以下に制限するようすすめています。

禁煙する

血圧を下げたいなら、禁煙にも取り組む必要があります。
タバコを1本喫煙すると、血圧の上昇が15分以上続くことが示されています。
また、海外の追跡調査では、喫煙者や喫煙歴のある人は、非喫煙者に比べて高血圧を発症しやすいということが明らかになっています。
喫煙の影響は周囲にも及ぶ可能性が指摘されており、受動喫煙者は1日中血圧が高く、家庭における受動喫煙で高血圧の有病率が高くなるという報告もあります。
したがって、血圧を下げるためには、禁煙するだけではなく受動喫煙も避ける必要があります。

血圧はどれくらいなら「正常」なのか

正常血圧は120mmHg未満かつ80mmHg未満

『高血圧治療ガイドライン2019』では、診察室で測定された上の血圧が120mmHg未満、かつ下の血圧が80mmHg未満の場合を「正常血圧」としています。
高血圧と診断されるのは、上の血圧が140mmHg以上、下の血圧が90mmHg以上の場合ですが、高血圧には至らない高めの血圧は「正常高値血圧」「高値血圧」として正常血圧とは別の分類になっています。

分類 診察室で測定した血圧
(mmHg)
家庭で測定した血圧
(mmHg)
収縮期血圧    拡張期血圧 収縮期血圧    拡張期血圧
正常血圧 120未満  かつ  80未満 115未満  かつ  75未満
正常高値血圧 120-129  かつ  80未満 115-124  かつ  75未満
高値血圧 130-139 かつ/または 80-89 125-134 かつ/または 75-84
高血圧 140以上 かつ/または 90以上 135以上 かつ/または 85以上

 

「正常高値血圧」「高値血圧」は将来高血圧になるリスクが高い

ガイドラインが少し高めの血圧を「正常高値血圧」「高値血圧」としたのには、理由があります。
それは、「正常高値血圧・高値血圧は正常血圧に比べて脳心血管病の発症率が高いこと」そして、「正常高値血圧・高値血圧の人は生涯のうちに高血圧になる確率が高いこと」が明らかになっているためです。
このようなことから、正常高値血圧・高値血圧は「高血圧というほどではないものの、放置してはいけない状態」といえます。

血圧をできるだけ早く下げたい方のオンライン診療

血圧をすぐに下げる方法はありませんが、生活習慣の修正や薬物治療を適切に継続すれば血圧を下げることができます。
長期的な取り組みが必要な降圧療法には、オンライン診療がおすすめです。オンライン診療なら自宅など好きな場所で診察を受けられるため、通院のストレスがありません。転居しても継続的な治療を受けられるため、勤務先の都合で異動が多い方にもおすすめです。当院ではアプリのインストールは不要で、システム利用料も徴収しておりません。
当院のオンライン診療では、生活習慣の修正に関するアドバイスも行っております。いくつかの生活習慣の修正を組み合わせることでより良い降圧効果が得られることもありますので、高めの血圧が気になる方はぜひご相談ください。

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記事制作者

木村眞樹子

東京女子医科大学卒業。循環器内科専門医内科、睡眠科において臨床経験を積む。
東洋医学を取り入れた漢方治療にも対応。
オンライン診療に積極的に取り組む3児の母。