最終更新日:2025年01月09日
血糖値とは?
血糖値と糖尿病の関係
「血糖値」とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことです。ブドウ糖は食べ物から供給され、体内のエネルギー源として利用されます。糖の代謝をコントロールし、血糖値を一定に保っているのが「インスリン」というホルモンです。インスリンがうまく作用せず、血糖値の高い状態(高血糖)が続くと「糖尿病」と診断されます。
糖尿病が強く疑われるのは、以下の場合です。
- 空腹時の血糖値が126mg/dL以上の場合
- ブドウ糖負荷試験の2時間値が200mg/dL以上の場合
- 食後の血糖値(随時血糖)が200mg/dL以上の場合
- HbA1cが6.5%以上の場合
血糖値が高くなると体にさまざまな悪影響が……
血糖値の高い状態が続くと血管の内側が傷害され、動脈硬化などを発症するリスクが高くなることは多くの方が耳にしたことがあるかもしれません。動脈硬化が進むと、脳梗塞や脳卒中といった脳血管疾患、狭心症や心筋梗塞といった心臓病の引き金となるのです。
また、糖尿病の「3大合併症」と呼ばれる
- 糖尿病網膜症
- 糖尿病性腎症
- 糖尿病神経障害
を引き起こすことも多く注意が必要です。
糖尿病網膜症
進行すると失明に至ることもあるため、糖尿病で治療中の方は定期的に眼科で定期検査を行うことが好ましいといえます。
糖尿病性腎症
現在、透析導入の原因として1位といわれており、糖尿病のコントロールが悪い状態が続くと透析や腎移植が必要になる場合も少なくありません。
糖尿病神経障害
手足の感覚異常があらわれ、熱さや痛みに鈍感なります。電気ストーブにあたっているうちに気づかないうちに低温やけどをしてしまう、気づかないうちに靴ずれをした状態から壊疽(血行が悪くなり、組織が死んでしまう病気)となり、で足の切断が必要になったりする場合もみられます。
高齢の糖尿病のある方の場合
これらの血管に関連する病気のほか
- 認知症
- サルコぺニア
- 心不全
- 悪性腫瘍
などの併存症になりやすいといわれています。
また、歯周病や感染症のリスクも高くなるなど、糖尿病に罹患することで全身のさまざまな病気のリスクになるといえるのです。
血糖コントロールの基本は「食事」
現在血糖値が高めでも、あるいは糖尿病と診断されていても、血糖値を適切な範囲で維持すれば合併症を発症するリスクは抑えられます。そのために特に重要なのが食事の見直しです。血糖値が乱高下しないような食事の内容、摂り方を心がけるようにしてください。カロリーを摂りすぎないことも大切ですが、それほどカロリーが高くない食事でも、糖として吸収されやすい炭水化物の量が多いメニューだと血糖値は一気に高くなります。
一方、野菜を摂ることで血糖値の上昇が緩やかになるため、手軽に買うことのできる惣菜などを上手に利用すれば血糖値のコントロールにつなげることができます。血糖値をコントロールする上では麺類や丼ものといった一品料理でなく、定食などバランスのよいメニューが好ましいのです。
また、決まった時間に食事を摂る、ドカ食いをしない、間食を習慣にしない、食べる順番を工夫する、糖尿病の発症を抑えるとされる飲み物・食べ物を摂取することなども、血糖コントロールには有効です。将来の健康のためにも、血糖値が気になり始めたら早めに食生活の改善に取り組みましょう。
糖尿病の発症を抑える効果が期待できる飲み物・食べ物
飲み物:コーヒー・ココア・茶類など
嗜好飲料のなかで、糖尿病の発症リスクを減少させる効果が認められているのは、コーヒー、ココア製品、緑茶などです。
コーヒーについては、カフェイン含有量に関係なく発症リスクを低減させる効果が認められています。
また、水を積極的に摂取することも糖尿病の発症リスク低減につながることが明らかになっています。
食べ物:植物由来の食品など
糖尿病の発症リスクを抑える食品としては、全粒穀物(全粒粉のパンなど)や玄米などが知られています。その他、大豆や乳製品(特にヨーグルト)、植物由来の食品を中心とした食事なども糖尿病の発症抑制に効果的だとされています。とはいえ、栄養に偏りがあるのはよくありません。糖尿病を予防するためには、野菜や乳製品、魚や豆類などの食品をバランスよく摂取する必要があります。
注意点
ショ糖や果糖、ブドウ糖などを添加した甘みの強いジュース類は、糖尿病の発症リスクを高めることがわかっています。また、人工甘味料(サッカリンやアスパルテームなど)は、腸内細菌のバランスを乱して糖尿病の発症リスクを高める可能性があるとされています。したがって、糖分を多く含む嗜好飲料や人工的に甘みが付けられている加工食品などを習慣的に摂取するのは避けるべきでしょう。糖尿病発症リスクを抑えるコーヒーやココアなどについても、無糖のものを選ぶようにしてください。
また、適切な量の果物はそのまま食べると糖尿病の発症予防につながるといわれますが、加糖された野菜ジュースは糖尿病のリスクを高めるといわれています。
血糖コントロールに良いとされる食品
おすすめは食物繊維を含む食品
食物繊維には、糖や脂質などを体外に排出する働きがあります。
糖尿病に対する食物繊維の影響を解析した研究では、3~12週間食物繊維を多めに摂取すると、HbA1cと空腹時の血糖値が有意に低下することが示されています。しかしながら、食物繊維の摂取量は多くの日本人で不足気味です。血糖値をコントロールして合併症を防ぐためにも、まずは1日当たり+3~4gを目標にするとよいでしょう。
おすすめは、1日のうち1回の主食を玄米や全粒粉パンなどに置き換える方法です。食物繊維は、豆類、野菜類、きのこ類などにも多く含まれるので、これらの食材も意識して摂るようにしましょう。
約1食分に含まれる食物繊維の量
食品名 | 1食分の量(重さ) | 食物繊維の量 |
---|---|---|
ライ麦パン | 1個:72g | 4.0g |
発芽玄米 | 茶碗1杯:150g | 2.7g |
そば (乾燥) |
1人前:100g | 3.7g |
いんげん (ゆで) |
40g | 5.4g |
きな粉 | 大さじ1杯:6g | 1.0g |
ひきわり 納豆 |
1パック:50g | 3.0g |
切り干し大根 (乾燥) |
1人前:5g | 1.1g |
こんにゃく | 50g | 1.1g |
ごぼう (ゆで) |
50g | 3.1g |
ブロッコリー (ゆで) |
50g | 2.2g |
しいたけ (ゆで) |
50g | 2.4g |
外食するとき・コンビニエンスストアの惣菜などを利用するときの注意点
外食するときは、丼物は避けて品数の多い定食を、洋食や中華は避けて和食のメニューを選ぶようにしましょう。
麺類を食べるときは、野菜の多いメニューを選ぶ・追加でサラダを注文するなどして食物繊維の摂取量を増やしてください。
塩分や油分を多く含む汁は、飲まないように心がけてください。なお、おにぎりやチャーハンなど炭水化物のメニューを追加するのはNGです。やむを得ず丼物を選ぶときは、鉄火丼など魚の丼メニューがおすすめです。サラダを追加すると、食物繊維も摂取できます。
ファストフードを利用するときは、ポテトではなくサラダを追加してください。飲み物は無糖のコーヒーなどを選び、糖分の多いジュース類は飲まないようにしましょう。
コンビニエンスストアでお弁当を買うときも、できるだけ品数の多いものを選びましょう。主菜は、揚げ物ではなく焼き物や炒め物を選ぶようにしてください。野菜不足が気になる場合は、サラダを追加で購入しましょう。お弁当のご飯の量が多いと感じる場合は、おにぎりに単品の惣菜を組み合わせるのがおすすめです。
トクホ(特定保健用食品)を利用するときの注意点
トクホ(特定保健用食品)のなかには、「食後の血糖値の上昇を穏やかにする」と表示されているものもあります。
しかし、これらの商品は「一緒に摂取した糖質による血糖上昇を抑える効果」は確認されているものの、トクホを単独で摂取した場合の効果は検討されていません。また、トクホと糖質を一緒に摂取した場合でも、医療機関で処方される薬ほどの効果は期待できません。あくまで「食品」ですので、過信しないようにしましょう。
血糖コントロールに役立つ食べ方の工夫
血糖値を下げるためには、食べ方を工夫することも大切です。適切な血糖値を維持するために、以下の点を意識するようにしましょう。
- 3食規則正しく食べる。
→食事の間隔が長くなると、次の食後に血糖値が上がりやすくなる。 - 3食のエネルギーバランスを同じくらいにする。
→まとめ食いをすると血糖値が上がりやすくなる。 - 間食は控える。
→血糖値の高い状態が長く続くことになるため、好ましくない。 - 食事に適量のたんぱく質を取り入れる
→適量の肉類や魚介類は、インスリンの分泌促進に役立つ。 - 炭水化物を最後に食べる
→野菜(食物繊維)やたんぱく質を炭水化物より先に食べると、血糖値の急上昇を抑えやすい。 - 早食いしない
→食べ過ぎ予防になる。血糖値の上昇とインスリンの分泌タイミングがうまく合致して、血糖値の抑制につながる。
血糖値を下げたい方のオンライン診療
血糖値は、食事の内容や食べ方を変えるだけである程度コントロールできます。
そして、高血糖を指摘されている方・糖尿病と診断されている方にとって、食生活の改善は継続して取り組まなくてはならない重要事項の一つです。
とはいえ、食生活の改善は簡単なことではありません。自己流の方法では不安という方もいらっしゃることでしょう。
そこでおすすめなのがオンライン診療です。
当院では、健康診断などで高血糖を指摘されている方・すでに糖尿病と診断されて治療を受けている方のオンライン診療も行っています。
食生活の改善に関するアドバイスなど血糖値のコントロールにつながるサポートも実施しておりますので、お気軽にご相談ください。
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糖尿病の処方薬一覧
分類 | 商品名 | 一般名 |
---|---|---|
スルホニル 尿素薬 |
オイグルコン | グリベンクラミド |
グリミクロン | グリクラジド | |
アマリール | グリメピリド | |
速効型インスリン 分泌促進薬 |
ファスティック スターシス |
ナテグリニド |
グルファスト | ミチグリニド | |
シュアポスト | レパグリニド | |
DPP-4阻害薬 | ジャヌビア グラクティブ |
シタグリプチン |
エクア | ビルダグリプチン | |
ネシーナ | アログリプチン | |
トラゼンタ | リナグリプチン | |
テネリア | テネリグリプチン | |
スイニー | アナグリプチン | |
オングリザ | サキサグリプチン | |
ザファテック | トレラグリプチン | |
マリゼブ | オマリグリプチン | |
GLP-1受容体 作動薬 |
リベルサス | セマグルチド |
ビグアナイド薬 | グリコラン | メトホルミン |
ジベトス | ブホルミン | |
メトグルコ | メトホルミン | |
チアゾリジン薬 | アクトス | ピオグリタゾン |
αグルコシダーゼ 阻害薬 |
ベイスン | ボグリボース |
セイブル | ミグリトール | |
SGLT2阻害薬 | スーグラ | イプラグリフロジン |
フォシーガ | タパグリフロジン | |
ルセフィ | ルセオグリフロジン | |
デベルザ | トホグリフロジン | |
カナグル | カナグリフロジン | |
ジャディアンス | エンパグリフロジン | |
ミトコンドリア 機能改善薬 |
ツイミーグ | イメグリミン |